明治のスナック菓子「カール」をふるさと納税返礼品に採用している松山市。
今年4月から実施した第1弾では「懐かしい」「久しぶりに食べた」と大反響を呼び、7月14日から始めた第2弾もすでに「チーズあじ」は完売、「うすあじ」が残っているだけと人気を博している。カールは松山市内にある四国明治松山工場のみで生産され、販売は西日本に限定。このため、ふるさと納税の申し込みは東京を中心とする東日本からが圧倒的に多いようだ。
絶大な人気と知名度
カールは日本初のスナック菓子と銘打って昭和43年に登場した。トウモロコシを原料とし、ノンフライ製法にこだわっている。以来、半世紀以上続くロングセラー商品となっている。
「明治」は平成29年に生産拠点を四国明治の松山工場に限定し、6種のチーズをブレンドして味付けした「チーズあじ」と、昆布やカツオなどのうまみを生かした和風味の「うすあじ」の2種類を生産。西日本のみで販売している。親しみやすいテレビCMや、キャラクターの「カールおじさん」とともに全国になじみがあっただけに、販売している地域以外では懐かしがる人が多いようだ。
松山市は昨年、松山城、道後温泉本館をデザインしたオリジナルパッケージのカールが販売されたことをきっかけに、ふるさと納税の返礼品として、松山市で生産されるカールのブランド力を生かそうと取り組みを始めた。
6000円を市に寄付すると、返礼品としてカール10袋(1ケース)が送られる仕組み。1万8000円では30袋となる。チーズあじか、うすあじを選ぶことができるようにして、今年4月26日から第1弾を実施。当初はチーズあじ、うすあじともに5000袋の限定だったが、カールの人気と知名度は絶大だった。
申し込みが殺到し、5月の大型連休のころには予定数に達する見込みに。このため、市はその後、数度にわたって四国明治に追加発注し、申し込みを締め切った6月30日には、チーズあじ7200袋、うすあじ9620袋まで増えていた。すべてが売り切れ、7月上旬に発送を終えた。
圧倒的に東日本から申し込み
担当の市地域経済課主任、小切山早織さんによると、市のふるさと納税返礼品は約1000種類あり、「紅まどんな」などのブランド柑橘(かんきつ)、シラス、ポンジュース、旅行券が上位。カールはこれらに次ぐ人気ぶりで、第1弾の寄付額は1000万円を超えた。スナック菓子としては異例の反響となっているという。
「松山市の場合、ふるさと納税の申し込みは東日本が7割、西日本が3割。ところがカールは他の返礼品とは違い、圧倒的に東日本。98対2くらいの割合です。東京が特に多い」と小切山さんは話す。さらに、チーズあじの人気がとても高いという。
第1弾の好評を受け、市は第2弾の申し込み受け付けを7月14日から開始した。チーズあじ、うすあじとも5000袋を用意。ところが翌日にチーズあじが完売した。このため、今回も10000袋ずつを追加発注した。それでも8月30日にチーズあじがなくなり、9月19日時点で残っているのはうすあじが7580袋(758ケース)ほどという。
「東京の人がこっちでは置いていないのでと、懐かしがって申し込んでくれている」と小切山さん。第2弾の発送は10~11月に行う。さらに、市は第3弾の実施も予定している。「ふるさと納税をしてくださる方に楽しんでもらえるよう趣向を凝らしたい」と小切山さんは話していた。
明治広報部は「地域密着・地元への貢献を重要視しているなか、四国明治松山工場生産品で地域でなじみの深いカールでふるさと納税に参加することで、松山市に貢献したいという意思から参加した。ふるさと納税でカールが地元で愛されるスナックとしての認知強化にも貢献できればうれしい」とコメントしている。(村上栄一)