東京都港区新橋にある商業施設「カレッタ汐留」。2002年にオープンした当初は賑わいを見せていたのだが、今は人影が少なくなり空きテナントが目立つようになっている。
この状況をさまざまなメディアが報じており、その結果SNSなどでカレッタ汐留と調べると、「閉店」や「やばい」などマイナスなイメージの検索結果が列挙されている。
港区新橋と好立地ながら、なぜこのような状態になったのか。実際のカレッタ汐留で本当に人がいないのかを確かめることにした。
カレッタ汐留は駅直通になっており、亀の甲羅をモチーフにした石が出迎えた先は、すぐに商業ビルの入り口となる。
商業施設は地下1階と2階となっており、地上1階は劇場が設置されている。しかし、そんな超好立地なのにもかかわらず、テナント看板を見ると空きテナントが目立つ状況だ。
カレッタ汐留に入ってみるとまばらな状態で店が入っているが、場所によってはシャッター街のようになっている部分もある。こうした状況で飲食店を営業している人に話を聞いた。
「枯れた汐留なんて言われていますが、そんなことはありません。夜の営業はお客さんの数はまばらですが、ランチタイムは20分お待ちいただくこともあります。サラリーマンが多く、昼頃は賑わっている印象です」
時刻によって、お客さんの出入りの状況は変わるが、平日のランチタイムの時間であれば、近隣のオフィスに勤めているサラリーマンたちで賑わうという。
このあたりに本社ビルを置く企業はパナソニックや電通、日本テレビ、共同通信、トッパン・フォームズ、日本通運などの超大手。そんな超大手に勤めるエリートサラリーマンの彼らにお昼事情を聞くと意外な答えが返ってきた。
「リモートワークが中心になってあまり出社しませんが、本社へ来るときはここでご飯を食べることも多いです。ただ、ランチタイムになると、人が多いので少し遠出してご飯を食べることもあります」
昼であれば多くの人で賑わうが、それ以外の時間では客足は遠のいている状況のようだ。このような状況は、近隣のビルがコロナによってリモートワークに移行したことで、テナントが撤退したことが1つの要因に挙げられる。
昼間はサラリーマンたちによって繁盛していた店も、サラリーマンが出社をしなくなると、テナント料を支払うことができなくなり撤退を余儀なくされたという。
このような状況をどう思っているのか、カレッタ汐留でそば屋の店主を務める男性に話を聞くと、
「私は不安に思っていません。ここは他のビルと違い、管理会社が店側に寄り添って話を聞いてくれます。飲食店に歩み寄って話をしてくれているので、事業の計画もやりやすいです。それに管理会社は少しずつですが、新しく店をここへ誘致しようと頑張ってくれているので、今後は店の数は増えると思います」
と前向きな返答を頂けた。
話によれば、昨日もお店が新しくオープンし、他にも入居が決まっている店があるという。
最近、リモートワークを廃止にして原則出社とする会社も増えており、オフィス街の昼間の需要を狙って出店する店舗が増えているようだ。枯れた汐留が蘇る日もそう遠くないのかもしれない。
取材・文・PHOTO:白紙 緑