相次ぐスキャンダルで大揺れの自民党だが、一方で波に乗り切れないのが野党第1党の立憲民主党である。そのホープと目される議員が、後援者からセクハラで被害届を出されていたのだ。
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【写真を見る】セクハラ疑惑で被害届を出された重徳議員 重徳和彦代議士は当選4回の52歳。岡崎市を中心とする愛知12区の選出だ。「次世代ホープの一人です」 と、立民の関係者は言う。 重徳氏は東大法学部、総務省の出身だが、「頭の切れは抜群で、政策の立案能力も高い。『直諫(ちょっかん)の会』という派閥も立ち上げ、10名以上のメンバーを集めて会長を務めています」
妻との間に3人の男児がいる「良きパパ」でもある次期エース候補は一体、何を起こしたのか。県連代表も務めているが……無言で服の中に手を…「“事件”があったのは、昨年4月のことでした」 とは、被害女性の知人。「被害者は事務所を手伝っていた50代の独身女性。彼女はお母さんの面倒を見てもらっているヘルパー事業者とトラブルになってしまい、議員に相談をしていました。が、ほったらかしにされ、昨春ようやく彼が出る支援者の酒席に参加できることになったそうです」 しかし1次会で重徳氏は別の後援者との酒に夢中。2次会ではスナックに場を移したが、重徳氏は泥酔し、そこでも肝心の相談はできずじまいだったという。「10時半ごろにお開きになり、重徳さんと彼女は帰路が同じ方向のため、店のスタッフに車で送ってもらうことになったそうです」 その車中でコトは起きた。「車が出発するや、重徳さんが無言で服の中に手を入れてきて胸を触り、服の上から下半身にもタッチしてきた。彼女は何とかその手を押しとどめようとしました」 それは女性の家に着くまでの数分は続いたとか。“彼女から迫ってきた”と吹聴 翌日、議員から電話が入る。応対しないでいると大要、以下のメールが来た。〈昨夜は酔っ払いの醜態、行き過ぎた顰蹙な行動に対し、お詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。心を入れ替えて参ります。どうかお許し下さい〉 知人が続ける。「彼女は許す気にはなれなかった。前から左手にけがを抱えていたそうですが、その後、痛みが強まり、手術まですることに。7月には重徳さんの奥さんも交えて話し合いの場がもうけられましたが、それでも折り合うことはできなかった。そうこうしているうちにこの春、重徳さん側が周囲に“彼女から迫ってきたんだ”と吹聴しているのがわかり、憤って愛知県警に被害届を出したというわけです」捜査は開始 当の被害女性に聞くと、「捜査中ですので、事実関係についてのコメントは差し控えます」 としつつ、「心情としては議員を頼って介護トラブルの相談をした帰りに性的被害を受け、大変ショックです。選挙の手伝いもした国会議員ともあろう者が酒に酔ってこのようなことをしたことが悲しく、落胆し、激しい憤りと悔しさを感じております」 事実であれば、憤るのも納得だが、告発された当の重徳議員は何と言うか。取材を申し込むと、「話はむしろ逆なんです」 と否定していわく、「飲み会の後、車に同乗したまでは事実。するとすぐに彼女が体を寄せてきました。でもそれだけで、家に着いたら何事もなくサッと降りていきましたよ」 翌日の謝罪メールは、「彼女が身を寄せてきた時、僕は肩を組むような形で体に触れてしまった。見方によってはなれなれしいですよね。また当日、しっかりとお話できなかったので、それをおわびしたんです」 その程度のことでかようにまで謝るものか。何やら不自然な気もするが……。「その後、昨夏の会でお話をして終わったと思ったのですが、被害届まで出されてしまった。ここまでくると家族やスタッフにも迷惑がかかるので、こちらも警察に相談する予定です」 と言うものの、酒宴の同席者らはすでに県警に事情を聞かれているという。重徳議員のポスターには〈寄り添う〉〈向き合う〉との言葉が。事の真偽は司直の手に委ねられるが、「立民のホープ」が後援者の思いに寄り添えず、向き合えなかったことだけは確かなようだ。「週刊新潮」2023年12月14日号 掲載
重徳和彦代議士は当選4回の52歳。岡崎市を中心とする愛知12区の選出だ。
「次世代ホープの一人です」
と、立民の関係者は言う。
重徳氏は東大法学部、総務省の出身だが、
「頭の切れは抜群で、政策の立案能力も高い。『直諫(ちょっかん)の会』という派閥も立ち上げ、10名以上のメンバーを集めて会長を務めています」
妻との間に3人の男児がいる「良きパパ」でもある次期エース候補は一体、何を起こしたのか。
「“事件”があったのは、昨年4月のことでした」
とは、被害女性の知人。
「被害者は事務所を手伝っていた50代の独身女性。彼女はお母さんの面倒を見てもらっているヘルパー事業者とトラブルになってしまい、議員に相談をしていました。が、ほったらかしにされ、昨春ようやく彼が出る支援者の酒席に参加できることになったそうです」
しかし1次会で重徳氏は別の後援者との酒に夢中。2次会ではスナックに場を移したが、重徳氏は泥酔し、そこでも肝心の相談はできずじまいだったという。
「10時半ごろにお開きになり、重徳さんと彼女は帰路が同じ方向のため、店のスタッフに車で送ってもらうことになったそうです」
その車中でコトは起きた。
「車が出発するや、重徳さんが無言で服の中に手を入れてきて胸を触り、服の上から下半身にもタッチしてきた。彼女は何とかその手を押しとどめようとしました」
それは女性の家に着くまでの数分は続いたとか。
翌日、議員から電話が入る。応対しないでいると大要、以下のメールが来た。
〈昨夜は酔っ払いの醜態、行き過ぎた顰蹙な行動に対し、お詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。心を入れ替えて参ります。どうかお許し下さい〉
知人が続ける。
「彼女は許す気にはなれなかった。前から左手にけがを抱えていたそうですが、その後、痛みが強まり、手術まですることに。7月には重徳さんの奥さんも交えて話し合いの場がもうけられましたが、それでも折り合うことはできなかった。そうこうしているうちにこの春、重徳さん側が周囲に“彼女から迫ってきたんだ”と吹聴しているのがわかり、憤って愛知県警に被害届を出したというわけです」
当の被害女性に聞くと、
「捜査中ですので、事実関係についてのコメントは差し控えます」
としつつ、
「心情としては議員を頼って介護トラブルの相談をした帰りに性的被害を受け、大変ショックです。選挙の手伝いもした国会議員ともあろう者が酒に酔ってこのようなことをしたことが悲しく、落胆し、激しい憤りと悔しさを感じております」
事実であれば、憤るのも納得だが、告発された当の重徳議員は何と言うか。取材を申し込むと、
「話はむしろ逆なんです」
と否定していわく、
「飲み会の後、車に同乗したまでは事実。するとすぐに彼女が体を寄せてきました。でもそれだけで、家に着いたら何事もなくサッと降りていきましたよ」
翌日の謝罪メールは、
「彼女が身を寄せてきた時、僕は肩を組むような形で体に触れてしまった。見方によってはなれなれしいですよね。また当日、しっかりとお話できなかったので、それをおわびしたんです」
その程度のことでかようにまで謝るものか。何やら不自然な気もするが……。
「その後、昨夏の会でお話をして終わったと思ったのですが、被害届まで出されてしまった。ここまでくると家族やスタッフにも迷惑がかかるので、こちらも警察に相談する予定です」
と言うものの、酒宴の同席者らはすでに県警に事情を聞かれているという。重徳議員のポスターには〈寄り添う〉〈向き合う〉との言葉が。事の真偽は司直の手に委ねられるが、「立民のホープ」が後援者の思いに寄り添えず、向き合えなかったことだけは確かなようだ。
「週刊新潮」2023年12月14日号 掲載