<独自>都英語スピーキングテストに反対派都議が「潜入」 試験監督のバイトに応募

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東京都立高校入試の評価資料として中学3年生向けに11月26日に実施された英語スピーキングテストを巡り、実施反対派の都議が試験監督のアルバイトに応募し、会場で監督業務に従事していたことが9日、関係者への取材で分かった。
試験監督をしていたのは立憲民主党の風間穣(ゆたか)都議(世田谷区選出)。関係者によると、世田谷区内の会場で業務に当たった。同じ会場で試験に立ち会った都の職員が気付いて確認したところ、風間氏本人であることを認め「アルバイトに応募した」と説明したという。
風間氏は、英語スピーキングテストのあり方なども取り上げる都議会文教委員会に所属。実施に反対の立場を表明している。監督業務に従事した意図などを尋ねる産経新聞の取材に、「守秘義務があるのでお答えできない」と回答した。
都によると、今年の英語スピーキングテストは都立学校など都内227会場で実施され、中学3年約7万人が受験した。運営は都の発注を受けたベネッセコーポレーションが担当。同社が募集したアルバイトが主に監督し、全会場には都職員も配置された。
風間氏の行為について中堅都議は「事実であれば問題」と指摘。都の担当者は「都として話をすることはない」とするが、都幹部が都議会立民会派に抗議したという。
日本大の岩井奉信(ともあき)名誉教授(政治学)は、都議会が承認し都が発注した事業から派生したアルバイトに従事しており「議員報酬とアルバイト代の『税金の二重取り』にあたる可能性があり、違和感を覚える人もいるだろう。説明責任があるのではないか」と指摘した。

英語力向上に意義、中止求める声も
日本人の弱点とされる英会話力の向上を目指して東京都が都立高受験で導入した英語スピーキングテストを巡っては「使える英語を学ぶ動機になる」といった肯定的な意見がある一方、反発の声もある。
「『聞くこと』『話すこと』『読むこと』『書くこと』の4技能を総合的に育成することが大変重要。大変意義があることだと思っている」。都の導入に当たり、永岡桂子文部科学相=当時=は昨年11月の閣議後記者会見でこう評価。都内で子育てする主婦も「子供にとって受験が大変になるかもしれないが、英語の学習を考えればよいことなのではないか」と話す。
一方で、評価や判定のばらつきを完全に避けることは難しく、平等性や公正性が確保できないなどとして、導入前から反発の声が上がっていた。2回目の今年の実施前にも、改めて中止を求める意見が出ている。
また、昨年実施された初回のテストでは、機材トラブルで受験生の解答が正しく録音されないという事態も生じ、一部で「ほかの生徒の声が聞こえた」という音漏れに対する指摘もあった。
このため今年は生徒同士が距離を取れるように机の間を広く空けるなどの措置がとられた。都の担当者は「子供たちの英語力向上に資するよう、より良い制度にしていきたい」と話している。(大泉晋之助)

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