【独自】成田悠輔氏「敬虔な信者の日常と組織の問題は切り分けるべき」 世間の絶対悪のイメージと距離をとる政治家に旧統一教会の10代信者「違和感がある」

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番組プロデューサー宛に寄せられた「自分の意思で所属している“祝福2世”の見方を提示したい」というTwitterのDMを受けて先月、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の生まれながらの2世信者から話を聞いた『ABEMA Prime』。
その放送を見た別の信者から「多角的に意見を取り入れてほしい」というメッセージが寄せられ、同番組ではテレビ朝日の平石直之アナウンサーと米イェール大学助教授で経済学者の成田悠輔氏を聞き手に、再び70分にわたって話を聞いた。
■「国のトップがメッセージをくれる。理念に共感してくれる人が上の立場にいるのはうれしい」
出演を望んだのは、両親が1990年代に「合同結婚」をした祝福2世で、現在は学生のタブチさん(10代)。「生まれた時から聞かされてきた話や本で読んだ話と、社会で報じられている情報がかなり違うと感じている。どっちが本当なのか、自分が信じてきたことは正しかったのか」という違和感から、今回の取材を申し出たという。
「政治との関わりの部分などで誇張された表現が広がって、“統一教会は悪である”“韓国からきたカルト宗教である”と位置づけられているが、なかなか受け入れられない。中には正しい表現もあると思うが、“こういう可能性がある”ということがあたかも事実のように流されている」
そう話すタブチさんに、成田氏は「世の中では今、“平和などを謳っているのは表面上の話で、中身はただの宗教ビジネスだ”と思っている人が大多数だと思う。その人たちを説得するとしたらどう伝えるか?」と尋ねる。
タブチさんは「説得するのは難しいが……」と逡巡した後、「いろいろなイベントが開かれる度に、国のトップからメッセージが来る。日本だったら亡くなられた安倍元総理、アメリカならトランプ前大統領、カンボジアのフン・セン首相といった方から共感の声をいただいていて、教会が目指す方向に動いているのは間違いないと認識している。理念に共感してくれる人が上の立場にいるのはうれしい」と話した。
■政治家による“関係を断つ”宣言に「断って何が起こるのか」
自民党は所属議員と教会との関係を調査・公表し、「関係を断つことを党の基本方針にする」としたが、タブチさんはこれにも違和感を覚えるという。
「関係を断つことによって何が起こるのか。これまで関わりがあった中で、社会全体に大きな問題があったかといえばなかった。他も含めて宗教団体が政治と関わっている部分は多いと思う。なぜ旧統一教会だけが関係を断たないといけないのか、社会がそういう風潮になりすぎている」
政治との関わりとして、毎週の礼拝やLINEなどで「次の選挙ではこの方を応援します」という案内は流れてくるものの、投票を強制されたり、特定の党を推すようなことはなかったそうで、「人で選んでいるのは間違いない。教会の理念に近いのは、自民党の人が多いのでないか」とタブチさん。
成田氏が「“この政治家は自分たちの側だな”と思うような人はいるか?」と切り込むと、「それこそ、亡くなられた安倍元総理。イベントや広報誌に出てくれるというところで、信者たちには安心感があったと思う」と答えた。
■成田氏「敬虔な信者の方だという印象」「個人と組織の問題は切り分けるべき」
この他にもタブチさんから、社会的に問題となった霊感商法や多額の献金、家庭・恋愛についても話を聞く中で、成田氏は「重要な問題が1つある」と投げかける。
「彼はすごく普通の、敬虔な宗教の信者の方だという印象を受ける。旧統一教会と聞くと極端なイメージが浮かぶようになってしまっているが、多くの信者には日常であり、これは団体が組織として反社会的なことをしていたこととは別の問題だ。個人は悪者でもなければ、信仰をやめなければいけないわけでもない。2つを切り分けて、個人が被害を被らないようにどうしていくかは重要な問題だと思う」
タブチさんは「SNSを見ると批判的な内容ばかりで、ウソの情報から“悪だ”とつなげるものも多い。それに流される人が多い以上は、なかなかイメージはよくならないと思う。良いことをやっていると伝えないと印象は変わらないと思うので、そのきっかけの1つとして出演させていただいた。この番組を見たことで旧統一教会に対する風当たりが変わるかはわからないが、こういう意見もあるということを知っていただきたい」と訴える。
成田氏は「デフォルメ化、ゲテモノ化して扱いたがるのがメディアや人間の本性だと思う。被害や極端な事例に目が行きがちだが、その裏側には平穏な暮らしをしていて、信仰が心の拠り所になっている人がいるという当たり前の事実を振り返れたのはよかった。ただ、それが旧統一教会が持っているかもしれない問題をキャンセルすることにはならないというのも確かだ」と語った。
現役信者への70分にわたるインタビュー映像はABEMAビデオ、番組公式YouTubeチャンネルで公開している。(『ABEMA Prime』より)

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