トー横がブルーシートで封鎖?「結局、集まれる所に集まっている」「排除する手段としては失敗」 家にも施設にも行きたくないキッズの居場所どう確保?

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新宿歌舞伎町シネシティ広場、いわゆる「トー横」で、あるイベントによる“封鎖”が物議を醸している。12月18日に運び込まれたブルーシートがかかったものはフォトスポット用の資材で、置かれたのが若者たちのたむろする場所。イベント担当者によると、2024年2月まで置かれるといい、SNSでは「トー横キッズ締め出し策」など懸念の声が上がっている。【映像】29人のトー横キッズを一斉補導 近年、犯罪や売春、オーバードーズ(OD)など、問題行動の温床となっていたトー横。警視庁の一斉補導では、小学6年の女子児童から19歳までの29人が補導された。中には、広島や岡山、京都などから来た少女も。彼ら彼女らは、なぜトー横に集まるのか。当事者と共に『ABEMA Prime』で考えた。

■オーバードーズは「やめたいが、やめられない」 むにさん(22)は、元カレからのモラハラをきっかけに入院し、無職に。両親との関係は良くないため実家には帰りづらく、現在同棲する彼氏も仕事で忙しいため、居場所を求めて10月からほぼ毎日トー横に来ている。「私自身もODをしていたことがあり、その界隈の子に連れられたのがきっかけ。普段はお酒を飲んで盛り上がったり、ODしたり、リスカしている子もいる」と説明。 周囲はODを「煽りも止めもしない。やるなら勝手にみたいな感じだ。もし倒れて大変そうだったら、誰かが救急車呼ぶことはある」とした上で、自身については「何回も搬送されていたが、追い込まれている状況で、迷惑などと考えられない。やめたい気持ちはあるが、やめられない」と話す。 支援を受けて施設に入ることは考えないのか。「入院したこともあるが、携帯が1日に5時間しか使えない、外出には先生の許可が必要とか窮屈だ。グループホームもあったが、実際に行った子から印象を聞いて、大変なのではないかと思う」と答えた。 リディラバ代表の安部敏樹氏は「一時保護所や児童養護施設は、10代の多感な時期に合わせた運営ができているわけではない。スマホを制限されたり、帰宅時間を言わないといけなくなると、やってられないという子は一定数出てくるのではないか」との見方を示した。■今夜の宿も未定 福祉施設は「行きたくない」 元ホストで無職の龍騎銀士さん(20)は、5月からトー横を居場所にしている。家がなく、荷物は広場横のコインロッカーで保管。番組に出演した日も、泊まらせてくれた友人が帰省するため、宿は未定だった。トー横は「いつでも話せる人、気の知れた仲間たちがいる」「自己嫌悪になりやすい子は多い。同じような人と一緒にいることで楽しいと思えるような存在ができやすい場所」と話す。 安部氏は「宿が未定なのは大きな問題の一つ。日中は使ってもいい場所だとしても夜は泊められないとか、未成年だとホテルも泊めてもらえない。社会が厳格にルールを決めると子どもの居場所がなくなる。そのときに頼れるのは親だけになるが、関係がうまくいっていないと眠る場所がない。ここをどう変えていくかは大事だ」と指摘。 龍騎さんは行政から福祉施設を勧められているが、行きたくないそうだ。「サポートについては、個人それぞれが思うところはある。ただ、それを知る手段がまず少ない。たしかに未成年は多いが、見守る大人たちが存在していることも知ってもらいたい。NPOとは関係ない個人で、時間があるときに面倒を見るためだけに来る」とした。 一方、安部氏はそうした状況に疑問を呈し、「未成年への声掛けは大人側からするとリスクがある中で、当事者側から支持されているのであれば評価すべきだと思う。ただ、大丈夫なのかな?という面も持たないと危ない。“未成年の近くに行きたいから”という構造がないか、本当は第三者の目が入っていくべきところだ」と指摘した。■「トー横キッズではなく若者の孤独孤立の問題」 一般社団法人「歌舞伎町タウン・マネージメント」は番組の取材に対し、ブルーシートはイベント終了の2024年2月までそのままだが、「トー横キッズを一掃する意図はない」と答えている。 そんな中、むにさんは「結局、柵の前とか集まれる所に集まっている。なんならブルーシートの上が寝心地がいいと言う人もいるくらいだ」と説明する。 龍騎さんも「一部の人にとっては居心地が良い所になってしまっている。眠いときに軽く横になるとか、荷物を置いて友達に見ておいてもらうとか、信頼関係を築いて休める場所だ。言い方は悪いが、排除する手段としては失敗に終わっているんじゃないか」と話した。 NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「補導され、家庭に戻っても窮屈だし、一時保護施設も窮屈だという時、多少リスクがあるとわかっていても、話ができる同年代がいる場所に集う。積極的な選択肢ではなく、“そこしかない”という消極的な理由で選ばれている背景がある。“トー横キッズ”と属性化するのではなく、現象と捉えるべきだ」と指摘。 その上で、「生きることに一生懸命だからこそ集まっているわけだ。彼らにはあのまま毎日を過ごしてもらって、それを少しでもベターにしていくための支援を、こども家庭庁なり我々大人たちが行っていくというアプローチがいいのではないか」と述べる。 これに安部氏は「大賛成。これはトー横キッズではなく若者の孤独孤立の問題で、そこに対する支援は大人の責任。補導は北風対策の最たるもので、それが効くのは太陽政策をしっかり積み上げた場合だ。十分な支援ができていない中で、やっている順番が違う。親子関係が崩れることは一定の確率であるという前提に立って、子ども関連の政策やサポートを作るべきだ」とした。(『ABEMA Prime』より)
新宿歌舞伎町シネシティ広場、いわゆる「トー横」で、あるイベントによる“封鎖”が物議を醸している。12月18日に運び込まれたブルーシートがかかったものはフォトスポット用の資材で、置かれたのが若者たちのたむろする場所。イベント担当者によると、2024年2月まで置かれるといい、SNSでは「トー横キッズ締め出し策」など懸念の声が上がっている。
【映像】29人のトー横キッズを一斉補導 近年、犯罪や売春、オーバードーズ(OD)など、問題行動の温床となっていたトー横。警視庁の一斉補導では、小学6年の女子児童から19歳までの29人が補導された。中には、広島や岡山、京都などから来た少女も。彼ら彼女らは、なぜトー横に集まるのか。当事者と共に『ABEMA Prime』で考えた。

■オーバードーズは「やめたいが、やめられない」 むにさん(22)は、元カレからのモラハラをきっかけに入院し、無職に。両親との関係は良くないため実家には帰りづらく、現在同棲する彼氏も仕事で忙しいため、居場所を求めて10月からほぼ毎日トー横に来ている。「私自身もODをしていたことがあり、その界隈の子に連れられたのがきっかけ。普段はお酒を飲んで盛り上がったり、ODしたり、リスカしている子もいる」と説明。 周囲はODを「煽りも止めもしない。やるなら勝手にみたいな感じだ。もし倒れて大変そうだったら、誰かが救急車呼ぶことはある」とした上で、自身については「何回も搬送されていたが、追い込まれている状況で、迷惑などと考えられない。やめたい気持ちはあるが、やめられない」と話す。 支援を受けて施設に入ることは考えないのか。「入院したこともあるが、携帯が1日に5時間しか使えない、外出には先生の許可が必要とか窮屈だ。グループホームもあったが、実際に行った子から印象を聞いて、大変なのではないかと思う」と答えた。 リディラバ代表の安部敏樹氏は「一時保護所や児童養護施設は、10代の多感な時期に合わせた運営ができているわけではない。スマホを制限されたり、帰宅時間を言わないといけなくなると、やってられないという子は一定数出てくるのではないか」との見方を示した。■今夜の宿も未定 福祉施設は「行きたくない」 元ホストで無職の龍騎銀士さん(20)は、5月からトー横を居場所にしている。家がなく、荷物は広場横のコインロッカーで保管。番組に出演した日も、泊まらせてくれた友人が帰省するため、宿は未定だった。トー横は「いつでも話せる人、気の知れた仲間たちがいる」「自己嫌悪になりやすい子は多い。同じような人と一緒にいることで楽しいと思えるような存在ができやすい場所」と話す。 安部氏は「宿が未定なのは大きな問題の一つ。日中は使ってもいい場所だとしても夜は泊められないとか、未成年だとホテルも泊めてもらえない。社会が厳格にルールを決めると子どもの居場所がなくなる。そのときに頼れるのは親だけになるが、関係がうまくいっていないと眠る場所がない。ここをどう変えていくかは大事だ」と指摘。 龍騎さんは行政から福祉施設を勧められているが、行きたくないそうだ。「サポートについては、個人それぞれが思うところはある。ただ、それを知る手段がまず少ない。たしかに未成年は多いが、見守る大人たちが存在していることも知ってもらいたい。NPOとは関係ない個人で、時間があるときに面倒を見るためだけに来る」とした。 一方、安部氏はそうした状況に疑問を呈し、「未成年への声掛けは大人側からするとリスクがある中で、当事者側から支持されているのであれば評価すべきだと思う。ただ、大丈夫なのかな?という面も持たないと危ない。“未成年の近くに行きたいから”という構造がないか、本当は第三者の目が入っていくべきところだ」と指摘した。■「トー横キッズではなく若者の孤独孤立の問題」 一般社団法人「歌舞伎町タウン・マネージメント」は番組の取材に対し、ブルーシートはイベント終了の2024年2月までそのままだが、「トー横キッズを一掃する意図はない」と答えている。 そんな中、むにさんは「結局、柵の前とか集まれる所に集まっている。なんならブルーシートの上が寝心地がいいと言う人もいるくらいだ」と説明する。 龍騎さんも「一部の人にとっては居心地が良い所になってしまっている。眠いときに軽く横になるとか、荷物を置いて友達に見ておいてもらうとか、信頼関係を築いて休める場所だ。言い方は悪いが、排除する手段としては失敗に終わっているんじゃないか」と話した。 NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「補導され、家庭に戻っても窮屈だし、一時保護施設も窮屈だという時、多少リスクがあるとわかっていても、話ができる同年代がいる場所に集う。積極的な選択肢ではなく、“そこしかない”という消極的な理由で選ばれている背景がある。“トー横キッズ”と属性化するのではなく、現象と捉えるべきだ」と指摘。 その上で、「生きることに一生懸命だからこそ集まっているわけだ。彼らにはあのまま毎日を過ごしてもらって、それを少しでもベターにしていくための支援を、こども家庭庁なり我々大人たちが行っていくというアプローチがいいのではないか」と述べる。 これに安部氏は「大賛成。これはトー横キッズではなく若者の孤独孤立の問題で、そこに対する支援は大人の責任。補導は北風対策の最たるもので、それが効くのは太陽政策をしっかり積み上げた場合だ。十分な支援ができていない中で、やっている順番が違う。親子関係が崩れることは一定の確率であるという前提に立って、子ども関連の政策やサポートを作るべきだ」とした。(『ABEMA Prime』より)
近年、犯罪や売春、オーバードーズ(OD)など、問題行動の温床となっていたトー横。警視庁の一斉補導では、小学6年の女子児童から19歳までの29人が補導された。中には、広島や岡山、京都などから来た少女も。彼ら彼女らは、なぜトー横に集まるのか。当事者と共に『ABEMA Prime』で考えた。
■オーバードーズは「やめたいが、やめられない」
むにさん(22)は、元カレからのモラハラをきっかけに入院し、無職に。両親との関係は良くないため実家には帰りづらく、現在同棲する彼氏も仕事で忙しいため、居場所を求めて10月からほぼ毎日トー横に来ている。「私自身もODをしていたことがあり、その界隈の子に連れられたのがきっかけ。普段はお酒を飲んで盛り上がったり、ODしたり、リスカしている子もいる」と説明。
周囲はODを「煽りも止めもしない。やるなら勝手にみたいな感じだ。もし倒れて大変そうだったら、誰かが救急車呼ぶことはある」とした上で、自身については「何回も搬送されていたが、追い込まれている状況で、迷惑などと考えられない。やめたい気持ちはあるが、やめられない」と話す。
支援を受けて施設に入ることは考えないのか。「入院したこともあるが、携帯が1日に5時間しか使えない、外出には先生の許可が必要とか窮屈だ。グループホームもあったが、実際に行った子から印象を聞いて、大変なのではないかと思う」と答えた。
リディラバ代表の安部敏樹氏は「一時保護所や児童養護施設は、10代の多感な時期に合わせた運営ができているわけではない。スマホを制限されたり、帰宅時間を言わないといけなくなると、やってられないという子は一定数出てくるのではないか」との見方を示した。
■今夜の宿も未定 福祉施設は「行きたくない」
元ホストで無職の龍騎銀士さん(20)は、5月からトー横を居場所にしている。家がなく、荷物は広場横のコインロッカーで保管。番組に出演した日も、泊まらせてくれた友人が帰省するため、宿は未定だった。トー横は「いつでも話せる人、気の知れた仲間たちがいる」「自己嫌悪になりやすい子は多い。同じような人と一緒にいることで楽しいと思えるような存在ができやすい場所」と話す。
安部氏は「宿が未定なのは大きな問題の一つ。日中は使ってもいい場所だとしても夜は泊められないとか、未成年だとホテルも泊めてもらえない。社会が厳格にルールを決めると子どもの居場所がなくなる。そのときに頼れるのは親だけになるが、関係がうまくいっていないと眠る場所がない。ここをどう変えていくかは大事だ」と指摘。
龍騎さんは行政から福祉施設を勧められているが、行きたくないそうだ。「サポートについては、個人それぞれが思うところはある。ただ、それを知る手段がまず少ない。たしかに未成年は多いが、見守る大人たちが存在していることも知ってもらいたい。NPOとは関係ない個人で、時間があるときに面倒を見るためだけに来る」とした。
一方、安部氏はそうした状況に疑問を呈し、「未成年への声掛けは大人側からするとリスクがある中で、当事者側から支持されているのであれば評価すべきだと思う。ただ、大丈夫なのかな?という面も持たないと危ない。“未成年の近くに行きたいから”という構造がないか、本当は第三者の目が入っていくべきところだ」と指摘した。
■「トー横キッズではなく若者の孤独孤立の問題」
一般社団法人「歌舞伎町タウン・マネージメント」は番組の取材に対し、ブルーシートはイベント終了の2024年2月までそのままだが、「トー横キッズを一掃する意図はない」と答えている。
そんな中、むにさんは「結局、柵の前とか集まれる所に集まっている。なんならブルーシートの上が寝心地がいいと言う人もいるくらいだ」と説明する。
龍騎さんも「一部の人にとっては居心地が良い所になってしまっている。眠いときに軽く横になるとか、荷物を置いて友達に見ておいてもらうとか、信頼関係を築いて休める場所だ。言い方は悪いが、排除する手段としては失敗に終わっているんじゃないか」と話した。
NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「補導され、家庭に戻っても窮屈だし、一時保護施設も窮屈だという時、多少リスクがあるとわかっていても、話ができる同年代がいる場所に集う。積極的な選択肢ではなく、“そこしかない”という消極的な理由で選ばれている背景がある。“トー横キッズ”と属性化するのではなく、現象と捉えるべきだ」と指摘。
その上で、「生きることに一生懸命だからこそ集まっているわけだ。彼らにはあのまま毎日を過ごしてもらって、それを少しでもベターにしていくための支援を、こども家庭庁なり我々大人たちが行っていくというアプローチがいいのではないか」と述べる。
これに安部氏は「大賛成。これはトー横キッズではなく若者の孤独孤立の問題で、そこに対する支援は大人の責任。補導は北風対策の最たるもので、それが効くのは太陽政策をしっかり積み上げた場合だ。十分な支援ができていない中で、やっている順番が違う。親子関係が崩れることは一定の確率であるという前提に立って、子ども関連の政策やサポートを作るべきだ」とした。(『ABEMA Prime』より)

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