《大阪すし店で爆発事故》3年前も同じ場所で大規模火事 近隣店主の嘆き「あの土地は呪われてるんじゃないか」

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10月28日の午後1時頃、大阪・天満駅から100mほどの距離にある「寿司 炭火割烹 天満鮨」(大阪市北区天神橋4丁目)で爆発事故が起きた。2階を含めて約100人の客で埋まった店内で、魚を炙ろうとしたガスバーナーのボンベが爆発し、従業員4人と客8人がいずれも軽傷を負ったという。同店は約1カ月前にオープンしたばかりだった。
【写真】3年前、天満の同場所で起きた火災現場の様子。入りくんでいる様子がわかる 大阪駅から環状線でわずか一駅の「天満駅」周辺は、日本最長という全長約2.6kmの天神橋筋商店街がある。そして、天満市場の裏側にあたる通称「裏天満」には小さな飲食店が密集して軒を連ねている。グランフロント大阪をはじめとするキタの再開発が進むなか、なにわの情緒を残すのがお隣の天満だ。つい一週間ほど前、筆者は天満駅からの細い路地を歩いていて、新しくできたこの寿司店に目が留まった。その理由はふたつある。

まず、薄暗く細長い通りに面していながら、寿司店としては異例のオープンテラスが併設されており、寿司カウンターを強烈なライトが照らして目立っていたというのがひとつ。そして、この地がしばらく更地となっていた経緯を知っていたのがふたつめの理由だ。「商店街も注意喚起はしているが……」 およそ3年前、天満では焼き肉店が全焼する大規模の火事が起き、その裏手にあった理容室やペットフードショップにも延焼。その後、更地となっていたこの場所に新しく建てられたのが今回の現場となった天満鮨だ。9月22日のオープンからわずか1カ月あまりで起きた事故だった。事故が起きた日の夜、近隣にある人気焼き肉店の店主はこう語った。「この飲食店一帯は道が入りくんでいて狭く、消防車が入り込むことができず、駅前の大通りと天満市場の両サイドからホースを引っ張ってこないと鎮火できないんです。5年ほど前には、串焼き店のダクトの中に溜まっていた油が発火し、その店だけでなく隣接していた焼き肉店とラーメン店まで全焼してしまう火事が起きてしまった。 小規模も含めて火事が相次いでおり、商店街としても火災予防の注意喚起はしていますし、路地にはみ出して机や椅子を置いて営業している飲食店には厳重注意をしているようですが、一体どれほどの効果があるのか」 そして、3年前に火事が起きた同じ場所で、今度は爆発事故が起きてしまった。店主が続ける。「天満は呪われているんじゃないか、あの土地は祟られているんじゃないか、と親しい飲食店の人と話したばかりです。今回の件はあくまで事故でしょうが……」 幸い店内の損傷は少なかったのか、「天満鮨」は爆発事故の翌日には営業を再開。11時半のオープンから行列ができ、一見すると事故などなかったかのような様子だった。しかし、近隣の飲食店や住民にとって、火災や事故が相次ぐ状況は決して対岸の火事では済まされないだろう。◆取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)
大阪駅から環状線でわずか一駅の「天満駅」周辺は、日本最長という全長約2.6kmの天神橋筋商店街がある。そして、天満市場の裏側にあたる通称「裏天満」には小さな飲食店が密集して軒を連ねている。グランフロント大阪をはじめとするキタの再開発が進むなか、なにわの情緒を残すのがお隣の天満だ。つい一週間ほど前、筆者は天満駅からの細い路地を歩いていて、新しくできたこの寿司店に目が留まった。その理由はふたつある。
まず、薄暗く細長い通りに面していながら、寿司店としては異例のオープンテラスが併設されており、寿司カウンターを強烈なライトが照らして目立っていたというのがひとつ。そして、この地がしばらく更地となっていた経緯を知っていたのがふたつめの理由だ。
およそ3年前、天満では焼き肉店が全焼する大規模の火事が起き、その裏手にあった理容室やペットフードショップにも延焼。その後、更地となっていたこの場所に新しく建てられたのが今回の現場となった天満鮨だ。9月22日のオープンからわずか1カ月あまりで起きた事故だった。事故が起きた日の夜、近隣にある人気焼き肉店の店主はこう語った。
「この飲食店一帯は道が入りくんでいて狭く、消防車が入り込むことができず、駅前の大通りと天満市場の両サイドからホースを引っ張ってこないと鎮火できないんです。5年ほど前には、串焼き店のダクトの中に溜まっていた油が発火し、その店だけでなく隣接していた焼き肉店とラーメン店まで全焼してしまう火事が起きてしまった。
小規模も含めて火事が相次いでおり、商店街としても火災予防の注意喚起はしていますし、路地にはみ出して机や椅子を置いて営業している飲食店には厳重注意をしているようですが、一体どれほどの効果があるのか」
そして、3年前に火事が起きた同じ場所で、今度は爆発事故が起きてしまった。店主が続ける。
「天満は呪われているんじゃないか、あの土地は祟られているんじゃないか、と親しい飲食店の人と話したばかりです。今回の件はあくまで事故でしょうが……」
幸い店内の損傷は少なかったのか、「天満鮨」は爆発事故の翌日には営業を再開。11時半のオープンから行列ができ、一見すると事故などなかったかのような様子だった。しかし、近隣の飲食店や住民にとって、火災や事故が相次ぐ状況は決して対岸の火事では済まされないだろう。
◆取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)

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