泣き寝入り? でしょ……? 「脱毛ラボ」運営会社が破産で困惑の声、今後の支払いはどうなるのか【弁護士が解説】

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脱毛サロン「脱毛ラボ」を運営する株式会社セドナエンタープライズは8月26日、東京地方裁判所に対して破産手続開始の申し立てを行い、同日付で破産手続開始の決定を受けました。
同社は新型コロナウイルス感染症の拡大以降、主軸のサロン事業において時短営業や休業を繰り返しており、また、すでに契約済みの顧客からプランの解約が相次いだことで資金繰りが逼迫(ひっぱく)したため、今回の破産申し立てに至ったといいます。
この発表を受けてSNSのユーザーからは、「脱毛ラボ破産、30万円近く一括で契約したばっかりだよ?」「私も脱毛ラボの被害者。こりゃお金返って来ないな」「詐欺だよ。詐欺」「泣き寝入り? 嘘でしょ?」など、突然の破産に戸惑うコメントが投稿されています。
すでに契約済みの施術の支払いは今後どうなるのか……。法的観点から弁護士である筆者が解説します。 【「脱毛ラボ」運営会社が破産に至った経緯を見る】そもそも「破産手続」とは? 今後はどのように進展していく?「破産手続」とは、債務者が債権者に対して、弁済することができない状態にあるとき、裁判所関与のもと破産管財人が債務者の財産を換価し、債権者に公平に分配する手続きです。分配するだけの財産がない場合には、分配しないこともあります。その結果、債務者の債務はなくなり、経済的に再起することが可能となります。
もう少し分かりやすく説明すると、債務を支払うことができなくなった人(会社)について、第三者関与の下で残っている財産を債権者に配る手続きです。さらに平たく言えば「債務を支払えなくてごめんなさい。残っている財産を皆さんに配ります。これ以上はもう支払えませんので許してください」といったイメージです。
なお、本来であれば債権者に債権を届け出させ、破産管財人が配当できるかどうかを検討していくことになりますが、今回の場合には配当できるだけの財産がないと見込まれるので債権を届け出る手続きは行われないでしょう。 すでに契約済みの未払い分はどうなるのか……支払い続ける? 返金される?支払い方法がクレジットカード決済の分割払いの場合、今後の支払いも必要です。クレジットカード会社は契約者に代わってすでにサロンに料金を支払い済みであり、サロンが倒産したことは支払いを拒否できる理由にならないからです。クレジットカード会社に対して「支払停止の抗弁書」というものを出して支払いを止めることが考えられますが、支払いそのものをなくすことはできません。
また、施術をまだ受けていない分の一括払いした代金は、返還されることはないとお考えください。返金されるかどうかは破産手続きの中で処理されることになりますが、財産がないから破産しているわけですし、破産する脱毛サロンの財産からは税金や従業員の給料などから優先して支払われます。そうすると施術が済んでいない人への返金までは配当がなされないことが見込まれます。 脱毛の施術など高額な商品を契約する場合の注意点現実問題として、サロンの経営状況を把握することは困難です。今回のように突然破産することになったと知らされますので、基本的には予兆もありません。そこで働いている従業員も知らされていないことがほとんどです。
ですから、事前に経営危機を察知し、契約自体を締結しないという対策は不可能と言えます。
そこで仮に契約締結するにしても、複数回の施術に先行して一括で支払うことを回避すること、施術期間中で回数がまだ残っているのに新たに支払わないようにすることが考えられます。前述の通り、利用先の脱毛サロンが倒産しても支払いは続きますので、万が一のことがあったときの損害を少なくする対策が必要です。

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