資産35億円の「超富裕層」でもクレカの審査落ち…FIREで「早期リタイア」しても油断できないワケ

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超富裕層がクレジットカードの審査落ち――にわかに信じがたい話が、X(旧Twitter)に投稿され話題を集めていた。
今年8月、35億円もの資産を持ち、現在は無職だという男性が、ある銀行系のクレジットカードの審査に通らなかったと嘆くつぶやきを投稿したのだ。
この投稿に対して、「クレジットカードの審査基準はどうなっているのか」、「FIREや早期リタイアする前にクレジットカードを作成したほうがいいのか」といった困惑のコメントが多数寄せられていた。
そこで今回は、クレジットカードの審査について、クレジットカード、ポイント、マイレージについて豊富な知識を持つ、株式会社ポイ探の代表取締役・菊地崇仁氏に伺った(以下、「」内は菊地氏のコメント)。
「前提としてクレジットカードの審査基準は公開されておらず、審査の通りやすさに振れ幅はあれど、“絶対に受かる”・“絶対に落ちる”ということはありません。クレジットカード会社各社で独自の審査基準を設けており、その基準に沿って株式会社シー・アイ・シーや株式会社日本信用情報機構という信用情報機関のデータをもとに、審査をするというのが一般的な流れです。
信用情報機関とは、加盟しているクレジットカード会社などから、個人のクレジットやローンに関する信用情報を収集し、加盟している会社からの照会に応じて情報提供を行う会社のこと。
その情報を参照して審査を行っているため、返済の延滞が非常に多い場合や、過去6ヶ月間に多くのローンを申し込んでいる場合、さらに他社のカードも含め過去2年間で支払いの延滞がある場合など、支払い延滞履歴があると審査通過は厳しくなります。この他にも、携帯電話の割賦販売や奨学金の延滞も信用情報に載ってしまいます」
Photo by iStock
ではXに投稿した超富裕層男性のような人でも、クレジットカードの審査に落ちてしまうことは珍しくないのだろうか。
「はい、充分ありえるケースです。先ほど挙げたような支払い延滞履歴などがあると、いくら資産があっても審査が通らない可能性が高いのは言わずもがなですが、仮にそういった審査に不利となる過去がなくても、落ちてしまうことは珍しくありません。だいたいどのクレジットカード会社にも入会目安として、“18歳以上の安定した収入があること”といった記載があります。
この入会目安に当てはまらないと審査に落ちる可能性は高まるのです。ちなみにカード発行前のオンライン申し込み時に記入する金融資産額は、必須項目ではなくあくまで任意の項目のため、あまり審査の対象とはならないようです」
また、菊地氏いわく「定期的に配当金などが入っていれば審査は通っていたかもしれません」とのことなので、投稿者の男性は配当金などの収入もなく、“安定した収入”がないと判断されてしまった可能性が濃厚だ。
「“安定した収入”がない人がクレジットカードを発行したい場合には、主に2つ方法があります。例えば三井住友銀行のOliveというクレジットカードでは、三井住友銀行の口座と連携したサービスになるので、三井住友銀行に資産の大半を預けておけば、審査時に申込者の金融資産がどの程度あるかも調べることもできるでしょう。
そのため口座にこれだけ資産があるから大丈夫と審査の判断材料になり、収入がなくても審査が通る可能性はあります。そもそも銀行に相当な資産を預け入れておけば銀行の担当者がつくので、その担当者にカード発行のお願いをすることもできるでしょう。もうひとつは、プラチナカードやブラックカードを所有する知人から紹介してもらうという方法。信頼のあるカード所有者からの紹介であれば、審査落ちする事はあまり聞いたことがありません」
近年、「FIRE」などが新たなライフスタイルとして注目されているが、早期リタイアしてしまうとクレジットカードが作れないという状況に陥ることもあるわけか。
「ただ、“18歳以上で連絡が取れる方”というような、入会目安に“安定した収入”がないクレジットカードもありますので、そういったカードであればFIRE後でも作れる可能性は高いです。クレジットカードは発行会社の運営業態・母体によって、銀行系、信販系、流通系、交通系などいくつかの系列に分類されますが、流通系や交通系は一般生活をするうえで必要度が高いので、入会目安に“安定した収入”がない場合もあります。
ただし油断は禁物で、“安定した収入”の条件がない場合の多い流通系でも審査が通らない人もいるので、やはり正確な審査基準は内部の人でない限りはわからない、というのが正直なところです。
ですからFIREなどの早期リタイアを検討している人は、そうする前にほしいクレジットカードを作成しておくのがおすすめ。クレジットカード取得後であれば、職種や職歴を変更することはWEBで簡単にできますので、安定した収入があるうちに取得しておいたほうが賢明でしょう。
そして取得後はクレジットヒストリー(使用履歴)が重視されるので、延滞などせずに返済をきちんと行っていることをアピールするために、小額でもいいので定期的に利用することが信用情報構築のためには重要です」
早期リタイア前にカードは作っておくほうがいいとのことだが、そもそもクレジットカードは何枚ぐらい持っているのがいいものなのだろうか。
「基本的には所有するクレジットカードは1枚でいいと思いますので、予備も含めて計2枚持っておけば充分でしょう。逆に、近頃はクレジットカードの不正利用被害が増えていますので、大量にカードを作ってしまうほうがリスキーだと思います。
所有するカードが増えると、その分不正利用される可能性も増すことになります。明細をきちんと確認していれば不正利用されてもすぐに気づけますが、不正利用は数百円、数千円といった少額を繰り返して引き落とされるという被害が増えており、きちんと確認しないと被害に気付けないケースが多いので注意してください」
Xの投稿にあったように、超富裕層でもクレジットカードの審査に落ちることは本当にあるようだ。審査がゆるいカードであれば安定収入がなくても作れる可能性は高いようだが、もし自分のほしいカードや格の高いカードを持っておきたいのであれば、早期リタイアをする前に作っておくといいだろう。
(取材・文=逢ヶ瀬十吾/A4studio)

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