国内外から絶大な人気を誇る観光地「京都」。海外からの観光客が増えているものの、日本人の観光客が減っているというのです。日本人はどこに行ってしまったのでしょうか?
【画像を見る】外国人観光客が多いのはどこ?観光客の動向調査結果
山形純菜キャスター:京都市によりますと、コロナ前の2018年は805万人。そして、2024年は1088万人と過去最多になっており、京都を訪れる外国人観光客が増えています。なぜ京都にくるのかというと、日本らしさを感じたいということで▼寺院・神社などを目的にする方が91.4%、▼伝統文化鑑賞が57%という結果になりました。
山形キャスター:日本人観光客も、2018年は4470万人。そして、2024年は4518万人と増えています。
京都市などによる観光客の動向調査で、日本人と外国人がどこを訪れているのかが分かりました。例えば、嵐山を見ますと、日本人は-20%と減っている一方、外国人は+22%と増えています。京都駅も、日本人は-9%。一方で、外国人は+72%と増えています。日本人の観光客は、山科や高雄、京北など、京都の中心部から離れているエリアに訪れているようです。
【日本人観光客と外国人観光客の動向】(提供:京都市)▼東山日本人:-12%外国人:+66%▼祇園日本人:-10%外国人:-7%▼金閣寺日本人:-36%外国人:-1%▼北野天満宮日本人:+51%外国人:+7%▼京都駅日本人:-9%外国人:+72%▼京北日本人:+24%▼高雄日本人:+17%▼嵐山日本人:-20%外国人:+22%
そして、北野天満宮は、外国人も+7%と増えているのですが、日本人は+51%ととても増えていました。なぜ、みなさんが訪れているのでしょうか。
山形キャスター:京都でも有数の観光地として知られる「北野天満宮」は、梅と紅葉の名所としても人気の場所です。実際に北野天満宮では、外国人だけでなく、日本人の姿も確認できました。
実際に訪れていた観光客に取材すると…
Q.嵐山と比べて外国人の数は?
広島から来た夫婦(50代)「ようやく京都っぽい感じに」「嵐山からちょっと外国人の方が多かったので、人の少ない京都っぽい所にと思って、今バスで来ました。お値段もすごい、食べ物の値段も高い気がしました」「ラーメンとかも2000円近かった…びっくりしました」
Q.こちらでゆっくりと穏やかに過ごせそうですか?広島から来た夫婦(50代)「日本らしさを堪能したいと思います」
山形キャスター:お店の方に取材すると、「まだ外国人の方にここの魅力が伝わっていないのではないか」ということでした。現在は、嵐山や祇園などに比べると、静かにゆっくり過ごせるエリアになっています。
井上貴博キャスター:ホテルは高いですし、食べるものも高い。そして、ホテルが取れないとなると、外国人観光客が少なそうな場所を探していくのも分かります。
慶応義塾大学教授・教育経済学者中室牧子さん:時間の問題なのではないかなという気がしないでもないですけれども…。価格の面でも混雑の面でも、国内旅行のニーズに合うことはとても大事です。京都の一番の問題は、オーバーツーリズムだなと改めて感じます。
最近読んだ論文で面白いなと思ったのが、海外を中心に、観光客から一定の税や料金を取る観光地が増えてきているそうです。それを使ってインフラ整備や混雑の緩和、清掃、環境保全などのようなことをやっているとのこと。実は京都市も、観光税を宿泊税という形で取っていますが、その導入後も観光客は減らなかったという論文があります。すなわち、価格が上がっても需要は減らないという「価格弾力性が小さい」ことを意味しています。なので、観光税のようなものを使って、オーバーツーリズム対策をやっていくことは、意味があると感じました。
井上キャスター:海外に比べたら、日本はまだ観光税も安いですからね。
出水麻衣キャスター:海外の口コミで「京都は絶対に行きたい場所」にリストアップされているのだなと、少し誇らしくなりますけどね。
慶応義塾大学教授・教育経済学者中室牧子さん:国際的には「観光の持続可能性が大事」だと言われていて、そのためには、環境負荷や経済効果など、住民の幸福度も大切です。長く持続的に維持していくことが大事ではないかなと思います。
山形キャスター他にも日本人観光客が増えているエリアがあります。京都の北西にある「京都・高尾」エリアです。京都駅からJRバスで約50分、二条城駅からは約30分かかるそうです。世界文化遺産の寺などがあり、知る人ぞ知る紅葉の名所ということです。こういった場所も、ぜひ訪れてみてください。==========〈プロフィール〉中室牧子さん慶応義塾大学教授教育経済学者教育をデータで分析著書「科学的根拠で子育て」