「撮り鉄」の迷惑行為相次ぐ 線路内立ち入り場所取りで罵声

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

神奈川県小田原市のJR東海道線の踏切付近で今月、線路にカメラを持った人たちが立ち入り、一部区間で運行に遅れが生じた。
電車を撮影する「撮り鉄」と呼ばれる鉄道ファンとみられる。車両との接触などのリスクがあることから鉄道各社はマナーを守った撮影を呼び掛けるが、一部の人たちによる迷惑行為は後を絶たない。(橋本愛)
13日夕、小田原市のJR東海道線の真鶴―根府川間の「江ノ浦踏切」付近で線路内にカメラを持った10人ほどが立ち入っていると110番通報があった。
JR東日本や県警小田原署によると、回送電車の乗務員が線路内への立ち入りを発見し、電車を停止。乗務員が線路に降りて確認すると既に姿を消していたが、近くには荷物が残されていた。
同踏切付近は撮影の人気スポットといい、捜査関係者は当時の状況から「いわゆる『撮り鉄』だ」と話す。けが人は出なかったが、付近の区間で運転を見合わせ、約25分の遅れが生じた。
「どけよ!」「下がれ」。3月、京急線金沢文庫駅(横浜市)のホームで怒声が飛び交った。この日は営業運転を目前に控えていた京急イエローハッピートレインの試運転が行われ、撮影のためにファンたちが集まったとみられる。ホーム上の黄色い線の内側に留まっていたものの、三脚や脚立が持ち込まれ、騒ぎとなった。
事故やトラブル回避に向け、鉄道事業者は線路への立ち入りやフラッシュ使用などを控え、マナーを守った撮影を行うよう要請。記念走行などでファンの集結が予想される際は警察に警戒を要請することもあり、その場合は警察官立ち会いのもとで「大きな騒ぎにならない」(県警関係者)。
特定の電車の最後の運行は撮影機会となるため鉄道事業者の中では情報発信を控える動きもあるが、それでもファンが独自の情報収集で駆けつけるという。事業者にとって動きを読み切ることは難しく、交流サイト(SNS)上では場所の取り合いで罵声を浴びせたり、線路沿いの車道に広がったりする迷惑行為の動画がたびたび拡散される。
一線を越えた行為は立件される。3月に静岡県警が撮影目的で線路付近に立ち入った鉄道営業法違反容疑で横須賀市の男性公務員らを書類送検。1月には撮影を注意された腹いせに特殊な鍵で電車の乗降ドアを勝手に施錠し、運行を妨害した偽計業務妨害容疑で男子高校生たちが神奈川県警に逮捕された。
捜査関係者は「本当に鉄道が好きなら、鉄道に迷惑をかけてはいけない」と訴える。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。