大好きだった夫なのに「触られるのが気持ち悪い」私はおかしい?“セックスフルの悩み”を描いた作者を取材<漫画>

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エッセイ漫画を読むと日常生活ではなかなか出会えない価値観に触れることができる。とりわけ、海外で生活している人が手掛ける話は、真新しい発見の連続で、読み終わった時には楽しさだけでなく、得をした気分にもなることも多い。
台湾人の男性と結婚したことをキッカケに台湾に移住して、在住10年目を迎えた現在、3人の子どもと1匹の犬と一緒に暮らしている樋口みみさん(@mimiwamama1)のエッセイ漫画は、発見と癒しで溢れる内容である。
“セックスレス”とは真逆の悩みを描いた更新中の漫画『私に触れないで』も好評の樋口さんに、なぜ漫画制作を始めたのかなど話を聞いた。
◆眠すぎてペンを持ったまま意識が飛んだことも
子育て中の樋口みみさん。普段はどのようなペースで漫画制作を行っているのか聞くと、「現在は専業主婦として家事育児をしながら、その間に漫画の仕事に取り組んでいます」という。
「日中は家事育児があるので、子どもたちが寝静まった0時~3時の間が主な作業時間です。当然眠いですが、『どんなに眠くても、5分でもいいから、毎日続けるよう』と心掛けて制作しています」
やはり家事育児を終えてからの作業は大変なようで、「眠すぎてペンを持ったまま意識が飛んだこともあります」と語るが、描いている時以外にも困りごとは少なくないようだ。
「漫画の担当さんとは日中に連絡することが多いのですが、電話でもしようものなら、子どもたちが急にケンカを始めたり、そばで泣き始めたりなど日常茶飯事。以前電話中に資料を確認するためにほんの数秒目を離しただけで、三男が机に上がったり、飼い犬の“粗相”で遊びだしたりといったまさに地獄絵図のような事態も起きました」
◆幼少期を過ごしたアメリカで『りぼん』『なかよし』を愛読
そもそも、漫画を描くことに興味を持ったキッカケは何なのか。樋口さんは「漫画を初めて描き始めたのは、小学生のころだったと思います。幼少期はアメリカに住んでいて、なかなか日本の漫画が手に入りませんでした。ただ、両親が『りぼん』(集英社)、たまに『なかよし』(講談社)を定期的に購読してくれて、そこから漫画制作に興味を持つようになりました」と回答。
今ではインフルエンサーによるブログサービス「NAPBIZ」をはじめ、TwitterやInstagramでも漫画を投稿している樋口さん。まず本格的に漫画制作を始めたタイミングとして、「長男次男の育児が少し落ち着いてきた時、心に余裕が出てきたので、『何か新しいことを始めたい!』『久々に漫画を描いてみよう!』と思い立ったことがキッカケです」と振り返った。 ◆笑える話だけでなく、等身大の悩みも織り交ぜた
続けて、描いた漫画をネット上にアップするようになった経緯を説明する。
「『台湾人夫のこと、台湾の生活のこと、息子たちのこと、飼っているワンコのことなど、そういえばネタが豊富すぎる!』『これを漫画にしなくて誰がする!』と思い、最初は自由帳に描いて自己満足に浸っていました。
ただ、ある日『誰かに見てほしいな』という欲が生まれ、インスタに投稿を始めました。当初は国際結婚の難しさや海外と日本の違いなど、日常生活で笑えるネタばかりを取り上げていました。しかし、『国際結婚や海外生活のしんどい部分ってSNSではあまり見たことがないな』と思い、その路線で描いたみたところ好感触を得ました」

◆読者さんの声に元気をもらって描いています
ちなみに、反応が良かった作品について、「やはり夫との馴れ初めを描いた『国際恋愛、始めました。』と、現在インスタで連載中の『私に触れないで』です」と回答。
「『私に触れないで』は、最近よく話題の“セックスレス”とは真逆の、“セックスフル”をテーマにした作品です。こちらも『このテーマで描いている人っていないよな』と頭に浮かび、思い切って描き始めました。シリアスな内容になっており、登場人物の辛い経験を表現することは精神的負担も大きいです。ただ、『同じ状況なので励まされた』という読者さんの声もいただけているため、頑張って描けています」
“逆張り”と言ってしまえばそれまでだが、それでも作品として多くの支持を集めているのだから、樋口さんのセンスや努力の賜物(たまもの)と言って良いだろう。『国際恋愛、始めました。』と『私に触れないで』、全くテイストの違う作品ではあるが、どちらも違う面白さを堪能できるだろう。【樋口みみ】台湾在住の3児ママ。国際結婚&国際恋愛のリアルを描くコミックエッセイが人気で、Instagramのフォロワーは2万人(2023年7月現在)。NAPBIZ公式ブロガーとして、ブログ『みみ家の台湾的日常。』を更新中。竹書房コミックエッセイ準大賞受賞。Twitter:@mimiwamama1、Instagram:@mimiwamama。
<取材・文/望月悠木>

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