「やばいかな」 違法な論文海賊版サイト、常連の医師「便利」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

有料の学術論文をインターネット上で無料で閲覧できるよう違法に公開する海賊版サイト「Sci―Hub(サイハブ)」の利用が急増している。日常的に利用しているという40代の男性医師が毎日新聞の取材に応じた。男性は違法サイトであることを認識しながらも、「あまり罪悪感はない」と明かした。
【図解】違法ダウンロード数、1位の国は 男性は北海道内の医療機関に勤務する。診療のかたわら、年に計10本程度のペースで日本語と英語の論文を執筆している。論文を書くためには過去の論文を参考にしたり、引用したりする必要がある。関連分野の研究者の論文を読み込んで日々勉強することも不可欠だ。

しかし、所属する診療科で購読契約している学術誌は現在3誌のみ。男性は「読める論文はかなり少ない。さまざまな分野の論文が載っている総合学術誌を購読したとしても、専門分野で読みたい論文は読めない」と話す。 サイハブの存在を知ったのは3年前。知り合いの医師から「どんな論文でも落ちている」と紹介された。男性は「使ってみると、めちゃくちゃ便利だった」と振り返る。以来、数え切れないほど頻繁にダウンロードしているという。 出版社の著作権を侵害しているサイハブから論文を入手する行為は著作権法に違反する。だが男性は、違法と認識はしているが「あまり深く考えていない」という。「気になる論文がすぐに手に入る。理論を強化するのに効率的で、書く速度も格段に上がった。本当に便利だ」と肯定的だ。 海賊版サイトと知りながらのダウンロードは刑事罰の対象となる場合もある。もう一度違法性の認識を問うと、男性は「気にしないとだめですかね。やばいですかね」と返答した。 サイハブを巡っては、論文の購読料高騰などを背景に利用が急増している。日本からの違法なダウンロード数は2022年に約720万件に上り、比較可能な17年から5・6倍に増えたことが、毎日新聞の調査で判明した。【鳥井真平】
男性は北海道内の医療機関に勤務する。診療のかたわら、年に計10本程度のペースで日本語と英語の論文を執筆している。論文を書くためには過去の論文を参考にしたり、引用したりする必要がある。関連分野の研究者の論文を読み込んで日々勉強することも不可欠だ。
しかし、所属する診療科で購読契約している学術誌は現在3誌のみ。男性は「読める論文はかなり少ない。さまざまな分野の論文が載っている総合学術誌を購読したとしても、専門分野で読みたい論文は読めない」と話す。
サイハブの存在を知ったのは3年前。知り合いの医師から「どんな論文でも落ちている」と紹介された。男性は「使ってみると、めちゃくちゃ便利だった」と振り返る。以来、数え切れないほど頻繁にダウンロードしているという。
出版社の著作権を侵害しているサイハブから論文を入手する行為は著作権法に違反する。だが男性は、違法と認識はしているが「あまり深く考えていない」という。「気になる論文がすぐに手に入る。理論を強化するのに効率的で、書く速度も格段に上がった。本当に便利だ」と肯定的だ。
海賊版サイトと知りながらのダウンロードは刑事罰の対象となる場合もある。もう一度違法性の認識を問うと、男性は「気にしないとだめですかね。やばいですかね」と返答した。
サイハブを巡っては、論文の購読料高騰などを背景に利用が急増している。日本からの違法なダウンロード数は2022年に約720万件に上り、比較可能な17年から5・6倍に増えたことが、毎日新聞の調査で判明した。【鳥井真平】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。