JAMSTEC海洋研究開発機構は南海トラフ地震の震源域、海底2000メートル付近で水圧計の観測のずれを補正する技術を開発し、地面が沈降していることを明らかにしました。地面の沈降が意味することは?社会部災害担当・中濱弘道デスクが解説します。【週刊地震ニュース】■トカラ列島や東北地方で地震 福島県沖では震度4も9月29日から10月5日までの期間、国内では震度1以上の地震が42回あり、うち震度4が1回ありました。
▼9月29日午前2時35分ごろ、鹿児島県十島村の悪石島で震度3の地震がありました。震源はトカラ列島近海、地震の規模を示すマグニチュードは3.3、震源の深さは10キロでした。▼10月1日午後11時50分ごろ、岩手県大船渡市や宮城県石巻市などで震度3の地震がありました。震源は宮城県沖、地震の規模を示すマグニチュードは4.6、震源の深さは59キロでした。▼3日午後3時20分ごろ、福島県田村市と葛尾村で震度3の地震がありました。震源は福島県沖、地震の規模を示すマグニチュードは4.4、震源の深さは55キロでした。▼5日午前0時21分ごろ、福島県双葉町で震度4の地震がありました。震源は福島県沖、地震の規模を示すマグニチュードは5.7、震源の深さは50キロでした。(速報値)▼5日午後2時42分ごろ、鹿児島県十島村の悪石島で震度3の地震がありました。震源はトカラ列島近海、マグニチュードは3.4、震源の深さは20キロでした。(速報値)■約10分の間に東京で震度2が2回10月3日昼ごろですが、わずか10分程度の間に東京などで震度2の地震が相次ぎました。▼午後0時37分ごろの地震は、千葉県南東沖を震源とするもので千代田区などで震度2を観測。(マグニチュード4.2 深さ60キロ)▼午後0時48分ごろには、東京湾を震源とする地震で町田市などで震度2を観測しました。(M4.1 深さ112キロ)関東南部の地下は太平洋プレート、フィリピン海プレートが沈み込み、その上に陸のプレートがある複雑な構造となっています。千葉県南東沖や東京湾(千葉北西部)には地震の巣と呼ばれ、繰り返しやや強い地震を引きおこす場所もあります。今回の2つの地震は、たまたま10分程度の間隔でおきましたが、比較的地震活動が高い場所が震源で、直接関係はないとみられています。■南海トラフ地震の震源域で 海底の沈降の様子を初観測JAMSTEC海洋研究開発機構は南海トラフ地震の震源域のうち、紀伊半島から四国沖の海底にDONETと呼ばれる、地震津波観測監視システムを整備していて、震源域の真上の海底で直に地震や津波の観測をおこなっています。JAMSTECの町田副主任研究員らは、ここに設置されている水圧計の観測のずれを補正する技術を開発し、水深2000メートル付近の海底で今回初めて地面が沈降、沈み込んでいることが明らかになったと発表しました。紀伊半島の南東沖の熊野灘で年間約1.5センチ、紀伊半島の南西沖では年間約2.5センチの速度で沈降していたということです。■南海トラフ震源域ではプレートの沈む込みによる沈降も南海トラフ地震は沖合のフィリピン海プレートが陸のプレートの下に沈み込むことで、境界付近にひずみがたまり、それが限界に達することで繰り返し発生する大地震のことです。陸側のプレートが、海側のプレートに引きずり込まれるようになっているため、これまでも地面が沈下することが分かっていましたが、海底でこれを明確に観測できたのは初めてのことです。■南海トラフ震源域の陸地では 年々「沈降」するデータが観測毎月公開されている、静岡県の御前崎の観測点の地盤沈下の量を示した図です。国土地理院が衛星を使って地面の変化を観測していますが、それによると御前崎は1998年に比べると約20センチ近く、沈んでいることが分かっています。地面の沈み込みは、南海トラフ地震の震源域のほかの場所でも見られています。紀伊半島の先端、潮岬周辺でもデータがある1970年頃から「沈降」が観測されています。高知県室戸岬周辺でも地面の沈降が観測されています。ただ室戸岬では1946年におきた昭和の南海地震によって、逆に地面が大きく隆起したデータも残されています。その量は1メートル近くにのぼります。昭和南海地震(1946年)のひずみの解消による地殻変動で地面が隆起、その後は再び、ひずみをためはじめているため、地面が少しずつ沈下、こうした隆起と沈降を繰り返しているのです。■海底の観測によって、震源付近の地盤の変化に「早く気がつける」かこれまで東海・近畿・四国地方の陸上では国土地理院によって地面の動きが観測されていましたが、これが海底でも明らかにされたことの意義をJAMSTECの町田副主任研究員は次のように話しています。南海トラフ震源域の海底のデータはリアルタイムで観測できているため「変化に早く気がつける可能性がある」としています。今回は2か所のデータから、沈降していることが明らかになりましたが、南海トラフ地震の海域では同じように海底でのリアルタイム観測がおこなわれているため、町田副主任研究員は、ほかの場所でもデータの取得に挑戦したいとしています。
JAMSTEC海洋研究開発機構は南海トラフ地震の震源域、海底2000メートル付近で水圧計の観測のずれを補正する技術を開発し、地面が沈降していることを明らかにしました。地面の沈降が意味することは?社会部災害担当・中濱弘道デスクが解説します。【週刊地震ニュース】
9月29日から10月5日までの期間、国内では震度1以上の地震が42回あり、うち震度4が1回ありました。
▼9月29日午前2時35分ごろ、鹿児島県十島村の悪石島で震度3の地震がありました。震源はトカラ列島近海、地震の規模を示すマグニチュードは3.3、震源の深さは10キロでした。
▼10月1日午後11時50分ごろ、岩手県大船渡市や宮城県石巻市などで震度3の地震がありました。震源は宮城県沖、地震の規模を示すマグニチュードは4.6、震源の深さは59キロでした。
▼3日午後3時20分ごろ、福島県田村市と葛尾村で震度3の地震がありました。震源は福島県沖、地震の規模を示すマグニチュードは4.4、震源の深さは55キロでした。
▼5日午前0時21分ごろ、福島県双葉町で震度4の地震がありました。震源は福島県沖、地震の規模を示すマグニチュードは5.7、震源の深さは50キロでした。(速報値)
▼5日午後2時42分ごろ、鹿児島県十島村の悪石島で震度3の地震がありました。震源はトカラ列島近海、マグニチュードは3.4、震源の深さは20キロでした。(速報値)
10月3日昼ごろですが、わずか10分程度の間に東京などで震度2の地震が相次ぎました。
▼午後0時37分ごろの地震は、千葉県南東沖を震源とするもので千代田区などで震度2を観測。(マグニチュード4.2 深さ60キロ)
▼午後0時48分ごろには、東京湾を震源とする地震で町田市などで震度2を観測しました。(M4.1 深さ112キロ)
関東南部の地下は太平洋プレート、フィリピン海プレートが沈み込み、その上に陸のプレートがある複雑な構造となっています。千葉県南東沖や東京湾(千葉北西部)には地震の巣と呼ばれ、繰り返しやや強い地震を引きおこす場所もあります。
今回の2つの地震は、たまたま10分程度の間隔でおきましたが、比較的地震活動が高い場所が震源で、直接関係はないとみられています。
JAMSTEC海洋研究開発機構は南海トラフ地震の震源域のうち、紀伊半島から四国沖の海底にDONETと呼ばれる、地震津波観測監視システムを整備していて、震源域の真上の海底で直に地震や津波の観測をおこなっています。
JAMSTECの町田副主任研究員らは、ここに設置されている水圧計の観測のずれを補正する技術を開発し、水深2000メートル付近の海底で今回初めて地面が沈降、沈み込んでいることが明らかになったと発表しました。紀伊半島の南東沖の熊野灘で年間約1.5センチ、紀伊半島の南西沖では年間約2.5センチの速度で沈降していたということです。
南海トラフ地震は沖合のフィリピン海プレートが陸のプレートの下に沈み込むことで、境界付近にひずみがたまり、それが限界に達することで繰り返し発生する大地震のことです。陸側のプレートが、海側のプレートに引きずり込まれるようになっているため、これまでも地面が沈下することが分かっていましたが、海底でこれを明確に観測できたのは初めてのことです。
毎月公開されている、静岡県の御前崎の観測点の地盤沈下の量を示した図です。国土地理院が衛星を使って地面の変化を観測していますが、それによると御前崎は1998年に比べると約20センチ近く、沈んでいることが分かっています。
地面の沈み込みは、南海トラフ地震の震源域のほかの場所でも見られています。紀伊半島の先端、潮岬周辺でもデータがある1970年頃から「沈降」が観測されています。
高知県室戸岬周辺でも地面の沈降が観測されています。ただ室戸岬では1946年におきた昭和の南海地震によって、逆に地面が大きく隆起したデータも残されています。その量は1メートル近くにのぼります。昭和南海地震(1946年)のひずみの解消による地殻変動で地面が隆起、その後は再び、ひずみをためはじめているため、地面が少しずつ沈下、こうした隆起と沈降を繰り返しているのです。
これまで東海・近畿・四国地方の陸上では国土地理院によって地面の動きが観測されていましたが、これが海底でも明らかにされたことの意義をJAMSTECの町田副主任研究員は次のように話しています。