NEWSポストセブンの取材で発覚した、東京・渋谷区の澤田伸副区長が、区幹部が閲覧できる職場チャットに桑水流弓紀子(くわずるゆきこ)区議会議員を「桑ブタ」などと誹謗中傷する書き込みを行っていた問題。報道を受け、澤田副区長は辞職し、長谷部健・渋谷区長は記者会見で陳謝。騒動の幕引きを図ろうとしている。
【写真】ビジネスチャットで「ブタ」コメントほか衝撃文言 だが、なぜ澤田副区長が桑水流区議を誹謗中傷したのか、肝心な理由が曖昧なままだ。
桑水流区議は今年4月の統一地方選で初当選。澤田氏とは同じ立教大学出身ということ以外に目立った共通点はない。新人区議でもある桑水流区議を、澤田氏はなぜ酷い言葉で中傷したのか。 関係者によると、「問題の書き込みがあった少し前、渋谷区議会区民環境委員会で桑水流区議の質問があった。澤田氏はそれが気に入らなかった」という。委員会で桑水流区議は、渋谷区が進めている神南小学校の建て替えと、周辺の再開発計画について、反対の立場から質問していたのだ。 6月15日、桑水流区議は環境委員会で再開発計画について質問。翌16日、渋谷区のまちづくり推進部長がチャットに「昨日の区民環境委員会の質疑内容をまとめました」と投稿したところ、澤田氏が「バカの集まりになってますな!」「国民民主の桑ブタは(中略)早めに封じておかないとね!」と書き込んだのである。 桑水流区議は7月14日にも、区民環境委員会で問題の再開発計画について質問しており、澤田副区長は同月18日に「桑ブタ!」と投稿している。 一連の誹謗中傷は、神南小学校建て替えや再開発計画を批判されたことに澤田氏が逆上して書き込まれたとみられている。 そうまでして澤田氏がこだわる神南小周辺の再開発とはどのようなものか。 渋谷区役所は、渋谷スクランブル交差点から、西武渋谷店、NHKへ抜ける公園通りの西側にある。この一角に、渋谷区役所、神南小学校に隣接した築48年の分譲マンション「渋谷ホームズ」がある。 渋谷区は長谷部区長の当選後、渋谷ホームズの老朽化に伴う建て替えと同時に、神南小学校を含めてこの地域を再開発する計画を立てた。渋谷ホームズの再開発組合に神南小学校の建替え費用を出してもらう見返りとして、小学校の容積率を建て替え後の渋谷ホームズに移転する。また、渋谷ホームズから区役所に抜ける区道を廃止し、渋谷ホームズの敷地に取り込まれるという。これにより、渋谷ホームズは従来の地上14階・60メートルから、34階・150メートルの高層マンションに様変わりする。 再開発に反対する住民の会の主催者の一人で、不動産鑑定士の森口英晴さんはこう指摘する。「再開発で、渋谷ホームズの床面積は約3倍となり、開発利益は800億円に及ぶ。一方で、小学校の建設費は90億円程度です。明らかに等価交換ではありません。区長はこの再開発を『公共貢献』と謳っていますが、再開発を主導するデベロッパーに巨額の利益が生じる一方で、公園通りから区役所に抜ける道が無くなったり、小学校がビル風やバルコニーからの落下物の危険に晒されたり、住人から見下ろされるなど、区民は割を食う結果となります」 ちなみに、澤田氏の投稿には、渋谷区のまちづくり推進部長も合いの手を入れている。「バカの集まりになってますな!」には「相手にするのも大変です」、「桑ブタ!」には「よく喋ります」。 澤田氏は、長谷部区長と同じ博報堂出身で、2015年4月の長谷部氏の初当選後、同年10月に副区長に任用された。長谷部氏は性の多様性への取り組みで注目されるが、実際の区政運営は多様な意見を認めず、ハラスメントが罷り通っているのではないか。
だが、なぜ澤田副区長が桑水流区議を誹謗中傷したのか、肝心な理由が曖昧なままだ。
桑水流区議は今年4月の統一地方選で初当選。澤田氏とは同じ立教大学出身ということ以外に目立った共通点はない。新人区議でもある桑水流区議を、澤田氏はなぜ酷い言葉で中傷したのか。
関係者によると、「問題の書き込みがあった少し前、渋谷区議会区民環境委員会で桑水流区議の質問があった。澤田氏はそれが気に入らなかった」という。委員会で桑水流区議は、渋谷区が進めている神南小学校の建て替えと、周辺の再開発計画について、反対の立場から質問していたのだ。
6月15日、桑水流区議は環境委員会で再開発計画について質問。翌16日、渋谷区のまちづくり推進部長がチャットに「昨日の区民環境委員会の質疑内容をまとめました」と投稿したところ、澤田氏が「バカの集まりになってますな!」「国民民主の桑ブタは(中略)早めに封じておかないとね!」と書き込んだのである。
桑水流区議は7月14日にも、区民環境委員会で問題の再開発計画について質問しており、澤田副区長は同月18日に「桑ブタ!」と投稿している。
一連の誹謗中傷は、神南小学校建て替えや再開発計画を批判されたことに澤田氏が逆上して書き込まれたとみられている。
そうまでして澤田氏がこだわる神南小周辺の再開発とはどのようなものか。
渋谷区役所は、渋谷スクランブル交差点から、西武渋谷店、NHKへ抜ける公園通りの西側にある。この一角に、渋谷区役所、神南小学校に隣接した築48年の分譲マンション「渋谷ホームズ」がある。
渋谷区は長谷部区長の当選後、渋谷ホームズの老朽化に伴う建て替えと同時に、神南小学校を含めてこの地域を再開発する計画を立てた。渋谷ホームズの再開発組合に神南小学校の建替え費用を出してもらう見返りとして、小学校の容積率を建て替え後の渋谷ホームズに移転する。また、渋谷ホームズから区役所に抜ける区道を廃止し、渋谷ホームズの敷地に取り込まれるという。これにより、渋谷ホームズは従来の地上14階・60メートルから、34階・150メートルの高層マンションに様変わりする。
再開発に反対する住民の会の主催者の一人で、不動産鑑定士の森口英晴さんはこう指摘する。
「再開発で、渋谷ホームズの床面積は約3倍となり、開発利益は800億円に及ぶ。一方で、小学校の建設費は90億円程度です。明らかに等価交換ではありません。区長はこの再開発を『公共貢献』と謳っていますが、再開発を主導するデベロッパーに巨額の利益が生じる一方で、公園通りから区役所に抜ける道が無くなったり、小学校がビル風やバルコニーからの落下物の危険に晒されたり、住人から見下ろされるなど、区民は割を食う結果となります」
ちなみに、澤田氏の投稿には、渋谷区のまちづくり推進部長も合いの手を入れている。「バカの集まりになってますな!」には「相手にするのも大変です」、「桑ブタ!」には「よく喋ります」。
澤田氏は、長谷部区長と同じ博報堂出身で、2015年4月の長谷部氏の初当選後、同年10月に副区長に任用された。長谷部氏は性の多様性への取り組みで注目されるが、実際の区政運営は多様な意見を認めず、ハラスメントが罷り通っているのではないか。