【追及・大阪万博】万博総合プロデューサーが連日開いていた「東京の一等地で深夜0時までの豪華誕生パーティ」の中身と参加者

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東京を代表するセレブの街で、3日間にわたり政治家や芸能人などが集まる誕生パーティが開かれた。会の主役こそが森下である。この男が、ド派手な交友関係を築くまでの「舞台裏」を明かす。
森功(もり・いさお)/ノンフィクション作家。’61年、福岡県生まれ。『週刊新潮』編集部などを経て、’03年に独立。『悪だくみ「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で’18年に大宅賞を受賞。『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』『国商 最後のフィクサー葛西敬之』など著書多数
東京・麻布十番にある小さな会員制ワインバーでは、5月8日から10日まで3日にわたって華やかなパーティが開かれた。
Photo by gettyimages
店の前で見ていると、オープンの少し前、パーティの主役が姿を現した。白のインナーに濃紺の半袖シャツを羽織り、真っ白いパンツをはいている。いつものスーツ姿とは異なり、かなりラフないで立ちだ。午後7時のパーティ開始時刻が迫っているせいか、息を切らしながらドアを開け、店に駆け込んだ。
大阪大学大学院医学系研究科寄附講座教授の森下竜一(61歳)である。招待客の一人が明かした。
「あのワインバーは森下さんと親しい女性が切り盛りしています。森下さんの顧問先がバーの会員となって運営されていることもあってか、事実上、森下さんが店のオーナーといわれています。上京した折、森下さんが懇親の場として使っている。派手好みの森下さんらしく、今回の誕生パーティも有名人が集まって賑やかに開かれていました」著名な来客者1962年5月12日生まれの森下の誕生パーティには、招待客が夜の帳に紛れて次々と地下の店に吸い込まれていった。見覚えのある顔も少なくない。2日目の9日に現れたのが、俳優の中村雅俊である。Photo by gettyimagesパーティ開始からすでに1時間ほどが経過した午後8時19分、中村本人が鳥居坂下交差点から歩いてやって来た。鮮やかなブルーの革ジャンに、黒っぽい細身のパンツスタイル。黒い帽子に黒マスクを着け、手には黒いトートバッグを提げていた。芸能人の多い麻布界隈にあって、遠目に見てもよく目立つ。当人は店の前で立ち止まり、店名の記された入り口脇の看板を確認して中へ入ったので、ひょっとすると常連ではないかもしれない。先の招待客に森下との関係を尋ねたところ、こう説明してくれた。「中村雅俊は’19年に開催されたアンチエイジングフェアで森下さんとトークショーに出演しています。日本抗加齢医学会の副理事長である森下さんは、その世界の第一人者ですからね。本人は目の下の弛みを気にしているのかな。二人の仲がいいのは間違いありません」 ワインバーでの誕生パーティには、青山恭明も駆け付けた。本連載で何度も紹介してきた「2025大阪・関西万博」のメインスポンサーで、大阪パビリオンの総合プロデューサーを務める森下の顧問先であるシャワーヘッドメーカー「サイエンス」会長である。午後10時13分過ぎ、シルバーのトヨタ プリウスが店の前に横付けされ、助手席からスーツ姿の青山が、プレゼントらしきルイ・ヴィトンの紙袋を持って降りてきた。紙巻きタバコを取り出し、路上で一服すると、運転手といっしょにバーへ向かった。政治家とのつながりパーティは連日午前0時頃まで続いた。最終日の10日には、政治家の姿もあった。午後8時過ぎ、黒のトヨタ カムリの後部座席から降りてきたのが自民党参議院議員の丸川珠代だ。ホワイトのパンツスーツ姿の丸川も店の看板を見て確認し、左手に赤い名刺入れを持って店内に入った。ある厚労省の官僚が丸川と森下の関係について言った。Photo by gettyimages「丸川さんはお父さんが医者なんです。それで『私は医療系に強い』と言って、厚労族議員のポジションを目指している。それで第二次安倍政権の内閣官房にできた健康・医療戦略室の参与だった森下氏と親しくなったと聞いています。塩崎恭久元厚労大臣の後釜を狙って、安倍元総理と親しかった森下さんに近づいたのではないでしょうか」丸川自身の選挙区は東京だが、実父の征四郎は神戸大学医学部を卒業し、大阪市の医誠会病院長を務めてきた。自ら開く朝食会に森下を招待し、二人は懇意になっていったという。また変わったところでは、立憲民主党参議院議員の羽田次郎も、くだんの誕生パーティに参加していた。小沢一郎らと自民党を飛び出し新生党を結成して第80代首相に就いた羽田孜の次男だ。森下と羽田には意外な接点がある。ある事情通が解説する。 「羽田次郎は森下が『次郎ちゃん』と名前で呼ぶほど長い付き合いのようです。羽田は『フォレストフィールド』という投資ファンドを経営しており、そこが阪大ベンチャーのアンジェスMGによる約5億円分の増資を引き受けている。いわば羽田と森下はビジネスパートナーでもあるわけです」アンジェスは森下が遺伝子治療薬の開発を謳い、創薬ベンチャーとして起業した企業だ。新型コロナウイルス対策の国産ワクチン開発で、巨額の政府補助金を使った挙げ句、計画が頓挫して顰蹙を買ったのは、ついこのあいだの出来事である。麻布で開かれた阪大大学院教授森下竜一の誕生日パーティー。一見普通の誕生日パーティーだが調べていくとどうやら”黒い”部分が…。著名人も絡む「金権人脈」を巡ったパーティーの実情に迫る。後編記事で引き続き紹介する。「週刊現代」2023年5月27日号より
「あのワインバーは森下さんと親しい女性が切り盛りしています。森下さんの顧問先がバーの会員となって運営されていることもあってか、事実上、森下さんが店のオーナーといわれています。
上京した折、森下さんが懇親の場として使っている。派手好みの森下さんらしく、今回の誕生パーティも有名人が集まって賑やかに開かれていました」
1962年5月12日生まれの森下の誕生パーティには、招待客が夜の帳に紛れて次々と地下の店に吸い込まれていった。見覚えのある顔も少なくない。
2日目の9日に現れたのが、俳優の中村雅俊である。
Photo by gettyimages
パーティ開始からすでに1時間ほどが経過した午後8時19分、中村本人が鳥居坂下交差点から歩いてやって来た。鮮やかなブルーの革ジャンに、黒っぽい細身のパンツスタイル。黒い帽子に黒マスクを着け、手には黒いトートバッグを提げていた。
芸能人の多い麻布界隈にあって、遠目に見てもよく目立つ。当人は店の前で立ち止まり、店名の記された入り口脇の看板を確認して中へ入ったので、ひょっとすると常連ではないかもしれない。
先の招待客に森下との関係を尋ねたところ、こう説明してくれた。
「中村雅俊は’19年に開催されたアンチエイジングフェアで森下さんとトークショーに出演しています。日本抗加齢医学会の副理事長である森下さんは、その世界の第一人者ですからね。本人は目の下の弛みを気にしているのかな。二人の仲がいいのは間違いありません」
ワインバーでの誕生パーティには、青山恭明も駆け付けた。本連載で何度も紹介してきた「2025大阪・関西万博」のメインスポンサーで、大阪パビリオンの総合プロデューサーを務める森下の顧問先であるシャワーヘッドメーカー「サイエンス」会長である。午後10時13分過ぎ、シルバーのトヨタ プリウスが店の前に横付けされ、助手席からスーツ姿の青山が、プレゼントらしきルイ・ヴィトンの紙袋を持って降りてきた。紙巻きタバコを取り出し、路上で一服すると、運転手といっしょにバーへ向かった。政治家とのつながりパーティは連日午前0時頃まで続いた。最終日の10日には、政治家の姿もあった。午後8時過ぎ、黒のトヨタ カムリの後部座席から降りてきたのが自民党参議院議員の丸川珠代だ。ホワイトのパンツスーツ姿の丸川も店の看板を見て確認し、左手に赤い名刺入れを持って店内に入った。ある厚労省の官僚が丸川と森下の関係について言った。Photo by gettyimages「丸川さんはお父さんが医者なんです。それで『私は医療系に強い』と言って、厚労族議員のポジションを目指している。それで第二次安倍政権の内閣官房にできた健康・医療戦略室の参与だった森下氏と親しくなったと聞いています。塩崎恭久元厚労大臣の後釜を狙って、安倍元総理と親しかった森下さんに近づいたのではないでしょうか」丸川自身の選挙区は東京だが、実父の征四郎は神戸大学医学部を卒業し、大阪市の医誠会病院長を務めてきた。自ら開く朝食会に森下を招待し、二人は懇意になっていったという。また変わったところでは、立憲民主党参議院議員の羽田次郎も、くだんの誕生パーティに参加していた。小沢一郎らと自民党を飛び出し新生党を結成して第80代首相に就いた羽田孜の次男だ。森下と羽田には意外な接点がある。ある事情通が解説する。 「羽田次郎は森下が『次郎ちゃん』と名前で呼ぶほど長い付き合いのようです。羽田は『フォレストフィールド』という投資ファンドを経営しており、そこが阪大ベンチャーのアンジェスMGによる約5億円分の増資を引き受けている。いわば羽田と森下はビジネスパートナーでもあるわけです」アンジェスは森下が遺伝子治療薬の開発を謳い、創薬ベンチャーとして起業した企業だ。新型コロナウイルス対策の国産ワクチン開発で、巨額の政府補助金を使った挙げ句、計画が頓挫して顰蹙を買ったのは、ついこのあいだの出来事である。麻布で開かれた阪大大学院教授森下竜一の誕生日パーティー。一見普通の誕生日パーティーだが調べていくとどうやら”黒い”部分が…。著名人も絡む「金権人脈」を巡ったパーティーの実情に迫る。後編記事で引き続き紹介する。「週刊現代」2023年5月27日号より
ワインバーでの誕生パーティには、青山恭明も駆け付けた。本連載で何度も紹介してきた「2025大阪・関西万博」のメインスポンサーで、大阪パビリオンの総合プロデューサーを務める森下の顧問先であるシャワーヘッドメーカー「サイエンス」会長である。
午後10時13分過ぎ、シルバーのトヨタ プリウスが店の前に横付けされ、助手席からスーツ姿の青山が、プレゼントらしきルイ・ヴィトンの紙袋を持って降りてきた。紙巻きタバコを取り出し、路上で一服すると、運転手といっしょにバーへ向かった。
パーティは連日午前0時頃まで続いた。最終日の10日には、政治家の姿もあった。午後8時過ぎ、黒のトヨタ カムリの後部座席から降りてきたのが自民党参議院議員の丸川珠代だ。ホワイトのパンツスーツ姿の丸川も店の看板を見て確認し、左手に赤い名刺入れを持って店内に入った。
ある厚労省の官僚が丸川と森下の関係について言った。
Photo by gettyimages
「丸川さんはお父さんが医者なんです。それで『私は医療系に強い』と言って、厚労族議員のポジションを目指している。それで第二次安倍政権の内閣官房にできた健康・医療戦略室の参与だった森下氏と親しくなったと聞いています。塩崎恭久元厚労大臣の後釜を狙って、安倍元総理と親しかった森下さんに近づいたのではないでしょうか」
丸川自身の選挙区は東京だが、実父の征四郎は神戸大学医学部を卒業し、大阪市の医誠会病院長を務めてきた。自ら開く朝食会に森下を招待し、二人は懇意になっていったという。
また変わったところでは、立憲民主党参議院議員の羽田次郎も、くだんの誕生パーティに参加していた。小沢一郎らと自民党を飛び出し新生党を結成して第80代首相に就いた羽田孜の次男だ。森下と羽田には意外な接点がある。ある事情通が解説する。
「羽田次郎は森下が『次郎ちゃん』と名前で呼ぶほど長い付き合いのようです。羽田は『フォレストフィールド』という投資ファンドを経営しており、そこが阪大ベンチャーのアンジェスMGによる約5億円分の増資を引き受けている。いわば羽田と森下はビジネスパートナーでもあるわけです」アンジェスは森下が遺伝子治療薬の開発を謳い、創薬ベンチャーとして起業した企業だ。新型コロナウイルス対策の国産ワクチン開発で、巨額の政府補助金を使った挙げ句、計画が頓挫して顰蹙を買ったのは、ついこのあいだの出来事である。麻布で開かれた阪大大学院教授森下竜一の誕生日パーティー。一見普通の誕生日パーティーだが調べていくとどうやら”黒い”部分が…。著名人も絡む「金権人脈」を巡ったパーティーの実情に迫る。後編記事で引き続き紹介する。「週刊現代」2023年5月27日号より
「羽田次郎は森下が『次郎ちゃん』と名前で呼ぶほど長い付き合いのようです。羽田は『フォレストフィールド』という投資ファンドを経営しており、そこが阪大ベンチャーのアンジェスMGによる約5億円分の増資を引き受けている。いわば羽田と森下はビジネスパートナーでもあるわけです」
アンジェスは森下が遺伝子治療薬の開発を謳い、創薬ベンチャーとして起業した企業だ。新型コロナウイルス対策の国産ワクチン開発で、巨額の政府補助金を使った挙げ句、計画が頓挫して顰蹙を買ったのは、ついこのあいだの出来事である。
麻布で開かれた阪大大学院教授森下竜一の誕生日パーティー。一見普通の誕生日パーティーだが調べていくとどうやら”黒い”部分が…。著名人も絡む「金権人脈」を巡ったパーティーの実情に迫る。
後編記事で引き続き紹介する。
「週刊現代」2023年5月27日号より

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