4000万円で作ったのに「14年間放置」の桟橋を独自取材 “全員一致の賛成”条件に舛添要一氏が言及「普通は多数決」

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東京・港区の芝浦に、14年間ほとんど利用されたことのない桟橋が存在する。【映像】東京・港区の桟橋付きマンション
港区議で、船舶免許学校も運営する「水辺のプロ」である榎本茂氏に案内してもらったのは、JR田町駅から徒歩5分ほどの「渚橋桟橋」。バリアフリー対応され、テラスも広く立派な「浮き桟橋」だ。 東京都では2004年、当時の石原都知事が発案した「運河ルネサンス計画」によって、東京の水辺を活性化させようと、規制緩和が行われた。特区を設け、水辺開発をスタートさせ、その要となったのが、各所に桟橋を作ることだった。設置のハードルを下げ、船で自由に移動できることをねらった。 このエリアも特区だったため、船での集客を期待して、2009年に地元商店会が桟橋設置を提案した。東京都や港区の補助金3500万円に加え、民間企業からも支援金を集めて、4000万円以上をかけて設置が決まった。 しかし、この運河を利用してきた関係者の一部から、反対の声が上がったという。榎本区議が背景を説明する。
「やっぱり全員の合意ができないと。地域って1人、2人の反対があっても、反対意見があると、まとまらない。運河ルネサンスは、そもそもダメなことを『みんながいいよ』と言ったら、許可してあげるよという緩和策」(榎本茂区議) 運河ルネサンスの取り決めでは、地元の人たちなど「全員一致」の合意が条件となる。設置に反対した関係者に話を聞くと、「運河が狭い場所に桟橋があるため、船の出入りが危険で、この運河を使い、仕事をする側として、生活に関わる問題」との意見だった。そこで、全員一致の賛成とするために、こんな折衷案が出された。 「結局、船が止められない桟橋ってことで作っちゃった。作ったのはいいけど、船は止められない。『止めませんから作らせてください』と言っちゃった」(榎本茂区議)
地元商店会は、反対派に「船は接岸させない」という条件を出して、まずは設置を優先させた。しかし14年たっても条件は変わらず、本来期待した利用ができないまま放置状態になっている。港区が把握しているだけで、オープニングイベントや大学の実習など、これまで4回の利用しかしていないという。 しかも桟橋の所有と管理は、都や区ではなく民間のため、維持費もかかっている。「場所代も東京都に払っている」と榎本区議は語る。商店会は今年9月、港区に桟橋を返却し、区で運営してほしいと請願書を提出したが、港区議会は否決した。 いまも放置状態が続く桟橋。現地を取材した田中萌アナウンサーは、「もったいない」と感想を語る。 「バリアフリーになっていて、車椅子の方なども使える。当時、一生懸命に設置していた人たちも代替わりしてしまい、押し付け合いではないが、責任を取りたくない、なすりつけている感じがちょっと苦しいなと感じた」(田中萌アナ) 元東京都知事の舛添要一氏は、石原都政時代の「運河ルネサンス」をどう見るか。 「発想はいいが、『全員が賛成しないとできない』という決定をどうして下したのか。普通は多数決。『議会なんかで可決すればやる』という風にしないと無理だと思う。この桟橋のことは、都知事時代、誰も私に知らせなかった。『東京都としては関係ない。地元の商店会が勝手に作った。家賃をもらうだけ』という感じだから、知事にも知らせなかったのだろう」と推察した。(『ABEMA的ニュースショー』より)

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