桐島聡と名乗る男、がん治療のため自費通院…偽名「ウチダヒロシ」で健康保険加入できなかったか

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1970年代の連続企業爆破事件を巡り、爆発物取締罰則違反容疑で指名手配されている桐島聡容疑者(70)とみられる男が、1年以上前からがんを患い、自費診療で通院していたことが捜査関係者への取材でわかった。
警視庁公安部は、男が身元を隠して「ウチダヒロシ」の偽名で生活し、健康保険に加入できなかったとみている。
捜査関係者によると、男は数十年前から「ウチダ」を名乗り、神奈川県藤沢市の土木工事会社に住み込みで働いていたが、今月上旬に容体を悪化させ、鎌倉市の病院に救急搬送された。
がんと診断されたのは1年以上前で、男はこの間、自費診療で通院していた。搬送先の病院に入院した際も健康保険証を提示せず「ウチダ」と名乗ったが、25日に「自分は桐島聡」と話し始めた。末期の胃がんで重篤な状態だという。
男の会社の近くに住む60歳代男性は今月、会社前の路上で男がうずくまっているのを見つけた。男はやせ細り、「買い物に行こうとして立てなくなった」と話すのがやっとだった。
男性は体を支え、近くにある男の住まいに連れていった。1階の部屋の広さは6畳ほどで、弁当がらなどが散らばっていたという。会社の関係者に連絡してその場を後にすると、約1時間後に救急車が到着した。
男性は「クリッとした目が桐島容疑者の手配写真と似ていた」と振り返った。
桐島容疑者は過激派「東アジア反日武装戦線」のメンバーで、75年4月、東京・銀座のビルに手製爆弾を仕掛け、爆発させた疑いが持たれている。翌5月に指名手配されたが、約49年間にわたり逃亡を続けてきた。
男は聴取に「最期は本名で迎えたい」と話していて、警視庁は身元の確認を進めるとともに、容体を見ながら任意で事情を聞いている。

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