「首相になりたい」「チャンスは平等に来る」と語る河野氏に試練…ライドシェアやマイナ

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岸田政権下で、河野デジタル相の手腕が問われる局面が続いている。
デジタル政策や規制改革など内閣の重要課題を担う一方、所管するマイナンバーカード問題などでは、対応次第で政権の打撃となるリスクもはらむ。河野氏が意欲を示す将来の首相候補としての試練と見る向きもある。
河野氏は4日、個人が自家用車を使って有料で乗客を運ぶ「ライドシェア」を特例的に導入する兵庫県養父市を訪れ、運用状況を視察した。視察後、記者団に「ニーズに対応できない規制は変えなければいけない。なるべく早くできるものからやりたい」と述べ、導入拡大に意欲を示した。
現在、自家用車による有償での乗客運搬は原則禁止されており、導入には大幅な規制改革やタクシー業界との調整が必要だ。9月の内閣改造で行政改革や規制改革の担当が加わった河野氏は、今月6日に規制改革推進会議の作業部会を開催し、検討を加速させる考えだ。
河野氏は、岸田首相肝いりの「デジタル行財政改革会議」の司令塔を任され、国の事業を点検する「行政事業レビュー」による政府予算の無駄削減なども所管している。政府内では「政策の実行力を示せば政権浮揚につながる」(首相周辺)との期待も出ている。
一方、マイナカード問題では、河野氏が2024年秋の健康保険証の原則廃止を主導し、世論の不興を買った。トラブル対応の総点検は11月末までに完了する見通しだが、結果次第では内閣支持率のさらなる下落を招く可能性もある。
09年と21年の自民党総裁選に出馬した河野氏は、3度目の挑戦への意欲を持ち続けている。最近も所属する麻生派議員に「首相になりたい」と伝えたほか、4日に大阪府東大阪市で行われたトークイベントでは、小学生から首相になるためにはどうしたらいいかと聞かれ、「チャンスは誰にも平等に来る。準備ができているかどうかが大事だ」と語った。
党内では、河野氏の突破力や知名度の高さに一定の評価がある反面、強引な政治手法への警戒感は根強く、21年総裁選では麻生派からもまとまった支持は得られなかった。派閥を率いる麻生副総裁は今も、河野氏の総裁選出馬に慎重な姿勢を崩していないとされる。
河野氏は、自身に近い中堅・若手を中心とする議員との勉強会を続けているが、派幹部は「自分に近い仲間内だけで物事を進めようとしても求心力は高まらない。党内の幅広い意見に耳を傾けることが必要だ」と指摘している。

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