日大アメフト部寮から覚醒剤成分の錠剤発見 慶大、明大も20歳未満の飲酒 不祥事が続発する特殊背景

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またも日大アメフト部に衝撃が走った。一部の部員が学生寮で大麻とみられる違法薬物を所持していた疑いが強まり、大学側はコーチをはじめ、退部者を含め部員全員から聞き取り調査を行っていたが、3日午後、警視庁薬物銃器対策課は覚醒剤取締法違反などの疑いで東京都中野区の寮を家宅捜索。見つかった錠剤のようなもの2錠から覚せい剤、植物片からは乾燥大麻の成分がそれぞれ検出されていたことがわかった。現在、部としての全体練習を控えているため、9月2日に開幕する秋のリーグ戦出場が厳しくなってきた。
日大といえば、学生日本一21回を誇る名門ながら、2018年5月、関西学院大との定期戦で、ディフェンスの選手がプレーを終えた関学のQBを背後から危険なタックルで負傷させ、公式試合出場停止処分を受けた。タックルした選手は傷害容疑で書類送検されたが不起訴処分(起訴猶予)になった。
一連の動きは連日のようにテレビのワイドショーで大きく取り上げられ、SNSでは真偽不明の情報が流され、5年が経過しても事件の真相は明らかになっていない。
今回は試合と関係ないフィールド外のスキャンダル。違法薬物事件といえば、学内調査で済まされず、捜査当局の介入は避けられない。警察庁の調べでは大麻事犯の検挙者数は30歳未満の若年層を中心に2020年以降、3年連続して5000人台を突破している。では、なぜ若者は違法薬物に手を伸ばすのか。
「興味本位、友人に誘われて深みにはまっていく。渋谷のセンター街や新宿・歌舞伎町に行けば手に入り、SNSもありますしね。誤解を招く表現かもしれませんが意外なほど狄閥瓩覆發劉瓩覆鵑任后7抻,諒に来てもらい、アメリカの一部の州では合法だが日本国内では違法、心身に影響を及ぼすなどと注意喚起をしていますが一線を越えてしまう学生がいます」(私立大関係者)
ボクシングの強豪、東京農大の部員が販売目的で大麻を所持していたとして3人が逮捕されるなど、一般学生に限らず、運動部員にも薬物汚染は拡大している。
また、関東学生リーグでは、この他にも不祥事が続いている。今年4月に慶大、明大の20歳未満の部員の飲酒が発覚、慶大は24人を退部処分とし、両校とも部活動を自粛していたが、このほど再開した。
「いまだに20歳未満の飲酒をやっていたとは呆れるしかありません。われわれのような昭和の体育会とは違うのですから、今は。新歓コンパだって、ジュース、ウーロン茶などノンアルコールと聞いています。18歳、19歳の下級生が『先輩、一杯くらいいいでしょ』と言ってきても毅然と断るのが当たり前です。大麻?もう論外です」(大学アメフト関係者)
スキャンダルを抱えながら、このままリーグ戦を迎えられるのか。
今シーズンは日大、慶大、明大の3校とも最高位の「TOP8」に名を連ね、早稲田、法政、中央、立教、東大で関東の覇を競うことになっていた。
当然ながら日程は決定済みで、9月2日に法政ー日大、翌3日は中央ー立教、早稲田ー慶応、明大ー東大が組まれている。少なくとも2日の開幕戦は法政の不戦勝になるのではないか。関東学生アメリカンフットボール連盟は「日大からの申し出は待っている状況で緊急の理事会を開くことなどは決まっていない」としているが、キックオフの時間は刻々と迫っている。
日大は5年前の責任を問われ、下位リーグに自動降格となり、2シーズンをかけて「TOP8」に返り咲いたが、今回の覚醒剤取締法違反などを疑われる事件の行方によっては、また降格されかねない。
「悪質タックル事件」の真相に迫る『ブレないスポーツ報道』(言視舎)の著者でスポーツライターの津田俊樹氏は今後の展開について次のように語る。
「慶大と明大が出場しなければ5校でリーグ戦を行うことになってしまうため、リーグ戦が成り立たない。まじめに練習している部員のためにも、両校にはチャンスを与えると思われます。日大は覚醒剤取締法違反の疑いに加えて大麻所持ですから、活動停止の申し出を受理してリーグ戦出場辞退となり今シーズンは7校の争いになるのでは。その後、連盟も捜査当局の結果を踏まえ、自動降格を含む処分を下すでしょう」
なぜ、こうも大学アメフト部に不祥事が相次ぐのか。
「有力校には部員が100人前後、多いところは150人から200人近くいます。監督、コーチは名前と顔を一致させるのに必死で、覚えたと思ったら1年経てば新入部員が入ってくる。これでは、すみずみまで目が届かず、管理体制がユルくなってしまう。なかには、アメフト部員の就職がいいからという打算的な学生もいるので、指導者は四苦八苦しています」(津田氏)
関東学生リーグの開幕まで1ヵ月を切り、もはや時間的な余裕はない。1934年創立で90年近い歴史を誇る関東学生アメリカンフットボール連盟だが、5年前に起きた日大の「悪質タックル事件」を彷彿させる悪夢の再来で、またもや存亡の危機に立たされている。

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