《スト迫る西武池袋本店》高級フルーツ、野菜の半額シール乱れ打ちに長蛇の列「残れば廃棄」「お客様には感謝」従業員の複雑胸中

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「明日、お休みですよ。どんどん持っていってください」「タイムサービスやってますよ」──生鮮食品売り場には店員の威勢のいい声がこだまし、高級フルーツにまで半額シールが乱れ打ちだ。夕方過ぎになると、割引商品を狙った客が詰めかけて、複数あるレジはどれも長蛇の列。
【写真】ストライキ前日の店内の様子ほか ここ、東京・豊島区の西武池袋本店では、明日8月31日に終日ストライキが決行される。労組は親会社「セブン&アイ・ホールディングス」が米投資ファンドに「そごう・西武」を売却するのを先送りにするよう求めていたが、セブン側が9月1日付での売却する方針を固めたことを受けて、予定通りストライキに踏み切ることを発表した。大手百貨店でストライキが実施されるのは、実に約60年ぶり。

労組の決定を受けて、西武池袋本店は8月31日に全館臨時休業となる。従業員はストをどのように受け止めているのか。取材から見えてきたのは、混乱した現場の様子だった。 西武池袋本店では組合員900人が働くほか、テナント企業の社員など組合員ではない約1万人の従業員がいる。同店で働く従業員にとって、臨時休業は寝耳に水の出来事だったらしい。ケーキ店の店員が明かす。「明日が休みだと今日知りました。私たちは決まったことを後から聞かされるばかりで……。日保ちしない食品を扱っているので大変です。また、和・洋菓子売り場で行っている応募抽選会の最終日がちょうど臨時休業の日と重なってしまいました。せっかくの応募券を無駄にしてしまうお客様がいらっしゃらないかも心配です」明日の催事のために地方から出てきたスタッフもいたが… 期間限定の特別出店がストと重なったと言うのは催事の店員だ。「この催事のためにわざわざ地方から出てきたスタッフもいるので、ストと被るのは正直残念ではあります」 生鮮食品や惣菜などで売れ残った商品は、廃棄せざるをえない。翌日の臨時休業を知らされた店員は、その日中に商品を売り切る方法を慌てて考えることになった。焼き鳥店の店員はこう語る。「普段は仕込んで焼いていますが、廃棄になるのが怖いので、今日は注文をもらってから焼くようにしています」 鮮魚店の店員も同様の反応だ。「普段は夕方から割引なんてしませんが、明日が休みなので今日は特別。全部売り切らないといけないから大変です。売れ残りに補償があるのかどうかは聞かされていません。上の人たちはストライキで戦ってくれているけど、私たちとしては『1日分の売り上げがなくなると大損失』というのも本音です」 9月1日以降は通常通り営業するのか。弁当売り場の店員は「それもわからないんです」と苦笑いで答えた。「私たちも今知ったんですが、9月1日の営業についても変更の可能性があるみたいです。そもそも明日が臨時休業ということもネットニュースで知りました。本当に、私たちは何もわからないんです……」 ある店員は、「私たちは、ただ仕事をするだけです」と神妙な面持ちで語った。約60年ぶりとなった大規模百貨店のストライキ。今後の展開が注目される。
ここ、東京・豊島区の西武池袋本店では、明日8月31日に終日ストライキが決行される。労組は親会社「セブン&アイ・ホールディングス」が米投資ファンドに「そごう・西武」を売却するのを先送りにするよう求めていたが、セブン側が9月1日付での売却する方針を固めたことを受けて、予定通りストライキに踏み切ることを発表した。大手百貨店でストライキが実施されるのは、実に約60年ぶり。
労組の決定を受けて、西武池袋本店は8月31日に全館臨時休業となる。従業員はストをどのように受け止めているのか。取材から見えてきたのは、混乱した現場の様子だった。
西武池袋本店では組合員900人が働くほか、テナント企業の社員など組合員ではない約1万人の従業員がいる。同店で働く従業員にとって、臨時休業は寝耳に水の出来事だったらしい。ケーキ店の店員が明かす。
「明日が休みだと今日知りました。私たちは決まったことを後から聞かされるばかりで……。日保ちしない食品を扱っているので大変です。また、和・洋菓子売り場で行っている応募抽選会の最終日がちょうど臨時休業の日と重なってしまいました。せっかくの応募券を無駄にしてしまうお客様がいらっしゃらないかも心配です」
期間限定の特別出店がストと重なったと言うのは催事の店員だ。
「この催事のためにわざわざ地方から出てきたスタッフもいるので、ストと被るのは正直残念ではあります」
生鮮食品や惣菜などで売れ残った商品は、廃棄せざるをえない。翌日の臨時休業を知らされた店員は、その日中に商品を売り切る方法を慌てて考えることになった。焼き鳥店の店員はこう語る。
「普段は仕込んで焼いていますが、廃棄になるのが怖いので、今日は注文をもらってから焼くようにしています」
鮮魚店の店員も同様の反応だ。
「普段は夕方から割引なんてしませんが、明日が休みなので今日は特別。全部売り切らないといけないから大変です。売れ残りに補償があるのかどうかは聞かされていません。上の人たちはストライキで戦ってくれているけど、私たちとしては『1日分の売り上げがなくなると大損失』というのも本音です」
9月1日以降は通常通り営業するのか。弁当売り場の店員は「それもわからないんです」と苦笑いで答えた。
「私たちも今知ったんですが、9月1日の営業についても変更の可能性があるみたいです。そもそも明日が臨時休業ということもネットニュースで知りました。本当に、私たちは何もわからないんです……」
ある店員は、「私たちは、ただ仕事をするだけです」と神妙な面持ちで語った。約60年ぶりとなった大規模百貨店のストライキ。今後の展開が注目される。

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