首相襲撃容疑者のPC、初期化 データ大半消える 自ら証拠隠滅か

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岸田文雄首相の選挙演説会場で爆発物が投げ込まれた事件で、無職の木村隆二容疑者(24)=火薬類取締法違反容疑で再逮捕=の自宅にあったパソコンが初期状態にリセットされていたことが、捜査関係者への取材で明らかになった。内部データの大半が残っていなかったという。
岸田首相襲撃の5カ月前から火薬を無許可で製造疑い 木村容疑者が密造したとされる火薬の原材料について、一部はインターネットを通じて購入されていたことも判明した。ネット上の情報を参考に火薬を自作した可能性もあり、和歌山県警はパソコン内の爆発物や火薬に関するデータを消去して証拠隠滅を図った疑いもあるとみている。

木村容疑者は4月15日午前、和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で、衆院和歌山1区補選の応援演説に訪れた岸田首相のそばに爆発物を投げ込み、演説を妨害したとして威力業務妨害容疑で現行犯逮捕された。 捜査関係者によると、県警は兵庫県川西市にある木村容疑者の自宅からパソコンを押収。詳しく解析した結果、データのほとんどが残されていなかったことが判明した。パソコンを購入時の状態にリセットする「初期化」の操作が実行された形跡があったという。 ただ、事件直前に閲覧したホームページの履歴は確認できる状態だった。自民党のサイトにアクセスした記録が残っていたのは分かっており、岸田首相の遊説日程を調べていた可能性がある。 木村容疑者は火薬約530グラムを密造した疑いで再逮捕された。容疑者の部屋から押収された粉末を鑑定したところ、花火などに使われる黒色火薬の成分が検出された。捜査の過程で原材料の一部は、2022年11月にインターネット経由でクレジットカードを使って入手していたことも新たに判明した。和歌山県警はこの頃から原材料を調合するなどして密造を始めたとみており、詳しい経緯を調べている。事件から1カ月、黙秘続ける 木村隆二容疑者は黙秘を続け、取り調べを担当する捜査員が話しかけても返事すらしないという。事件は15日で発生から1カ月を迎えたが、捜査は爆発物の殺傷能力が焦点となる。 事件では筒状のパイプ爆弾が使われたとみられる。ふたとみられる金属片は約200人の聴衆を越え、約60メートル先にあったコンテナの壁面に突き刺さっていた。木村容疑者は別の爆発物とみられる筒1本を所持しており、現場で回収された。 今後の捜査では筒の構造のほか、内部に詰められていたとみられる火薬の種類や量などを詳しく調べる必要がある。和歌山県警は治安の妨害などを目的とする爆発物取締罰則違反や殺人未遂などの容疑も視野に入れるが、ある捜査幹部は「爆発物の威力を知るには再現実験が必要だ。同じ物を作るためには、本人による説明が鍵になる」と話す。【安西李姫、大塚愛恵、駒木智一】
木村容疑者が密造したとされる火薬の原材料について、一部はインターネットを通じて購入されていたことも判明した。ネット上の情報を参考に火薬を自作した可能性もあり、和歌山県警はパソコン内の爆発物や火薬に関するデータを消去して証拠隠滅を図った疑いもあるとみている。
木村容疑者は4月15日午前、和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で、衆院和歌山1区補選の応援演説に訪れた岸田首相のそばに爆発物を投げ込み、演説を妨害したとして威力業務妨害容疑で現行犯逮捕された。
捜査関係者によると、県警は兵庫県川西市にある木村容疑者の自宅からパソコンを押収。詳しく解析した結果、データのほとんどが残されていなかったことが判明した。パソコンを購入時の状態にリセットする「初期化」の操作が実行された形跡があったという。
ただ、事件直前に閲覧したホームページの履歴は確認できる状態だった。自民党のサイトにアクセスした記録が残っていたのは分かっており、岸田首相の遊説日程を調べていた可能性がある。
木村容疑者は火薬約530グラムを密造した疑いで再逮捕された。容疑者の部屋から押収された粉末を鑑定したところ、花火などに使われる黒色火薬の成分が検出された。捜査の過程で原材料の一部は、2022年11月にインターネット経由でクレジットカードを使って入手していたことも新たに判明した。和歌山県警はこの頃から原材料を調合するなどして密造を始めたとみており、詳しい経緯を調べている。
事件から1カ月、黙秘続ける
木村隆二容疑者は黙秘を続け、取り調べを担当する捜査員が話しかけても返事すらしないという。事件は15日で発生から1カ月を迎えたが、捜査は爆発物の殺傷能力が焦点となる。
事件では筒状のパイプ爆弾が使われたとみられる。ふたとみられる金属片は約200人の聴衆を越え、約60メートル先にあったコンテナの壁面に突き刺さっていた。木村容疑者は別の爆発物とみられる筒1本を所持しており、現場で回収された。
今後の捜査では筒の構造のほか、内部に詰められていたとみられる火薬の種類や量などを詳しく調べる必要がある。和歌山県警は治安の妨害などを目的とする爆発物取締罰則違反や殺人未遂などの容疑も視野に入れるが、ある捜査幹部は「爆発物の威力を知るには再現実験が必要だ。同じ物を作るためには、本人による説明が鍵になる」と話す。【安西李姫、大塚愛恵、駒木智一】

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