〈カエルの鳴き声は騒音?〉モンスター住民の苦情に農家も困惑「雑草が生えるから農薬を使え」「肥料が臭い!」「田んぼの畔が景観を乱している」過去にカエル騒音は訴訟に発展した例も

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「子どもの声は近所迷惑なのか」論争が巻き起こり、“子どもの声は騒音ではない”とする法律の制定を政府が目指していると報道があったのが4月下旬。それから1か月、今度はとある田んぼの多い住宅地で「田んぼのカエルがうるさい」とのクレームが。新たなご近所トラブルの火種に、田んぼの所有者である農家の人たちは何を思うのか? カエルの鳴き声へのクレームにSNSでは非難轟々 5月29日、Twitterユーザー「いもっち」さんが“どこからか風で飛んできて落ちてた苦情のビラ”の画像を投稿したところ瞬く間に拡散。6月1日時点で5.7万件のいいね、2万件以上のリツイートがされ、大変な話題となっている。

その紙にはこのように書かれていた。 田んぼの持ち主様へ カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。 鳴き声が煩(うるさ)くて眠ることができず非常に苦痛です。 騒音対策のご対応お願いします。 近隣住民より これを機に「子どもの声は騒音なのか」論争に続き、「カエルの声は騒音なのか」論争が勃発!? かと思いきや、多くの人が田んぼの持ち主、もといカエルに同情的で、「カエルに言えよwww」「勝手すぎますね。田んぼが先にあってそこに引っ越してきたわけですし」「風流を楽しむ心がないなら田舎に来なくていいのに……」といった意見が多数リプライされている。 新興住宅地は近くに田畑があるケースも多い (※写真はイメージです) たしかに自分勝手なクレームにも感じるが、当の農家はどう思っているのか。埼玉県さいたま市南区白幡の農家Iさんは言う。 「うちは言われることはないけど、埼玉県で新興住宅地化が進んでる地域はそういう苦情も多いんだろうね。だったらもうコメ食うなって言いたくなっちゃうよ(笑)」 埼玉県川越市で無農薬栽培をする米農家Fさんは田んぼにとっていかにカエルが大事な生き物かを訴える。 「カエルは稲を食い荒らすカメムシなどの害虫を食べてくれるし、そのフンも肥料になるありがたい存在。本来、カエルの鳴き声は、我々のような米農家や近隣の住民にとって“安心できるバロメーター”。それを何も知らない人に『うるさいから騒音対策しろ』なんて言われたくないよ」 SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
「子どもの声は近所迷惑なのか」論争が巻き起こり、“子どもの声は騒音ではない”とする法律の制定を政府が目指していると報道があったのが4月下旬。それから1か月、今度はとある田んぼの多い住宅地で「田んぼのカエルがうるさい」とのクレームが。新たなご近所トラブルの火種に、田んぼの所有者である農家の人たちは何を思うのか?
カエルの鳴き声へのクレームにSNSでは非難轟々 5月29日、Twitterユーザー「いもっち」さんが“どこからか風で飛んできて落ちてた苦情のビラ”の画像を投稿したところ瞬く間に拡散。6月1日時点で5.7万件のいいね、2万件以上のリツイートがされ、大変な話題となっている。

その紙にはこのように書かれていた。 田んぼの持ち主様へ カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。 鳴き声が煩(うるさ)くて眠ることができず非常に苦痛です。 騒音対策のご対応お願いします。 近隣住民より これを機に「子どもの声は騒音なのか」論争に続き、「カエルの声は騒音なのか」論争が勃発!? かと思いきや、多くの人が田んぼの持ち主、もといカエルに同情的で、「カエルに言えよwww」「勝手すぎますね。田んぼが先にあってそこに引っ越してきたわけですし」「風流を楽しむ心がないなら田舎に来なくていいのに……」といった意見が多数リプライされている。 新興住宅地は近くに田畑があるケースも多い (※写真はイメージです) たしかに自分勝手なクレームにも感じるが、当の農家はどう思っているのか。埼玉県さいたま市南区白幡の農家Iさんは言う。 「うちは言われることはないけど、埼玉県で新興住宅地化が進んでる地域はそういう苦情も多いんだろうね。だったらもうコメ食うなって言いたくなっちゃうよ(笑)」 埼玉県川越市で無農薬栽培をする米農家Fさんは田んぼにとっていかにカエルが大事な生き物かを訴える。 「カエルは稲を食い荒らすカメムシなどの害虫を食べてくれるし、そのフンも肥料になるありがたい存在。本来、カエルの鳴き声は、我々のような米農家や近隣の住民にとって“安心できるバロメーター”。それを何も知らない人に『うるさいから騒音対策しろ』なんて言われたくないよ」 SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
カエルの鳴き声へのクレームにSNSでは非難轟々 5月29日、Twitterユーザー「いもっち」さんが“どこからか風で飛んできて落ちてた苦情のビラ”の画像を投稿したところ瞬く間に拡散。6月1日時点で5.7万件のいいね、2万件以上のリツイートがされ、大変な話題となっている。

その紙にはこのように書かれていた。 田んぼの持ち主様へ カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。 鳴き声が煩(うるさ)くて眠ることができず非常に苦痛です。 騒音対策のご対応お願いします。 近隣住民より これを機に「子どもの声は騒音なのか」論争に続き、「カエルの声は騒音なのか」論争が勃発!? かと思いきや、多くの人が田んぼの持ち主、もといカエルに同情的で、「カエルに言えよwww」「勝手すぎますね。田んぼが先にあってそこに引っ越してきたわけですし」「風流を楽しむ心がないなら田舎に来なくていいのに……」といった意見が多数リプライされている。 新興住宅地は近くに田畑があるケースも多い (※写真はイメージです) たしかに自分勝手なクレームにも感じるが、当の農家はどう思っているのか。埼玉県さいたま市南区白幡の農家Iさんは言う。 「うちは言われることはないけど、埼玉県で新興住宅地化が進んでる地域はそういう苦情も多いんだろうね。だったらもうコメ食うなって言いたくなっちゃうよ(笑)」 埼玉県川越市で無農薬栽培をする米農家Fさんは田んぼにとっていかにカエルが大事な生き物かを訴える。 「カエルは稲を食い荒らすカメムシなどの害虫を食べてくれるし、そのフンも肥料になるありがたい存在。本来、カエルの鳴き声は、我々のような米農家や近隣の住民にとって“安心できるバロメーター”。それを何も知らない人に『うるさいから騒音対策しろ』なんて言われたくないよ」 SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
5月29日、Twitterユーザー「いもっち」さんが“どこからか風で飛んできて落ちてた苦情のビラ”の画像を投稿したところ瞬く間に拡散。6月1日時点で5.7万件のいいね、2万件以上のリツイートがされ、大変な話題となっている。

その紙にはこのように書かれていた。 田んぼの持ち主様へ カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。 鳴き声が煩(うるさ)くて眠ることができず非常に苦痛です。 騒音対策のご対応お願いします。 近隣住民より これを機に「子どもの声は騒音なのか」論争に続き、「カエルの声は騒音なのか」論争が勃発!? かと思いきや、多くの人が田んぼの持ち主、もといカエルに同情的で、「カエルに言えよwww」「勝手すぎますね。田んぼが先にあってそこに引っ越してきたわけですし」「風流を楽しむ心がないなら田舎に来なくていいのに……」といった意見が多数リプライされている。 新興住宅地は近くに田畑があるケースも多い (※写真はイメージです) たしかに自分勝手なクレームにも感じるが、当の農家はどう思っているのか。埼玉県さいたま市南区白幡の農家Iさんは言う。 「うちは言われることはないけど、埼玉県で新興住宅地化が進んでる地域はそういう苦情も多いんだろうね。だったらもうコメ食うなって言いたくなっちゃうよ(笑)」 埼玉県川越市で無農薬栽培をする米農家Fさんは田んぼにとっていかにカエルが大事な生き物かを訴える。 「カエルは稲を食い荒らすカメムシなどの害虫を食べてくれるし、そのフンも肥料になるありがたい存在。本来、カエルの鳴き声は、我々のような米農家や近隣の住民にとって“安心できるバロメーター”。それを何も知らない人に『うるさいから騒音対策しろ』なんて言われたくないよ」 SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
5月29日、Twitterユーザー「いもっち」さんが“どこからか風で飛んできて落ちてた苦情のビラ”の画像を投稿したところ瞬く間に拡散。6月1日時点で5.7万件のいいね、2万件以上のリツイートがされ、大変な話題となっている。
その紙にはこのように書かれていた。 田んぼの持ち主様へ カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。 鳴き声が煩(うるさ)くて眠ることができず非常に苦痛です。 騒音対策のご対応お願いします。 近隣住民より これを機に「子どもの声は騒音なのか」論争に続き、「カエルの声は騒音なのか」論争が勃発!? かと思いきや、多くの人が田んぼの持ち主、もといカエルに同情的で、「カエルに言えよwww」「勝手すぎますね。田んぼが先にあってそこに引っ越してきたわけですし」「風流を楽しむ心がないなら田舎に来なくていいのに……」といった意見が多数リプライされている。 新興住宅地は近くに田畑があるケースも多い (※写真はイメージです) たしかに自分勝手なクレームにも感じるが、当の農家はどう思っているのか。埼玉県さいたま市南区白幡の農家Iさんは言う。 「うちは言われることはないけど、埼玉県で新興住宅地化が進んでる地域はそういう苦情も多いんだろうね。だったらもうコメ食うなって言いたくなっちゃうよ(笑)」 埼玉県川越市で無農薬栽培をする米農家Fさんは田んぼにとっていかにカエルが大事な生き物かを訴える。 「カエルは稲を食い荒らすカメムシなどの害虫を食べてくれるし、そのフンも肥料になるありがたい存在。本来、カエルの鳴き声は、我々のような米農家や近隣の住民にとって“安心できるバロメーター”。それを何も知らない人に『うるさいから騒音対策しろ』なんて言われたくないよ」 SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
その紙にはこのように書かれていた。
田んぼの持ち主様へ カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。 鳴き声が煩(うるさ)くて眠ることができず非常に苦痛です。 騒音対策のご対応お願いします。 近隣住民より これを機に「子どもの声は騒音なのか」論争に続き、「カエルの声は騒音なのか」論争が勃発!? かと思いきや、多くの人が田んぼの持ち主、もといカエルに同情的で、「カエルに言えよwww」「勝手すぎますね。田んぼが先にあってそこに引っ越してきたわけですし」「風流を楽しむ心がないなら田舎に来なくていいのに……」といった意見が多数リプライされている。 新興住宅地は近くに田畑があるケースも多い (※写真はイメージです) たしかに自分勝手なクレームにも感じるが、当の農家はどう思っているのか。埼玉県さいたま市南区白幡の農家Iさんは言う。 「うちは言われることはないけど、埼玉県で新興住宅地化が進んでる地域はそういう苦情も多いんだろうね。だったらもうコメ食うなって言いたくなっちゃうよ(笑)」 埼玉県川越市で無農薬栽培をする米農家Fさんは田んぼにとっていかにカエルが大事な生き物かを訴える。 「カエルは稲を食い荒らすカメムシなどの害虫を食べてくれるし、そのフンも肥料になるありがたい存在。本来、カエルの鳴き声は、我々のような米農家や近隣の住民にとって“安心できるバロメーター”。それを何も知らない人に『うるさいから騒音対策しろ』なんて言われたくないよ」 SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
田んぼの持ち主様へ
カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。
鳴き声が煩(うるさ)くて眠ることができず非常に苦痛です。
騒音対策のご対応お願いします。
近隣住民より
これを機に「子どもの声は騒音なのか」論争に続き、「カエルの声は騒音なのか」論争が勃発!? かと思いきや、多くの人が田んぼの持ち主、もといカエルに同情的で、「カエルに言えよwww」「勝手すぎますね。田んぼが先にあってそこに引っ越してきたわけですし」「風流を楽しむ心がないなら田舎に来なくていいのに……」といった意見が多数リプライされている。
新興住宅地は近くに田畑があるケースも多い (※写真はイメージです) たしかに自分勝手なクレームにも感じるが、当の農家はどう思っているのか。埼玉県さいたま市南区白幡の農家Iさんは言う。 「うちは言われることはないけど、埼玉県で新興住宅地化が進んでる地域はそういう苦情も多いんだろうね。だったらもうコメ食うなって言いたくなっちゃうよ(笑)」 埼玉県川越市で無農薬栽培をする米農家Fさんは田んぼにとっていかにカエルが大事な生き物かを訴える。 「カエルは稲を食い荒らすカメムシなどの害虫を食べてくれるし、そのフンも肥料になるありがたい存在。本来、カエルの鳴き声は、我々のような米農家や近隣の住民にとって“安心できるバロメーター”。それを何も知らない人に『うるさいから騒音対策しろ』なんて言われたくないよ」 SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
新興住宅地は近くに田畑があるケースも多い (※写真はイメージです) たしかに自分勝手なクレームにも感じるが、当の農家はどう思っているのか。埼玉県さいたま市南区白幡の農家Iさんは言う。 「うちは言われることはないけど、埼玉県で新興住宅地化が進んでる地域はそういう苦情も多いんだろうね。だったらもうコメ食うなって言いたくなっちゃうよ(笑)」 埼玉県川越市で無農薬栽培をする米農家Fさんは田んぼにとっていかにカエルが大事な生き物かを訴える。 「カエルは稲を食い荒らすカメムシなどの害虫を食べてくれるし、そのフンも肥料になるありがたい存在。本来、カエルの鳴き声は、我々のような米農家や近隣の住民にとって“安心できるバロメーター”。それを何も知らない人に『うるさいから騒音対策しろ』なんて言われたくないよ」 SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
新興住宅地は近くに田畑があるケースも多い (※写真はイメージです)
新興住宅地は近くに田畑があるケースも多い
(※写真はイメージです)

たしかに自分勝手なクレームにも感じるが、当の農家はどう思っているのか。埼玉県さいたま市南区白幡の農家Iさんは言う。 「うちは言われることはないけど、埼玉県で新興住宅地化が進んでる地域はそういう苦情も多いんだろうね。だったらもうコメ食うなって言いたくなっちゃうよ(笑)」 埼玉県川越市で無農薬栽培をする米農家Fさんは田んぼにとっていかにカエルが大事な生き物かを訴える。 「カエルは稲を食い荒らすカメムシなどの害虫を食べてくれるし、そのフンも肥料になるありがたい存在。本来、カエルの鳴き声は、我々のような米農家や近隣の住民にとって“安心できるバロメーター”。それを何も知らない人に『うるさいから騒音対策しろ』なんて言われたくないよ」 SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
たしかに自分勝手なクレームにも感じるが、当の農家はどう思っているのか。埼玉県さいたま市南区白幡の農家Iさんは言う。
「うちは言われることはないけど、埼玉県で新興住宅地化が進んでる地域はそういう苦情も多いんだろうね。だったらもうコメ食うなって言いたくなっちゃうよ(笑)」 埼玉県川越市で無農薬栽培をする米農家Fさんは田んぼにとっていかにカエルが大事な生き物かを訴える。 「カエルは稲を食い荒らすカメムシなどの害虫を食べてくれるし、そのフンも肥料になるありがたい存在。本来、カエルの鳴き声は、我々のような米農家や近隣の住民にとって“安心できるバロメーター”。それを何も知らない人に『うるさいから騒音対策しろ』なんて言われたくないよ」 SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
「うちは言われることはないけど、埼玉県で新興住宅地化が進んでる地域はそういう苦情も多いんだろうね。だったらもうコメ食うなって言いたくなっちゃうよ(笑)」
埼玉県川越市で無農薬栽培をする米農家Fさんは田んぼにとっていかにカエルが大事な生き物かを訴える。 「カエルは稲を食い荒らすカメムシなどの害虫を食べてくれるし、そのフンも肥料になるありがたい存在。本来、カエルの鳴き声は、我々のような米農家や近隣の住民にとって“安心できるバロメーター”。それを何も知らない人に『うるさいから騒音対策しろ』なんて言われたくないよ」 SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
埼玉県川越市で無農薬栽培をする米農家Fさんは田んぼにとっていかにカエルが大事な生き物かを訴える。
「カエルは稲を食い荒らすカメムシなどの害虫を食べてくれるし、そのフンも肥料になるありがたい存在。本来、カエルの鳴き声は、我々のような米農家や近隣の住民にとって“安心できるバロメーター”。それを何も知らない人に『うるさいから騒音対策しろ』なんて言われたくないよ」 SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
「カエルは稲を食い荒らすカメムシなどの害虫を食べてくれるし、そのフンも肥料になるありがたい存在。本来、カエルの鳴き声は、我々のような米農家や近隣の住民にとって“安心できるバロメーター”。それを何も知らない人に『うるさいから騒音対策しろ』なんて言われたくないよ」
SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
SDGsと声高に叫んでいるが 自然との共存はまだまだ遠い 一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。 「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
一方、カエルの鳴き声以外にも近隣住民から苦情を受けるケースが多々あるという。千葉県松戸市の米農家Sさんが言う。
「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。 それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」 近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
「田んぼに水を入れて耕すためにトラクターを動かしていたんですが、それが朝6、7時ごろだったから、母親2人組に『ねぇ、うるさいでしょ! 今何時だと思ってるんです?』とすごく怒られて……。
それで、朝の数時間を遅らせたら、丸一日耕さないと間に合わなくなり、作業工程にも遅れが出るようになりました。近所の人には農家の仕事に理解を持ってほしいですね……」
近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。 「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
近隣住民からの苦情は音にだけとは限らない。周辺の景観を理由にこんな無茶を言う住民もいたと証言するのは、神奈川県横浜市の米農家Yさんだ。
「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。 ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
「近隣住民から『田んぼの畔の草が邪魔で景観が乱れるからどうにかしてくれ』と言われたことがあります。畔には稲作に不可欠な生き物がたくさん住んでいるというのに……。
ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」 子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
ご近所トラブルは避けたいから5センチくらいに揃えていますが、あまり短く刈りすぎると生態系が崩れてしまいます」
子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです) 静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
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子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです)
子どもたちが楽しく田植え体験をする様子(※写真はイメージです)

静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。 「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
静岡県内で自然教育をしている某NPO法人の理事も今回のカエル騒動に肩を落とす。
「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。 ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。 当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
「ウチでは近所の湧き水を使った自然農法による田んぼで、子どもたちに田植えや草刈り、稲刈りを経験させて自然や食を学んでもらう活動してきました。
ですが、ご近所さんから『子供の声がうるさい』とか、無農薬なので雑草が近所の敷地や畑にまで広がったために『農薬を使うか田んぼをやめるかしてくれ』とかなりの苦情を言われました。
当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」 過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
当初は頻繁に雑草を刈っていましたが、理解を得られず5年前に田んぼをやめてしまいました。最近では企業や学校でSDGsと声高々にあげていますが、自然との共存はまだまだ難しいですね」
過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
過去にカエル騒音問題は訴訟に発展した例も また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。 「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
また、東京都多摩地区で畑や田んぼを持つYさんはニオイの苦情を受けた。
「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」 そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
「肥料を作ってると『臭い!』、草刈り中に『砂埃が飛んできて困る』なんてことを言われるのは日常茶飯事です。その場では謝るけど内心じゃ『こっちは300年も前から畑を守ってる。ここ10年かそこらで引っ越してきて、そもそもうちの土地を宅地に変えた場所に住んでる人たちが何言ってんだ』って思ってるよ」
そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。 「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
そう言うYさんだが、今回のカエル騒動により、こんな懸念も口にする。
「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。 カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」 野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
「農地と新興住宅地が混在する地域では野焼き(植生などを焼却炉以外で燃やす行為)の問題が後を絶たず、平成13年改正の廃棄物処理法で、『農業を営む上でやむを得ない場合』を除き、野焼きが全面禁止になってしまった。
カエルの騒音も、こういった苦情が相次ぐようだと何かしらのガイドラインができてしまうかもしれない。畑近くに引っ越してきた非農家さんは“お互いさま”の精神を持ってくれと願うばかりです」
野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
野焼き(※写真はイメージです) だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
野焼き(※写真はイメージです)
野焼き(※写真はイメージです)

だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。 社会部記者は言う。 「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
だが、実は2021年4月に、すでに「カエル騒動」は訴訟へと発展していた。
社会部記者は言う。
「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」 Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
「東京都板橋区の住宅街で起きたこの騒音トラブルは、住人の男性が隣家に『すべてのカエルの駆除』と75万円の損害賠償を求めた訴訟でした。これに対し東京地裁は原告側の請求を『カエルの鳴き声は自然の音の一つで、我慢すべき限度を超えているとはいえない』として全面的に棄却する判決を出しました」
Yさんの心配が杞憂に終わればいいのだが。 ※「集英社オンライン」では、カエル騒音問題について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。 メールアドレス: [email protected] Twitter @shuon_news 取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班
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