産前産後の妻の「嫌な点」アンケート炎上、市に苦情・意見238件

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「わけも分からずイライラしている」など産前産後の妻の嫌な点について、夫へのアンケート結果を紹介した広島県尾道市の妊婦向けのチラシが、SNS上で「炎上」した問題で、市には4日までに苦情や意見が238件寄せられ、波紋が広がっている。
何が問題だったのだろうか。父親の育児支援について詳しい大阪教育大の小崎恭弘教授(保育学)に聞いた。(佐藤行彦)
――今回の「炎上」をどう見ていますか。
平成から令和に変わり、子育てに対する社会の意識は急速に変化している。男女の平等やSDGs(持続可能な開発目標)など、人権的な視点が社会に浸透した。その規範に合わないものについてSNSは非常に敏感。行政やしかるべき立場の人は、少しでも間違うと、徹底的にたたかれる。
役割分担して子育てするため、父親の意識に焦点を当てる試みは、(チラシの配布を始めた)5年前は、自治体の中で意欲的な方だ。しかし、アンケート結果をそのまま載せることで起きるハレーション(反発)に対する想像力、不快に思う人への配慮がなく、今の基準ではアウトだ。
――どんな内容にすべきだったのでしょうか。
アンケート結果はある種、父親の本音なのだろう。だが、育児を頑張る女性を責める威圧として伝わるので、否定的な文言を入れたり、ランキングにしたりする必要はなかった。
表現を熟慮した上で、例えば「こういう意見もあるので、互いを理解するため夫婦会議を開き、言いたいことを言い合いましょう」などの文言を挿入すればよかった。
――父親は育児にどう関わるべきですか。
本当の意味での男女共同参画を実現するには、男女で協力する子育てについての文化の醸成、育児休暇など環境整備、学校での教育が重要だ。
パパがママのために子育てしていると思うなら本末転倒といえる。父親が子育てをする実感を持ち、父親自身の喜びや幸せにつながることが肝心。子育ては人生を豊かにし、自分の成長につながる絶好の機会だ。

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