〈62キロ→39キロ〉早稲田→大手就職後「トイレで動けなくなり、会話も支離滅裂」…体重30キロ台になった20代女性が語る、摂食障害を治療をするまでの経緯

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ロンドンで歌って踊るパフォーマーとして活動するMioenergyさん。早稲田大学卒業後、大手企業に就職するも、夢のための過度なダイエットやストレスから摂食障害を発症。
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62キロだった体重は半年で30キロ台まで減少した。そんな彼女に、摂食障害になったきっかけや過度なダイエットできたした体の不調、治療をするまでの経緯について詳しく聞いた。(全2回の1回目/続きを読む)
Mioenergyさん
◆◆◆
――摂食障害になったきっかけはなんだったのでしょうか。
Mioenergy 最初のきっかけは渡米費用を貯めるためのダイエットだったんです。というのも、新卒で大企業に入り、システム系の仕事をしていたんですが、やりたいことを我慢して就職して。元々はアメリカでダンスとかパフォーマンス系の仕事をしたくて、学生の時は留学したり、就職前の春休みにもアメリカでレッスンを受けたりしていました。
でも実力は全然ないし、向こうでやっていける自信もなくて、それで就職することを選んだんですけど、働き始めてすぐにこれはやりたいことじゃないなって。
すぐにアメリカに行きたいと思ったけど、お金もないからとりあえず貯金しようと。で、一番削れるところはなんだと考えた時に「食」だったんです。
――貯金のためのダイエットだったんですね。当時の食事内容はどんな感じでしょうか。
Mioenergy 朝はサラダチキン半分とフルーツ少し、お昼はコーヒーを飲んで、夜は簡単なサラダとかで済ませて。

――糖質を抜いていた。
Mioenergy 半年間、糖質は一切食べなかったです。ちょうどダイエットを始めたその頃に、会社のレクリエーションで歌とダンスを発表することが決まって。そのためにももっと痩せなきゃと。それでさらにダイエットが加速しました。
――仕事中にフラフラしたりはなかったですか。
Mioenergy しましたね。仕事中も頭が回らなくなってぼーっとしたり。「5+6×2」みたいな簡単な計算もできなくなってしまって。
それと動けなくもなって。体力がとにかくなくなるんです。階段を登るのもきついし、トイレに座った瞬間、10分くらい全く動けなくなって。寝るわけでもなく、ぼーっと座って過ごして、少し落ち着いたら席に戻るみたいな。会社への通勤もしんどいくらい体力はなかったです。
――周りの上司や同期はMioenergyさんの異変に気づきましたか。
Mioenergy 当時の記憶がおぼろげなんですが、上司は気づいていたと思います。あきらかに仕事はできていなかったし、ぼーっとしていることも多かったので。
ただ、新卒ということもあって、仕事ができなくて何か言われたりはそんなになかったです。でも、だんだんと見た目の変化もあって、「あいつどーした?」みたいな声はありました。
――ダイエットを始める前の体重はどのくらいだったのでしょうか。
Mioenergy おそらく普通よりはちょっとポッチャリしてるくらいで62キロくらいだったと思います。
でも急激なダイエットをしてからみるみる痩せていって。40キロ台に突入してからは見た目も本当にガリガリになって。明らかに何かちょっとヤバいやつを見るような視線は感じていました。仲良い同期には「ちゃんと食べてる?」って心配されましたね。
――体調に変化はありましたか。
Mioenergy とにかく服を着ても着ても寒いみたいな感じで、体温調節がうまくいかなくて。
寝るのにも体力がいるから寝ていられなくて。1、2時間で目が覚めちゃうんです。眠りも浅いし、寝られないのでまたストレスも溜まって。それに脂肪が減って皮だけになるので、座っているだけでもお尻が痛いんです。リュックを背負っても肩が擦れて痛かったり。
あと、怒りっぽくなりました。普段だったら絶対に怒らないタイミングでカッとなって、友達にひどいことを言ってしまったり。なんで自分はこんなに頑張っているのにそんなことを言われなきゃならないんだって気持ちがすごくて。会社でも家でもとにかくイライラしていました。
――歌とダンスの発表会のための練習はしていたのでしょうか。
Mioenergy なんとかしていましたけど、ダンスも途中で息切れしてしまって続かなくて。本末転倒ですよね。命を削ってダンスしているみたいな感じでした。サビに行くまでに体力がほぼなくなって、踊れない。ダンスの先生もどうしたんだろうって思っていたと思います。

――友達とご飯に行ったり、会社の飲み会に行くことはなかったですか。
Mioenergy 極力行かないようにしていました。誘われても断ったり。どうしてもって日は行くんですけど、なるべく食べないように気をつけて。それでも少し食べてしまった次の日は、体重計に乗ってすごく後悔するんです。それでその日はご飯抜きにしたりして調整していました。
――体調の変化がある中で、ちょっとこのままダイエットを続けたら危険だなと思うことは?
Mioenergy それが、逆にやめられなくなってしまって。毎日体重計に乗って体重管理していたんですけど、前日よりも減っていると合格みたいな気持ちで自分を認めることができて。体重が増えていると、昨日の自分はなにしてたんだって自分を責めてしまったり。
今、当時の写真を見ると健康的な痩せ方じゃないと思うんですけど、当時の自分は「痩せて綺麗になっている。韓国アイドルよりも体重が軽い!」って嬉しくなってしまって。
――モデル体型の方よりも痩せたいと。
Mioenergy 韓国アイドルたちの体重を調べてその子たちよりも軽くならなきゃと思っていました。体重が減ることが自分の自信になっていたんだと思います。

SNSでダイエットアカウントを作って、体重を公開して、ダイエット仲間と支え合いながらやっていました。当時は「#ダイエット記録」みたいなのが流行っていて。
ダイエット仲間たちに褒めてもらえるのが嬉しくて、余計食べないようになってしまいました。
――友達に痩せすぎを心配されることは?
Mioenergy 「ちょっと痩せすぎじゃない? 大丈夫?」って言われたことはありましたね。私が「自分は太いからやだ。〇〇は痩せてていいな」みたいなこと言ったら、「正直痩せ痩せ過ぎぐらいやと思うよ」って。
でも私は「いや二の腕も太ももも太いし、そっちの方が痩せてるよ」って。自分が痩せ過ぎなことを認めたくなくて。認めると太らなきゃいけないし、自分が間違っているってことじゃないですか。
当時の自分が生きる価値は痩せることだけだったので、それがなくなったらどうやって生きていけばいいんだろうって。
――誰かに相談したりは?
Mioenergy 一人暮らしだったので誰かに頼ることもできなくて。唯一大学の教授にだけ、メールで相談しました。「ちょっと自分がやばいんですが、どうしたらいいですか」って。そしたらすぐに病院に行きなさいと言われたけど、病院は……って躊躇して。
――その後もダイエットは続けていたんですか。
Mioenergy やっていましたね。でも体重が30キロ台に突入した頃ですかね。半年で39キロまで痩せたんです。
その頃に、会社で工場研修があったんですけど、みんなの歩くペースについていけず、仕事中もおかしい行動があったり、会話も支離滅裂だったので、とうとう上司に呼び出されて。

それがちょうど1年目の9月くらいだったと思います。「体調大丈夫? 病院行こう」って。それで病院に行くことになり、いろいろ見てもらったら、どうやら摂食障害だから精神科に見てもらった方がいいということで、専門の病院に行って。
そこで摂食障害だと診断されました。「体重もデッドラインを超えているから入院対象ですよ」って言われて。
――命に危険がある状態だったと。
Mioenergy かなりやばかったみたいですね。「あなたは緩やかな自殺をしてますよ」って言われました。脈拍も当時、健康な人の半分の35くらいしかなくて。不整脈で、心臓が止まることもあると言われて。
精神疾患の中で、摂食障害が一番死亡率が高いんですよ。それで入院したほうがいいと言われたけど、入院したら何もできなくなるし、お金がかかるのも不安だったので、自宅療養を選択して。休職して治療に専念しました。
〈「罪悪感で泣きながら食べていた」過度なダイエット後、急に過食へ…2ヶ月で20キロ以上増加した女性が語る、克服するまでの1年間〈39キロ→62キロ〉〉へ続く
(「文春オンライン」編集部)

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