「なるべく日本語を喋らずに通学」反日ムード過熱? 現地記者「反日一色で染まってるわけではない」処理水放出をめぐり【Nスタ解説】

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中国で横行している、福島第一原発の処理水放出を糾弾する日本への迷惑電話。日本への反発はどこまでエスカレートするのでしょうか?
【写真を見る】「なるべく日本語を喋らずに通学」反日ムード過熱? 現地記者「反日一色で染まってるわけではない」処理水放出をめぐり【Nスタ解説】中国当局は事実上黙認?南波雅俊キャスター:福島第一原発の処理水放出を巡る中国の反発が日々激しさを増しています。▼関係のない場所への迷惑電話や▼科学的根拠のない罵詈雑言など、様々な行為があります。これについて、日本政府は8月26日、外務省アジア大洋州局長が、在日中国大使館・次席公使に対して「極めて遺憾である」と抗議しました。中国国民に冷静な行動を呼びかけるように求めたわけです。

そして、北京にある日本大使館もSNS上で「こういった行為は犯罪行為です」「商店であれば経済的損失、救急医療機関であれば人命に関わる危険性が高い」としています。この迷惑電話について、中国の社会情勢に詳しい東京大学大学院の阿古智子教授は…▼処理水の海洋放出に不満を持つ市民が行っているのではないか▼SNSで閲覧数を稼ぐことで、広告収入を得たい人もいるのではないかと見ています。東京大学大学院 阿古智子教授「政権にとって都合の悪い投稿は(中国では)削除される。今回、当局は事実上黙認しているのではないか」その一方で8月24日、原子力の専門家でヨーロッパ在住の中国人とみられるアカウントが、中国のSNS上に「中国のトリチウム放出上限は福島第一原発の8倍。日本の放出は心配するに値しない」と投稿したのですが、投稿は削除。アカウントも凍結されています。実際にトリチウムの放出量は、年間で▼中国は112兆ベクレル、▼日本は22兆ベクレル未満を目標としていくわけです。ただ、中国の外交部報道官は「処理水のデータの正確性や無害性などを証明していない」としているわけです。国内の不満を海外に?不動産問題で中国経済が不安定南波キャスター:こうした中、反日のムードは加速もしています。中国国内では、化粧品など日本製品の「ボイコット」を呼びかけています。そして北京市民も「もしずっと“汚染水”を排出し続けるなら全ての商品に“汚染水”のイメージがつく」と話しています。また、上海の日本人学校で登校中の生徒などに大声で怒鳴る男がいたり、中国・山東省の日本人学校で石や卵が投げ込まれる事例も起きています。中国にいる日本人の保護者「なるべく日本語を喋らない形で通学するようにしている」こうしたことが起きている背景についても阿古教授は分析しています。東京大学大学院 阿古智子教授「不動産の問題を筆頭に中国経済が不安定になっている。国内の不満を海外に向けようとしているのではないか」中国はGDPの約3割が不動産ですが、8月、不動産大手の「恒大集団」がアメリカで破産申請を行いました。▼住宅価格暴落、▼マンション建設も止まって購入したのに入居できないという人たちもいる。やはり中国政府の不満が市民も高まっているのではないかというわけです。日比麻音子キャスター:迷惑電話、迷惑行為などが過激化しています。メイさんはどのようにご覧になりますか。ハロルド・ジョージ・メイさん:中国政府がオーバーリアクションだと思いますよ。これほど処理水の安全性が国際的に証明されているにもかかわらず、科学的な根拠がないままここまで抗議するのはどうなのかなとまず思います。いたずら電話は大人げない。逆に言うと、この件に関しては日本政府も頑張りましたね。国内だけではなく国際機関であるIAEAのお墨付きをもらったり、あるいはただ単に処理水を流すだけではなく、それを何か所か毎日のように検査をしてそれも公開することはすごいと思います。でも逆に言うと中国も他人事ではないんですよね。中国も55基の原発を抱えてますし、あと22基が建設中なので、そこはどうなんだみたいな疑問もわいてきますよね。「政治カード」として利用も誤算か 中国政府の思惑とは日比キャスター:中国政府がこの問題どのように見ているのか、北京支局の立山芽以子記者です。立山記者:中国政府はこの問題を政治カードとして利用しようと、早い段階から日本に対する批判を繰り返してきました。しかし、気が付けば国際社会で批判しているのは中国と北朝鮮、ロシアだけという状況に陥っており、これは誤算だったようです。また、中国政府としても、国民に対し処理水の危険性をさんざん煽ってしまった結果、塩の買いだめや魚の値上がりなど、国内にブーメランのように跳ね返ってきているのも予想外だったと思います。日本政府関係者は「事態をコントロールできている部門がないため、何が起こるかわからない」として、今後、不測の事態が起こることを警戒しています。日比キャスター:中国の市民はどのように受け止めているのでしょうか?反日一色で染まっているわけではない立山記者:もちろん、中国政府の意向を受けた中国メディアが連日、処理水の問題について日本に批判的な報道を展開していますから、それを信じた中国の人たちが日本に嫌がらせ電話をかけたり、SNSに日本を批判する投稿をしているのは事実です。一方で北京の日本食レストランの経営者によりますと「お客さんはそれほど減っていない。むしろ、お店を応援するために、わざわざレストランにしてくれる中国の人もいる」という話も聞きます。決して中国国内が反日一色で染まっているわけではありません。また処理水のデータについても、日本政府の発表を見て冷静に受け止めている中国の人も大勢います。中国政府の思惑はともあれ、中国の人たちに対して科学的で正確な情報を提供していき、理解を得ていくしかないと思います。
南波雅俊キャスター:福島第一原発の処理水放出を巡る中国の反発が日々激しさを増しています。
▼関係のない場所への迷惑電話や▼科学的根拠のない罵詈雑言など、様々な行為があります。
これについて、日本政府は8月26日、外務省アジア大洋州局長が、在日中国大使館・次席公使に対して「極めて遺憾である」と抗議しました。中国国民に冷静な行動を呼びかけるように求めたわけです。
そして、北京にある日本大使館もSNS上で「こういった行為は犯罪行為です」「商店であれば経済的損失、救急医療機関であれば人命に関わる危険性が高い」としています。
この迷惑電話について、中国の社会情勢に詳しい東京大学大学院の阿古智子教授は…▼処理水の海洋放出に不満を持つ市民が行っているのではないか▼SNSで閲覧数を稼ぐことで、広告収入を得たい人もいるのではないかと見ています。
東京大学大学院 阿古智子教授「政権にとって都合の悪い投稿は(中国では)削除される。今回、当局は事実上黙認しているのではないか」
その一方で8月24日、原子力の専門家でヨーロッパ在住の中国人とみられるアカウントが、中国のSNS上に「中国のトリチウム放出上限は福島第一原発の8倍。日本の放出は心配するに値しない」と投稿したのですが、投稿は削除。アカウントも凍結されています。
実際にトリチウムの放出量は、年間で▼中国は112兆ベクレル、▼日本は22兆ベクレル未満を目標としていくわけです。
ただ、中国の外交部報道官は「処理水のデータの正確性や無害性などを証明していない」としているわけです。
南波キャスター:こうした中、反日のムードは加速もしています。中国国内では、化粧品など日本製品の「ボイコット」を呼びかけています。そして北京市民も「もしずっと“汚染水”を排出し続けるなら全ての商品に“汚染水”のイメージがつく」と話しています。
また、上海の日本人学校で登校中の生徒などに大声で怒鳴る男がいたり、中国・山東省の日本人学校で石や卵が投げ込まれる事例も起きています。
中国にいる日本人の保護者「なるべく日本語を喋らない形で通学するようにしている」
こうしたことが起きている背景についても阿古教授は分析しています。東京大学大学院 阿古智子教授「不動産の問題を筆頭に中国経済が不安定になっている。国内の不満を海外に向けようとしているのではないか」
中国はGDPの約3割が不動産ですが、8月、不動産大手の「恒大集団」がアメリカで破産申請を行いました。▼住宅価格暴落、▼マンション建設も止まって購入したのに入居できないという人たちもいる。やはり中国政府の不満が市民も高まっているのではないかというわけです。
日比麻音子キャスター:迷惑電話、迷惑行為などが過激化しています。メイさんはどのようにご覧になりますか。
ハロルド・ジョージ・メイさん:中国政府がオーバーリアクションだと思いますよ。これほど処理水の安全性が国際的に証明されているにもかかわらず、科学的な根拠がないままここまで抗議するのはどうなのかなとまず思います。いたずら電話は大人げない。
逆に言うと、この件に関しては日本政府も頑張りましたね。国内だけではなく国際機関であるIAEAのお墨付きをもらったり、あるいはただ単に処理水を流すだけではなく、それを何か所か毎日のように検査をしてそれも公開することはすごいと思います。
でも逆に言うと中国も他人事ではないんですよね。中国も55基の原発を抱えてますし、あと22基が建設中なので、そこはどうなんだみたいな疑問もわいてきますよね。
日比キャスター:中国政府がこの問題どのように見ているのか、北京支局の立山芽以子記者です。
立山記者:中国政府はこの問題を政治カードとして利用しようと、早い段階から日本に対する批判を繰り返してきました。しかし、気が付けば国際社会で批判しているのは中国と北朝鮮、ロシアだけという状況に陥っており、これは誤算だったようです。
また、中国政府としても、国民に対し処理水の危険性をさんざん煽ってしまった結果、塩の買いだめや魚の値上がりなど、国内にブーメランのように跳ね返ってきているのも予想外だったと思います。
日本政府関係者は「事態をコントロールできている部門がないため、何が起こるかわからない」として、今後、不測の事態が起こることを警戒しています。
日比キャスター:中国の市民はどのように受け止めているのでしょうか?
立山記者:もちろん、中国政府の意向を受けた中国メディアが連日、処理水の問題について日本に批判的な報道を展開していますから、それを信じた中国の人たちが日本に嫌がらせ電話をかけたり、SNSに日本を批判する投稿をしているのは事実です。
一方で北京の日本食レストランの経営者によりますと「お客さんはそれほど減っていない。むしろ、お店を応援するために、わざわざレストランにしてくれる中国の人もいる」という話も聞きます。
決して中国国内が反日一色で染まっているわけではありません。
また処理水のデータについても、日本政府の発表を見て冷静に受け止めている中国の人も大勢います。
中国政府の思惑はともあれ、中国の人たちに対して科学的で正確な情報を提供していき、理解を得ていくしかないと思います。

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