約90億円のコレクションが売りに出され…御年94歳「日本の鶏卵王」が美術品に溺れた「末路」

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日本の「鶏卵王」にして、世界有数の美術品コレクターとして知られた伊勢彦信氏(94歳)の破産手続き開始が決定。破産管財人の手によって伊勢氏の財産が処分されることになった。
「債務の金額が決まらず(美術品の)所有権も確定していないのに破産手続きなんてワケがわからない!」と、伊勢氏の側近は憤るが、総額1000億円ともいわれた絵画や陶磁器などのイセコレクションの帰属を巡る伊勢氏と管財人の争いは、伊勢氏の”抵抗”で決着がつかず、申し立てを受けた東京地裁は「破産やむなし」の決定を出した。
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これほど揉めた倒産劇も珍しい。「森のたまご」で知られたイセ食品は、2022年3月に負債総額約453億円で会社更生手続きに入った。管財人は「イセコレクションは会社のもの」と主張し、渋る伊勢氏を説得して昨年11月、モネの「川岸のポプラ」(約40億円)など11点を約90億円で売却した。
しかしその後が続かず、放置すれば資産が散逸する恐れがあった。実際、顧問弁護士を解任、海外で美術品会社を設立と伊勢氏の抵抗は続き、管財人も裁判所も伊勢氏の言動をいぶかしんだ。
栄華を極めた人生は90歳の卒寿後に一変。2月にイセ食品の名は消え、会社は「たまご&カンパニー」として生まれ変わる。美術品に溺れた末路というしかない。
「週刊現代」2024年2月3・10日合併号より

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