1日20時間の過眠…幼児化や過食も 「クライネ・レビン症候群」当事者と夫に聞く日常生活への影響

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「耐えられない眠気に襲われて、長い時で1日に20時間くらい眠ってしまう」
kaminさん(38歳)。1日に20時間も寝ることがあるが、望んで眠っているわけではない。14歳の時に「クライネ・レビン症候群」を発症した。
【映像】寝起きに「幼児化」の症状が表れたkaminさん この症候群は、100万人に1人から2人の割合で発症すると言われる過眠症だ。強い眠気を催す「過眠期」(1~2週間が多い)から、通常に戻る、というサイクルを繰り返すとされる。通常期は学校や職場にも通えるが、過眠期になると生活が困難な状況になるという。

「途中で目を覚ましてトイレに行ったり、食事をしたりするが、それ以外は座ってもいられないので横になっている。その状態になると、夢なのか現実なのかわからなくなり、普段できることができなくなる。何をするのもしんどくて頭が働かない」(kaminさん) 症状は眠るだけではない。kaminさんが過眠期の時の映像では、目を覚ましたら突如、子どものような言葉で話し始めた。幼児化と呼ばれる症状で、本人は無意識で記憶がないという。「大変というか、自分の出来事ではないような感じ。記憶はない」(kaminさん) 原因は不明で、効果的な治療法も見つかっていない。さらに世界で約600例しか報告されていない希少疾患のため、「怠けているだけ」「意志が弱い」「仮病でしょ」と周囲から理解を得られないこともある。■kaminさんの夫「過眠期は24時間、目が離せない」 kaminさんが20歳の時に結婚した夫(41)は「大変な病気だし、私自身も実際に目にして戸惑いがあったが、寄り添って助けてあげたいと思った」と振り返る。 kaminさんは30歳以降、年に1~2回、10日から最長5カ月の過眠期に入るという。「大変な時は、頭が割れそうなほどの頭痛。あとは強い不安感や恐怖感から、自身を傷つけてしまうことがある。この時は本当に24時間、目が離せないというか、気を許せないような状態が続く」と説明。 そのため、夫の仕事に影響が出ることも。「ずっと手を握って24時間そばにいる。本人は働きたくても働けないし、私も食事や洗濯、掃除などの家事で働けなくなってしまう時があるので、金銭的にも負担が発生する。1週間から1カ月ぐらい休んだ時もあった。今は会社に理解してもらって、テレワークの業務をしている」。 また随伴する症状については、「過眠期は、ほぼ幼児化しているが、それも含めて妻のことは受け入れている。不安で動き回り、泣いてしまう時もあるので、そばにいるようにしている」「あとは過食だ。過眠期から回復したら7キロほど太っている時もあった」と明かした。■国の難病には指定されず…希少な病ゆえの課題 自身もクライネ・レビン症候群に苦しんだ経験があり、啓発に取り組んでいるNPO法人「日本過眠症患者協会」元代表の朝井香子氏は「私は幼児化があまりないタイプだった。20時間くらいの過眠が2週間続くのは共通しているが、随伴症状は個人によって違う。私は精神的に落ち込むことが多かった」という。 過眠期の時は、「夜寝ると20時間は寝続けてしまう。起きて、食べて、トイレには行くが、頭痛がしたり気持ち悪かったりするので横になりたい。で、また寝てしまう」。 朝井氏はこの2年ほどは症状が出ていないそうだ。「対症療法で“効くかもしれない”という薬はいくつかある。ただ、発症が多いのは10代と若いので、親としては効くかわからない薬は飲ませたくない。30歳を過ぎると寛解するとも言われているが、いきなり症状がなくなるものではない。寝る時間はそんなに変わらないものの、過眠期の期間が2週間から1週間に短くなるとか。私は気づいたら2年くらい出ていない」と説明した。 4歳頃から症状があり当時は「よく寝込む子」という認識だったが、病名が分かったのは37歳。内科や婦人科などを回り、最後に行った睡眠外来で判明した。「診断が下りた時に、“自分はひとりじゃなかった”とすごく安心した」。 原因不明でかつ希少であるなど、国の難病指定の要件に合致する部分はあるものの、患者数が達しておらず、客観的な診断基準も確立していないため、指定はされていない。 朝井氏は「私は“記憶がないけど、まあ過眠期だったん”と割と前向きだが、過眠期と正常時のつじつまが合わないことに落ち込んでしまう方もいる。性格の問題かもしれないが、その後の生活に焦点を当てて“どうやって生きていくか”を患者自身も考えなければならない。一方で、kaminさんの夫もそうだが、障害者支援などの制度から漏れてしまっている。難病指定は難しいかもしれないが、狭間にある疾患や希少な病の支援。クライネ・レビン症候群が入るような新しい社会保障制度を作っていただけたら」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)
この症候群は、100万人に1人から2人の割合で発症すると言われる過眠症だ。強い眠気を催す「過眠期」(1~2週間が多い)から、通常に戻る、というサイクルを繰り返すとされる。通常期は学校や職場にも通えるが、過眠期になると生活が困難な状況になるという。
「途中で目を覚ましてトイレに行ったり、食事をしたりするが、それ以外は座ってもいられないので横になっている。その状態になると、夢なのか現実なのかわからなくなり、普段できることができなくなる。何をするのもしんどくて頭が働かない」(kaminさん)
症状は眠るだけではない。kaminさんが過眠期の時の映像では、目を覚ましたら突如、子どものような言葉で話し始めた。幼児化と呼ばれる症状で、本人は無意識で記憶がないという。
「大変というか、自分の出来事ではないような感じ。記憶はない」(kaminさん)
原因は不明で、効果的な治療法も見つかっていない。さらに世界で約600例しか報告されていない希少疾患のため、「怠けているだけ」「意志が弱い」「仮病でしょ」と周囲から理解を得られないこともある。
■kaminさんの夫「過眠期は24時間、目が離せない」
kaminさんが20歳の時に結婚した夫(41)は「大変な病気だし、私自身も実際に目にして戸惑いがあったが、寄り添って助けてあげたいと思った」と振り返る。
kaminさんは30歳以降、年に1~2回、10日から最長5カ月の過眠期に入るという。「大変な時は、頭が割れそうなほどの頭痛。あとは強い不安感や恐怖感から、自身を傷つけてしまうことがある。この時は本当に24時間、目が離せないというか、気を許せないような状態が続く」と説明。
そのため、夫の仕事に影響が出ることも。「ずっと手を握って24時間そばにいる。本人は働きたくても働けないし、私も食事や洗濯、掃除などの家事で働けなくなってしまう時があるので、金銭的にも負担が発生する。1週間から1カ月ぐらい休んだ時もあった。今は会社に理解してもらって、テレワークの業務をしている」。
また随伴する症状については、「過眠期は、ほぼ幼児化しているが、それも含めて妻のことは受け入れている。不安で動き回り、泣いてしまう時もあるので、そばにいるようにしている」「あとは過食だ。過眠期から回復したら7キロほど太っている時もあった」と明かした。
■国の難病には指定されず…希少な病ゆえの課題
自身もクライネ・レビン症候群に苦しんだ経験があり、啓発に取り組んでいるNPO法人「日本過眠症患者協会」元代表の朝井香子氏は「私は幼児化があまりないタイプだった。20時間くらいの過眠が2週間続くのは共通しているが、随伴症状は個人によって違う。私は精神的に落ち込むことが多かった」という。
過眠期の時は、「夜寝ると20時間は寝続けてしまう。起きて、食べて、トイレには行くが、頭痛がしたり気持ち悪かったりするので横になりたい。で、また寝てしまう」。
朝井氏はこの2年ほどは症状が出ていないそうだ。「対症療法で“効くかもしれない”という薬はいくつかある。ただ、発症が多いのは10代と若いので、親としては効くかわからない薬は飲ませたくない。30歳を過ぎると寛解するとも言われているが、いきなり症状がなくなるものではない。寝る時間はそんなに変わらないものの、過眠期の期間が2週間から1週間に短くなるとか。私は気づいたら2年くらい出ていない」と説明した。
4歳頃から症状があり当時は「よく寝込む子」という認識だったが、病名が分かったのは37歳。内科や婦人科などを回り、最後に行った睡眠外来で判明した。「診断が下りた時に、“自分はひとりじゃなかった”とすごく安心した」。
原因不明でかつ希少であるなど、国の難病指定の要件に合致する部分はあるものの、患者数が達しておらず、客観的な診断基準も確立していないため、指定はされていない。
朝井氏は「私は“記憶がないけど、まあ過眠期だったん”と割と前向きだが、過眠期と正常時のつじつまが合わないことに落ち込んでしまう方もいる。性格の問題かもしれないが、その後の生活に焦点を当てて“どうやって生きていくか”を患者自身も考えなければならない。一方で、kaminさんの夫もそうだが、障害者支援などの制度から漏れてしまっている。難病指定は難しいかもしれないが、狭間にある疾患や希少な病の支援。クライネ・レビン症候群が入るような新しい社会保障制度を作っていただけたら」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)

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