激痛なのに医者は「どこも異常ない」だと…? 40歳の編集者が直面した「医学界最大の謎」の正体

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あるとき突然、原因も治療法もわからないまま始まる激痛の日々。仕事どころか寝床からも起き上がれなくなった男は、腰痛という名の迷宮を抜け出せるのか。新知識もりだくさんの、実録奮闘記。
「ああッ」
それは、暖冬と言われるこの冬の東京で、気温が突然下がった昨年12月初旬のある朝のことだった。本誌編集者のU(40歳)は、目覚めた刹那、激しい腰の痛みに襲われて大声をあげた。
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起き上がろうと腹に力を入れると、骨盤と背骨のつなぎ目のやや右あたりを、錐でグリグリほじくられるような痛みが走る。ムリ。起きられない。寝返りすらうてず、しばし天井を見つめて呆然とする。
――そういえば昨晩、洗濯した服をタンスにしまおうとかがんだとき、腰の右側が「ピキッ」と鳴った感じがした……。
ぎっくり腰だ。
「だあああ!」
ずっと寝ているわけにもいかない。怒鳴って痛みをごまかし、なんとかベッドを下りる。ほんの5m歩くだけで、1歩ごとに腰に電撃が走った。
――こりゃ、とても出社はできないな。スマホを取り、編集長にメールを打つ。も、う、し、わけ、あ、りません……。
〈過労と運動不足だね。2、3日寝てれば治るでしょ。お大事に〉
1分後、そっけない返信がきた。くそう、毎週夜中まで原稿を書かせてるのはアンタじゃないか。
這々の体で近所の整形外科へ向かう。歩行速度はおばあちゃん以下だ。ようやくたどり着いたら、医者までそっけない。
「レントゲン見たけどね、どこも異常ないですね。今朝は寒かったからしょうがないね。まあ痛み止めと湿布出しとくんで、安静にしといてください」
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激痛に耐えて1時間も待ったのに、診察は30秒。こんなに痛くて異常ないわけないでしょう。もっとよく診てよ! そう喉まで出かかったのを飲み込んで、また歩幅10cmでヨチヨチ帰宅する。
「腰痛の多くは、はっきりした原因がわからない『非特異的腰痛』です。レントゲン写真などに変化が現れなかったり、現れたとしても症状と関連がなかったりするので、じっくり患者さんと対話をしながら原因を推論し、治療する必要があります」(東京家政大学健康科学部教授の齋藤昭彦氏)
アラフォーの若造であるUは「腰痛初心者」だが、読者の中には長年の腰痛もちという方も少なくないはずだ。そしておそらく、その大半が完治しないまま、騙し騙し痛みとつきあいつづけているのではないだろうか。
実は、ぎっくり腰や、それをきっかけにあらわれる「非特異的腰痛」は、現代医学をもってしても原因も治療法もはっきりとわからない、まさしく「医学界最大の謎」のひとつなのだ。
今回本誌は、いや編集Uは、謎の「答え」を見つけるべくあてのない旅に出た。はたしてこの痛みを癒やし、再び元気に動き回れるようになる術はあるのだろうか――。
痛みに耐えながら治療法を探していたUは、ある整骨院の謳い文句に目をとめた。その治療の詳細は後編【「痛っっっった!」アラフォー編集者が絶叫した「本気の腰痛治療法」…その秘密を大公開する】でご紹介する。
「週刊現代」2024年1月27日号より

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