大阪市内の機械式立体駐車場で、親子が閉じ込められ、回転した台からベビーカーが転落して乳児が大ケガをした事故は、アルバイトの60代男性係員が機械を作動させたと報じられている。
ネット上では、安全管理が十分だったのかと、次々に疑問の声も上がっている。機械式駐車場の関係者は、報道内容を知って、「そもそも機械式駐車場の使い方が間違っています」と取材に答え、いくつかの問題点を指摘した。
事故は、阪急・大阪梅田駅から東へ約300メートル離れた繁華街の中で起きた。
報道によると、2025年9月9日正午過ぎ、機械式立体駐車場の1階からベビーカーが転落したと110番通報があり、事故が発覚した。母親(32)が軽自動車を運転して駐車場に入庫し、ベビーカーを下ろして、生後6か月の女児を乗せた。車には、母親の男児(3)も乗っていた。
すると、突然車庫のシャッターが閉まり、親子が閉じ込められたという。アルバイトの男性係員がこれに気づいて、シャッターを開けようとしたが、車を乗せた台のパレットが急に回転し、それに伴うすき間ができた。ベビーカーは、このすき間から、約30センチ下にある、人が入れない地下の床下部分に転落したという。
この事故で、女児は約10分後に救出され、救急搬送されたが、頭の骨を折り、腰を打つ重傷を負った。
調べに対し、男性係員は、「中に人がいるときに作動ボタンを押した」と説明したという。車を車庫に収納するボタンを誤って押した可能性もあるとみて、大阪府警がさらに調べている。
事故の原因については、まだはっきりしない部分が多いが、報道内容から何か問題がある可能性はないのだろうか。
機械式駐車場の関係者は11日、J-CASTニュースの取材に対し、そもそも駐車場の利用方法が間違っていたのではないかとして、いくつかの点を指摘した。
また、人が閉じ込められても、機械を動かしてはダメだという。
通常は、閉じ込めが発生すれば、人を検知するセンサーが働いて、機械が停止するという。
国土交通省では、「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」を定めるなどしている。メーカー側も、取扱説明書通りに機械を操作してほしいと駐車場を指導しているが、今回は、これらが守られなかった可能性もあるのではないかとした。
なお、機械式駐車場で事故が起きたことについて、駐車場予約サイト「アキッパ(akippa)」は9月9日、駐車場の運営企業から連絡を受けたとして、公式サイトなどで「お詫びとお知らせ」を出した。
そこでは、「当該駐車場の運営企業と連携し、事故の経緯や原因の確認を進めております」として、「弊社はプラットフォーマーとして、同様の構造を持つ各駐車場運営企業様への注意喚起を行います」と告げた。そのうえで、事故の再発防止策が定まるまで、この駐車場予約は停止することを明らかにした。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)