中高年世代とは目的が違った! 令和の大学生バイト事情 「闇」に手を出す理由も分析

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本格的な夏が近づき、大学生がバイトに精を出す時期がやってきた。親にとっては、「闇バイト」の存在やバイトと学業が両立できているかが悩みや心配の種だが、アドバイスしようにも“今”を知らなきゃどうにもならない。令和の大学生はどのようなバイトを選んでいるのか、そして子供のバイトに対して親にできることはあるのか、専門家に聞いた。
「俺たちの時代は…」なんて昔話をしたって今の子供たちにはピンとこない。そもそもの前提として、親世代と今の大学生ではバイトの目的が違う。

「いい車やカバンで見えを張るというよりは、“推し活”でアイドルやアニメにお金を使っている学生が多い感覚があります」 こう話すのは学生向けのバイト情報サイト「バイトネット」を運営する株式会社学生情報センターの叶直樹氏。さらに「リーズナブルに楽しく暮らすし、節度を守って悪ふざけはしないという学生が多くなりました。やんちゃもしないしおとなしいですね」と説明する。 その一方で「だからこそ悪い人や悪いことが判別できず、(バイトの)怪しさには鈍感。安全第一で動いているけれど、“目利き”が弱くなったから闇バイトに加担してしまうこともあるのでは」と指摘。現在、叶氏の会社では大学と連携して学生向けにセミナーを開催し、ブラックバイトや闇バイトに踏み込まないための啓蒙活動をしているそうだ。 では、今の大学生は具体的にどのようなバイトを好むのだろうか。実際のところ、社会問題にもなっている闇バイトに手を出してしまうのはあくまで一部。やはり大前提として安全、“ホワイト”で、真面目な仕事が人気だという。「行政系のバイトは好まれますね。それから、自分の通う大学内で授業の補佐やセミナーの運営を手伝う『スチューデント・ジョブ』も人気です」 加えて「(学生にとっての)絶対条件が『学業優先』なんですね。だから時間給も大事ですけど、時間の柔軟性や自由度を優先しているようです。あとは友達づくりがバイトのメリットとは思っていても、あまり人間関係に拘束されるのは避けたいそう。その点で(関係性が濃くなりすぎない)単発のバイトは人気です」と分析する。Z世代ならではの現実志向がバイトにも表れているようだ。 一方で、“高時給”のイメージが根強い塾講師や家庭教師は、応募数がそれほど多くないとのこと。「今は人手不足で他の業種の時給が上がって、塾講師と他のアルバイトに差がなくなってきたんです。塾講師には準備も必要ですし、穴もあけられない緊張があるので、時給が変わらないならばと(他のバイトに移ってしまう)」 一昔前までは「〇〇大学の学生だけで代々受け継がれている」といった、あまり表に出てこない知る人ぞ知る超優良バイトもあったが、今はほとんどない。「SNSの普及で情報公開が進んでいるので、あまり隠れてお得感のあるバイトはないですね…」。そもそも今は「時給1300円」というバイトは珍しくないし、妥当な時給が設定されていることが多いそうだ。 就活での「ガクチカ(学生生活で力を入れたこと)」を意識してアルバイトを選ぶ学生も想像するほど多くはないが、プログラマー・SEのような技術系の求人に関しては「キャリアにつながるよう、大企業のプログラミング系バイトには学生が殺到します」と叶氏は語る。「(求人をする会社も、応募する学生も)両方少ないけれど、双方の満足度はすごく高いです」 またキャリア形成という意味では、報酬を得ながら実践力を養える「有給インターンシップ」にも関心が高まっている。企業や自治体と連携して働く中で、大学で学んでいる知識を生かせることが、学生にとって最大の魅力だ。中にはプロ級のデザインセンスや映像編集技術を発揮する学生もいるとした上で「美大生や、映像を勉強している学生はなかなか発表する場がないですし、普段やっていることを披露できるのはうれしいですよね。そういう経験は(就活で)話せますし、いいバイトだと思います」と叶氏は語る。 既に「俺たちの時とは全く違う…」と驚いている中高年世代も多いかもしれないが、最近の大学生は授業も忙しく、バイトに関しても現実的かつ合理的に選んでいるのは間違いない。では、親からアドバイスできることなんて残っていない? 最後に叶氏はこんな提案をしてくれた。「一番最初にするバイトは大事ですし、その後も忘れませんよね。ですから、保護者の方々にも最低限の知識を持って、お子さんと積極的に会話していただきたいです」 コミュニケーションを取りつつ社会人の先輩として寄り添う――この家族の協力体制が子供を成長させ、闇バイトから遠ざけることにもつながるかもしれない。【バイトネット】国内唯一の学校公認アルバイト紹介サイト。学校が設定した基準をクリアした安全安心なアルバイト情報のみを掲載。23年4月現在、全国約300校が加盟している。
「俺たちの時代は…」なんて昔話をしたって今の子供たちにはピンとこない。そもそもの前提として、親世代と今の大学生ではバイトの目的が違う。
「いい車やカバンで見えを張るというよりは、“推し活”でアイドルやアニメにお金を使っている学生が多い感覚があります」
こう話すのは学生向けのバイト情報サイト「バイトネット」を運営する株式会社学生情報センターの叶直樹氏。さらに「リーズナブルに楽しく暮らすし、節度を守って悪ふざけはしないという学生が多くなりました。やんちゃもしないしおとなしいですね」と説明する。
その一方で「だからこそ悪い人や悪いことが判別できず、(バイトの)怪しさには鈍感。安全第一で動いているけれど、“目利き”が弱くなったから闇バイトに加担してしまうこともあるのでは」と指摘。現在、叶氏の会社では大学と連携して学生向けにセミナーを開催し、ブラックバイトや闇バイトに踏み込まないための啓蒙活動をしているそうだ。 では、今の大学生は具体的にどのようなバイトを好むのだろうか。実際のところ、社会問題にもなっている闇バイトに手を出してしまうのはあくまで一部。やはり大前提として安全、“ホワイト”で、真面目な仕事が人気だという。「行政系のバイトは好まれますね。それから、自分の通う大学内で授業の補佐やセミナーの運営を手伝う『スチューデント・ジョブ』も人気です」 加えて「(学生にとっての)絶対条件が『学業優先』なんですね。だから時間給も大事ですけど、時間の柔軟性や自由度を優先しているようです。あとは友達づくりがバイトのメリットとは思っていても、あまり人間関係に拘束されるのは避けたいそう。その点で(関係性が濃くなりすぎない)単発のバイトは人気です」と分析する。Z世代ならではの現実志向がバイトにも表れているようだ。 一方で、“高時給”のイメージが根強い塾講師や家庭教師は、応募数がそれほど多くないとのこと。「今は人手不足で他の業種の時給が上がって、塾講師と他のアルバイトに差がなくなってきたんです。塾講師には準備も必要ですし、穴もあけられない緊張があるので、時給が変わらないならばと(他のバイトに移ってしまう)」 一昔前までは「〇〇大学の学生だけで代々受け継がれている」といった、あまり表に出てこない知る人ぞ知る超優良バイトもあったが、今はほとんどない。「SNSの普及で情報公開が進んでいるので、あまり隠れてお得感のあるバイトはないですね…」。そもそも今は「時給1300円」というバイトは珍しくないし、妥当な時給が設定されていることが多いそうだ。 就活での「ガクチカ(学生生活で力を入れたこと)」を意識してアルバイトを選ぶ学生も想像するほど多くはないが、プログラマー・SEのような技術系の求人に関しては「キャリアにつながるよう、大企業のプログラミング系バイトには学生が殺到します」と叶氏は語る。「(求人をする会社も、応募する学生も)両方少ないけれど、双方の満足度はすごく高いです」 またキャリア形成という意味では、報酬を得ながら実践力を養える「有給インターンシップ」にも関心が高まっている。企業や自治体と連携して働く中で、大学で学んでいる知識を生かせることが、学生にとって最大の魅力だ。中にはプロ級のデザインセンスや映像編集技術を発揮する学生もいるとした上で「美大生や、映像を勉強している学生はなかなか発表する場がないですし、普段やっていることを披露できるのはうれしいですよね。そういう経験は(就活で)話せますし、いいバイトだと思います」と叶氏は語る。 既に「俺たちの時とは全く違う…」と驚いている中高年世代も多いかもしれないが、最近の大学生は授業も忙しく、バイトに関しても現実的かつ合理的に選んでいるのは間違いない。では、親からアドバイスできることなんて残っていない? 最後に叶氏はこんな提案をしてくれた。「一番最初にするバイトは大事ですし、その後も忘れませんよね。ですから、保護者の方々にも最低限の知識を持って、お子さんと積極的に会話していただきたいです」 コミュニケーションを取りつつ社会人の先輩として寄り添う――この家族の協力体制が子供を成長させ、闇バイトから遠ざけることにもつながるかもしれない。【バイトネット】国内唯一の学校公認アルバイト紹介サイト。学校が設定した基準をクリアした安全安心なアルバイト情報のみを掲載。23年4月現在、全国約300校が加盟している。
その一方で「だからこそ悪い人や悪いことが判別できず、(バイトの)怪しさには鈍感。安全第一で動いているけれど、“目利き”が弱くなったから闇バイトに加担してしまうこともあるのでは」と指摘。現在、叶氏の会社では大学と連携して学生向けにセミナーを開催し、ブラックバイトや闇バイトに踏み込まないための啓蒙活動をしているそうだ。
では、今の大学生は具体的にどのようなバイトを好むのだろうか。実際のところ、社会問題にもなっている闇バイトに手を出してしまうのはあくまで一部。やはり大前提として安全、“ホワイト”で、真面目な仕事が人気だという。
「行政系のバイトは好まれますね。それから、自分の通う大学内で授業の補佐やセミナーの運営を手伝う『スチューデント・ジョブ』も人気です」
加えて「(学生にとっての)絶対条件が『学業優先』なんですね。だから時間給も大事ですけど、時間の柔軟性や自由度を優先しているようです。あとは友達づくりがバイトのメリットとは思っていても、あまり人間関係に拘束されるのは避けたいそう。その点で(関係性が濃くなりすぎない)単発のバイトは人気です」と分析する。Z世代ならではの現実志向がバイトにも表れているようだ。
一方で、“高時給”のイメージが根強い塾講師や家庭教師は、応募数がそれほど多くないとのこと。「今は人手不足で他の業種の時給が上がって、塾講師と他のアルバイトに差がなくなってきたんです。塾講師には準備も必要ですし、穴もあけられない緊張があるので、時給が変わらないならばと(他のバイトに移ってしまう)」
一昔前までは「〇〇大学の学生だけで代々受け継がれている」といった、あまり表に出てこない知る人ぞ知る超優良バイトもあったが、今はほとんどない。「SNSの普及で情報公開が進んでいるので、あまり隠れてお得感のあるバイトはないですね…」。そもそも今は「時給1300円」というバイトは珍しくないし、妥当な時給が設定されていることが多いそうだ。
就活での「ガクチカ(学生生活で力を入れたこと)」を意識してアルバイトを選ぶ学生も想像するほど多くはないが、プログラマー・SEのような技術系の求人に関しては「キャリアにつながるよう、大企業のプログラミング系バイトには学生が殺到します」と叶氏は語る。「(求人をする会社も、応募する学生も)両方少ないけれど、双方の満足度はすごく高いです」
またキャリア形成という意味では、報酬を得ながら実践力を養える「有給インターンシップ」にも関心が高まっている。企業や自治体と連携して働く中で、大学で学んでいる知識を生かせることが、学生にとって最大の魅力だ。中にはプロ級のデザインセンスや映像編集技術を発揮する学生もいるとした上で「美大生や、映像を勉強している学生はなかなか発表する場がないですし、普段やっていることを披露できるのはうれしいですよね。そういう経験は(就活で)話せますし、いいバイトだと思います」と叶氏は語る。
既に「俺たちの時とは全く違う…」と驚いている中高年世代も多いかもしれないが、最近の大学生は授業も忙しく、バイトに関しても現実的かつ合理的に選んでいるのは間違いない。では、親からアドバイスできることなんて残っていない? 最後に叶氏はこんな提案をしてくれた。
「一番最初にするバイトは大事ですし、その後も忘れませんよね。ですから、保護者の方々にも最低限の知識を持って、お子さんと積極的に会話していただきたいです」
コミュニケーションを取りつつ社会人の先輩として寄り添う――この家族の協力体制が子供を成長させ、闇バイトから遠ざけることにもつながるかもしれない。
【バイトネット】国内唯一の学校公認アルバイト紹介サイト。学校が設定した基準をクリアした安全安心なアルバイト情報のみを掲載。23年4月現在、全国約300校が加盟している。

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