「対応するまで帰らせない」取引先のカスハラ社員の顔色を一変させた“逆クレーム”

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店や企業に対して、“顧客”という立場を利用しながら理不尽なクレームをつけたり、無理難題を押し付けたりするカスタマーハラスメント(以降、カスハラ)。その多くは客や消費者によるものだが、企業間で取引先の担当者が“契約打ち切り”などをチラつかせ、カスハラまがいの態度で無茶を要求してくるケースも……。 今回は、取引先の態度に困惑したという2つのエピソードを紹介する。 ◆明らかに見下した発言「学生だから暇でしょ?」
吉田ミレさん(仮名・20代)は、アメリカの大学に在籍しながら、友人5人と起業した。 「当時は学生でしたが、私を含めた日本人2名とアメリカ人2名、インド人1名でIT関係のビジネスをしていました。私の担当は、日本のクライアントへの営業でした。ある日、いつもお世話になっている方から『話を聞いてみたいという知人がいる』との相談をいただいたんです」 そして紹介された相手と後日打ち合わせを行うことになったというが……。 「やり取りを始めると、私はすぐに違和感を抱きました。メールでメッセージを送るも、先方からの返信は基本2~3日後……。にもかかわらず、こちらからのレスが滞ると『連絡を返すのが遅い!』と一方的にキレる人だったんです」
◆契約を白紙に 吉田さんは素直に謝罪した。しかし、あり得ない言葉が続くことになる。 「相手から『学生なんだから、どうせ暇でしょ?』とか『社会を舐めすぎ』などと暴言を吐かれる始末で。当時、私は27歳だったのですが『いい年して、まだ学生やってるの?』とバカにされました。しかも、予定していた打ち合わせは先方側の急な予定で中止に。作業は進んでいましたが、契約を白紙に戻すことにしました」 終始高圧的な態度にア然。メンバーと相談したところ、契約してもトラブルに発展する可能性が高いのではないかと、そのような結論に至ったという。 その後、取引先からの連絡は一切なかった。吉田さんは「クライアントにもいろいろな人がいるんだなぁ」と勉強になったと振り返る。 そして半年後、予想外の再会を果たすことになった。 「これまでお取引をさせていただいたクライアントとの“オフ会”が開催されることになりました。その日に合わせて友人と帰国し、お話しする機会を得たのですが……」
◆オフ会でまさかの対面
そこには、吉田さんのことを散々バカにした取引先も参加していたのだ。 「私はすぐに気づいたのですが、向こうは分かっていない様子でした。自己紹介をして、話の流れで『よろしければ、オフ会の後にもう少し詳細をお話ししたい』と言われたんです」 しかし、その言葉を発したタイミングで、“目の前の人が以前の学生”であることに気づいたそうだ。 「相手も気まずいと思ったのか、歯切れが悪い感じで会場を後にしていました。取引先とはいえ、もう少し平等なコミュニケーションができていれば、お互いに有益な関係を築けていたのかもしれませんね」
◆物理的に難しい要求「今日中に対応しろ!」

「今度は、『先日納品された製品に複数箇所のキズがある』とのことでした。現品確認を行いたいことを伝えると『現品は使えないから処分した。今から代品を持ってこい』と命じられたんです」
◆「何様のつもりだ!」と強い口調で言われ…
現品や画像など、製品の状態が確認できないと交換は難しい旨を説明した加賀美さん。しかし、取引先の要求はますますエスカレートする。 「『顧客の言い分が信用できないのか! 何様のつもりだ! いいからすぐに代品を持ってこい』と強い口調で言われました。上長に相談し、とりあえず訪問し、現状を確認することになりました」 加賀美さんは到着するや否や、取引先から「代品は?」と詰め寄られた。 「担当者は激高した様子で『さっきお前は、今日中の納品は物理的に無理と言ってたけど、現実は来れたじゃないか。嘘ついたのか。そんな嘘つきのいる会社の製品は信用ができない!』とまで言われました」 そして、思いもよらない事態へと発展することに。 ◆3時間超拘束された結果…
「最終的には、『取引停止にしてやるからな。無礼な発言に対する謝罪と、顛末書を今すぐ作成しろ。対応するまで帰らせない!』と脅迫じみたことまで言われてしまったんです。結果、3時間くらい拘束されました」 心配した加賀美さんの上司が連絡をし、「社内で至急検討する」ということで一旦帰宅することになった。 「一部始終を上長に説明しました。顧客の態度に見かねた上長は取引先顧客の上司に逆クレームをいれました。すると、取引先でも問題視され、担当者は処分として部署異動になりました」 後日、取引先からは正式に謝罪があり、クレーム品の交換は不要で納品は通常通り、今後も取引を継続することになったそうだ。 「嫌な思いを体験しましたが、最後は謝罪と処分がありスカッとしました」
<取材・文/chimi86>
―[カスハラ現場の苦悩]―

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