週3回で月30万円、“立ちんぼ”33歳女性のリアル。事故の後遺症で一般職に就くのが難しく…

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親の虐待、野球選手への推し活、ホス狂、16歳で依存症etc…。路上売春をする女性「立ちんぼ」の彼女たちは、どんな経緯で大久保公園にたどり着き、何のために体を売っているのだろうか。 大久保公園に立っている女性に声をかけると、インタビューに答えてくれた。計19時間に及んだ取材音声から浮かび上がった実態とは。
◆相場はホ別1万5000円。週末には60人ほどが立つ
新宿・歌舞伎町にある大久保公園。この場所は、路上売春をする女性「立ちんぼ」の聖地として有名であったが、ここ数か月でその数が異常に増えている。今年初めはまだ片手で数えることができる人数だった。だが、6月現在、約60人の立ちんぼとその買春客を合わせた数は100人を優に超えている。
料金の相場はホテル代別で1万5000円。「ホ別イチゴー」などと略されている。近くのラブホテルやレンタルルームに二人で入室し、本番行為まで及ぶのがスタンダードとなっている。
メディアが「交縁女子」と銘打ち、大々的に報じた結果、その存在を知った新たな買春客が増加。なかには見学目的の冷やかしもあり、複数人のグループがアトラクション感覚で女性に声をかけている姿も見られる。
◆逮捕のリスクを負っても、体を売る女性たち
YouTubeやTikTokなどでライブ配信をする者も殺到している。画面には路上に立つ女性の顔まで映り込んでいるが、モザイクなどの加工がないケースも当たり前のようにあり、彼女たちのプライバシーは守られていないと言ってもいい。
5月下旬には大久保公園周辺を行き来する買春客を隠し撮りし、ネット上に顔を晒すSNSアカウントまで登場した。
治安悪化の止まらないこの状況を警察も黙って見ているわけではない。立ちんぼが売春防止法違反容疑で逮捕される事例は相次いでいる。さらに大久保公園周辺では警官のパトロールも強化されている。現状、逮捕の可能性があるのは女性だけだ。
さまざまなリスクを負っても、いまだに彼女たちが大久保公園で体を売る理由とは。
◆週3回で月30万円。体を売ったカネで野球選手を追う
【マナ(仮名)/年齢:33歳 交縁歴:5ヶ月】
マナ(仮名)が地元の愛知県から上京したのは6年前、27歳のときだった。当時付き合っていた彼氏を追いかける形で同棲を始めた。しかしほどなくして別れ、友人が働いていた歌舞伎町のミックスバーでバイトを始めた。
職場の近くにマンションを借り、一人暮らしを始めた。親との関係は悪くない。その初期費用もすべて親が出してくれたという。
「愛知にいたときもちょこちょこ風俗では働いていました。歌舞伎町でもスカウトに声をかけられてデリヘルをやっていましたけど、そのスカウトと男女の関係になってからやめたんです」
◆「気が向いたときだけ体を売ろう」
スカウトは「俺が貢いでやるから、おまえは働かなくていい」と言ったので、ミックスバーのバイトも辞めた。しかし、自分が自由に使える小遣いが欲しい。そのとき“立ちんぼ”という女性たちがいるのを知り、「気が向いたときだけ体を売ろう」と半年前から大久保公園に立ち始めた。
今はそのスカウトとの関係は切れているが、マナにカネに困った様子はない。
「14歳のときに4tトラックにはねられて大怪我したんですよ。頭蓋骨にヒビが入って、腕の神経に傷がつきました。その後遺症で片頭痛がひどくて、常に手の震えが止まらないんです」
◆推しのプロ野球選手は「けつあな確定な」
トラックの運転手から多額の慰謝料を受け取り、それとは別に月に約10万円の障害年金を国からもらっている。手の震えから一般職に就くのは難しい状況だが、働かなくても生活はできてしまう。そんなようなことをマナは笑いながら明るく話した。
「地元の風俗で稼いだ貯蓄もそれなりにありますし、親に連絡すれば慰謝料からお金を送ってくれます。大久保公園には週に3回くらいしか立っていないですが、少なくとも月に30万円くらいは稼げていますね」
立ちんぼでお金を稼ぐ理由はプロ野球選手の追っかけに注ぎ込むためだ。
「一人めっちゃ推しがいて、新作のユニフォームは全部買っています。グッズも買いまくっています。東京ドームで試合があるときは必ず観戦しに行くので、月に30万円は余裕で使っていますね」
◆心を病むことなく公園に立ち続けるマナ
マナは愛知のデリヘル時代、本番行為を断る代わりに客に肛門性交をさせていた。以来、マナ自身もどっぷりハマってしまい、大久保公園で拾った客に対しても「どうせならお尻に入れてくれない?」と自分からお願いしているほどだ。
「私の推しは女性に“けつあな確定な”とLINEを送って炎上していましたが、私はさらに好きになりましたね」
“立ちんぼ”というだけで悲惨な現状を予想していたが、マナのように心を病むことなく公園に立ち続けている女性もいるようだ。
取材・文・撮影/忍田 忍 SPA!立ちんぼ取材班

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