「殺されそうになった」女性も…YouTuberとコロナが「飛田新地」に引き起こした恐ろしい変化

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大阪に今なお残る、日本最大級の”歓楽街”である飛田新地。現在でも多くの客が飛田新地を訪れている。
そんな飛田新地に今、大きな変化が生まれている。それは、近年のSNSの普及による「観光地化」とコロナ禍による「働き方の変化」だ。
多くのYouTuberやインフルエンサーがSNSで取り上げた結果、飛田新地は若者たちの観光地となっているようで、遊ばずに写真だけを撮る、または盗撮を試みる人も増え、店側の対応も難しくなっているのだという。
また、コロナ禍で客層が遠のいた結果、お店を通さずに直接客とやり取りをする「直引き」をするケースも後を絶たないという。
そんな、大きな変化の時期にある飛田新地の実情を、3年ほど飛田新地で働いたというKさん(27歳)が体験を基に話をしてくれた。
「私が飛田新地で働き始めたのは24歳の頃。スカウトの知り合いに紹介されて、青春通りで働くようになりました」
飛田新地には、青春通り、メイン通り、妖怪通り、年金通りと呼ばれる通りがあり、年齢によって、働ける場所が大まかに決まっている。一般的には20代前半が青春通り、20代後半がメイン通り、30代が妖怪通りで、40代以上が年金通りという通りで働くことが多い。
Kさんが働いていたのは、青春通り。24歳からだと、メイン通りで働くことになるのかと思っていたが、実際の年齢よりも若く見えたので、青春通りでの勤務になったのだという。
飛田新地のシステムは、店の外から見える位置に座り、手を振って客を呼び込み、一緒に二階の部屋へと移動する。料金は店によるが、30分で2万円前後だ。
取り分は、実際に働いている女性が半分、店側が半分、そして呼び込みをしているおばちゃんに1000円が相場になるのだとか。
「コロナの前は、一人もお客さんが入らなければ給料は発生しないので、店の裏側の待合室でお客さんへの営業連絡をすることが多かったです。それに、受付のおばちゃんに嫌われるとお客を回してもらえないので、ご機嫌取りもやってました」
そんな働き方が、コロナの流行で一変した。コロナの営業規制が明け、営業を再開しても、離れた客足はすぐには戻らなかった。すると、彼女に給料を払うことが難しくなった店が「直引き(じかびき)」を提案してきたのだという。直引きは裏引きとも呼ばれ、店を通さずに、女性が客と直接連絡を取り合い、店の外で会うことを指す。
直引きは、店の取り分がなくなること、そして客と女性の二人だけだと何が起きるのかわからなくなるため、”業界”ではご法度とされている。しかし、店側も客が来ない以上、そう提案するしかなかったのだろう。食い扶持を稼ぐために仕方なく直引きを始めたKさんを待ち受けていたのはトラブルの数々だった。
「私も一度、被害にあったことがあります。お店で働いているときは何かあったらスタッフが助けてくれますが、直引きでは自分でなんとかしなければいけません。相手はプレイの一環だと言いながら私の首を絞めてきました。これに耐えられなくて、相手の男を蹴飛ばして逃げました」
また盗撮やストーカーの被害にも遭いやすくなる。盗撮された動画や写真をSNSに上げられ、在籍している店舗まで特定されてしまい、店を辞めることになってしまった同僚もいるという。
「爆サイ(ネットの掲示板のこと)やSNSは細かくチェックするようになりました。コロナの前はたまに確認するくらいでしたが、コロナが明けてからは、勤務日のたびにチェックするようにしています。ただ、さらされてしまってもそのお客さんと思われる人を出禁にしてもらうしかないので、本当に怖いです」
誰がどのような投稿をしているかは、個人で確認するしかないのが現状だ。世間の目も冷たく、女性がなにか事件に巻き込まれても、自己責任に近い状況なのだという。
SNSで自分のことをうまく宣伝する女性がいる一方で、個人情報が漏れてしまう女性もいる。女性への被害を防ぐために、日本の歓楽街のあり方が変化する日も、そう遠くないのかもしれない。

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