長時間の取り調べでうつ病、巡査長への賠償支払い命じる…「お前しかおらん」自白強要

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拳銃の実弾5発を盗んだと疑われ、不当な取り調べを受けてうつ病を発症したとして、奈良県警奈良西署の20歳代の男性巡査長が、県に約820万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、奈良地裁は31日、県に約300万円の支払いを命じた。
寺本佳子裁判長は「限度を超えた違法な取り調べだ」と述べた。
判決によると、男性は昨年1月以降、実弾を盗んだ容疑者として連日長時間の取り調べを受け、同3月にうつ病を発症して休職した。関与を否定する男性に対し、取調官が「お前しかおらん。ウソつくな」などと自白を強要。県警の調査で同7月、実弾を紛失した事実はなく、交換時の配分ミスが原因だったことが判明した。
寺本裁判長は「男性は実弾の点検業務に従事していたという理由だけで疑われており、合理性はない」と指摘。「取調官らが人格的な非難や侮蔑(ぶべつ)的な言葉で心理的に追い詰めた」とし、精神的苦痛を認めた。

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