「インフルエンサーだから」と無料サービスを要求する迷惑女性客。“まさかの一言”で態度が豹変したワケ

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出世したり、知名度が上がっていったりすると、まわりからチヤホヤされて変わってしまう人も少なくありません。そしてときには非常識なことを当たり前だと思い込み、周囲に迷惑をかけてしまうこともあるようです。◆経営する飲食店にインフルエンサーが来店
ある日、藤高昇さん(仮名・41歳)が経営する店に、「私は、A子という名前で活動しているインフルエンサー」と名乗る女性がやってきた。ランチタイムが終わるギリギリの時間。入店した女性はぐるりと店内を見回し、ある提案をしたという。
「彼女は『いい雰囲気のお店なので、ぜひ宣伝したい』と、嬉しい申し出をしてくれました。脱サラをして、夢だったカフェをはじめたばかりの頃。宣伝してもらえるのはありがたいと思っていると、店内の黒板を見て『アレとアレと、アレ、おいしそうですね』と言うのです」
藤高さんが「1人で食べるにしてはすごい量ですよ」と忠告しても、女性は「でも、写真撮りたいし」と回答。そこで「ありがとうございます」と言い、厨房にオーダー。インフルエンサーは、店内の様子や料理をバンバン撮影したのだとか。
◆料理やドリンクをたくさん注文
「お客さんもいなかったので、ちょうどよかったです。料理も『おいしい、おいしい』と食べてくれ、店のコンセプトや料理の食材など、いろいろと興味を持って質問してくれました。また、店内の雰囲気や飾ってある雑貨や小物類も褒めてくれ、印象良かったです」
しかも、女性が注文してくれた料理は単品ばかり5品、ドリンクが2品の合計7品。かなりの金額だった。また、食べるのに時間もかかり、2時間近く店内に滞在。ランチタイムのあとはいったん、店を閉めて休憩していたが、その日は休憩時間も返上で女性に付き合った。
「女性は食事が終わると、僕の妹が作ったハンドメイド雑貨を展示販売しているスペースへ歩み寄り、『カワイイ!』と言います。そして、『コレとコレと、コレが欲しい』といくつか手に持ってくれたので、とてもありがたいと思いました」
◆「あのぉ、お会計」と声をかけると…
あんなにたくさん注文して、雑貨まで購入。そのうえ、お店を紹介してくれるなんて神様のようだと感じていた藤高さん。感謝の気持ちでいっぱいになりながら、いよいよ会計しようとしたときのことでした。
「僕がレジに立っても、彼女はまったく寄ってきません。そして、『今日は、ありがとうございました。インスタに載せておきますね』と、なぜか帰ろうとしています。『あのぉ、お会計……』と思わず声をかけると、『え、お会計って?』と、女性はキョトン」
藤高さんは思わず「いやいや」と心の中でツッコミながら、「お食事代とハンドメイド雑貨の代金です。まだお支払いいただいていないので……」と、遠慮気味に伝えてみる。すると、「えっ、お金いるの? 私、インフルエンサーなのに?」と態度が急変。
◆有償だと伝えると女性は逆ギレ
「当たり前だろ!と言ってやりたい気持ちをグッと我慢し、『申し訳ございません。当店では無料提供や無料サービスなどはおこなっていません』と伝えると、彼女は数十秒の間を置き、『じゃあ、いくらよ?』と怒りを露わにした超不機嫌な声と態度で聞いてきたのです」
食事代と雑貨代をレジに打ち込み伝えると、「あ、これはいらない」と、雑貨をレジ台に置き、そーっと藤高さんのほうに押しやったのだ。妹さんが仕事の合間を縫って、一生懸命作った雑貨。これにはさすがにイラついたという。
「それでも平静を装って、あらためて食事代だけを伝えたのですが、女性は現金をバシンと置いてこちらをニラみつけてきたのです。ゾクっとして、変なことを書かれたら削除依頼も必要かもと、『インスタ、僕も見たいのですが、どちらに載りますか?』と尋ねました」
◆インスタのフォロワーは1000人ちょっと
面倒くさそうな態度でインスタの画面を見せてもらった藤高さんは、さらに衝撃を受ける。女性はインフルエンサーを名乗っていたにもかかわらず、なんとフォロワーは1000人ちょっと。開いた口がふさがらなかったという。
「目に飛び込んできたフォロワー数が衝撃的すぎて、英文字のユーザー名を確認する間もなく、彼女には逃げるように帰られてしまいました。それ以降もたまにSNSにアップしていいか聞かれますが、みんなきちんと料金を支払ってくれますし、感じのいい方ばかりです」
その後も藤高さんが困るような投稿などはみつかっていないそうだが、しばらくは何を書かれるのか恐怖の日々が続いたとのこと。昇進したり知名度が上がったりしてチヤホヤされていると感じたときこそ、自分の言動について振り返る時間が必要かもしれない。
<TEXT/夏川夏実>

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