もし離婚したら「年金はどうなる?」知っておきたいおトクな制度

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年金は、老後の生活を考えるうえでとても重要。「もし将来、離婚したらどうなるのか?」「いったい自分はいくらもらえるのか?」などケースによって不安になることも。そんな知っておきたい年金制度を、社会保険労務士の井戸美枝さんに教えてもらいました。
年金は老後の生活費の要にも。知っておきたいおトクな制度を解説します。
「ねんきん定期便」は毎年誕生月に届くお知らせ。50歳以降は年金の見込額が記載されます。59歳時に届く封書には全期間の年金記録情報が記されているので、誤りがないかの確認を。年金は受給が始まると金額は変わらないので、今のうちに増やせる方法を調べておくのも大事です。日本年金機構の「ねんきんネット」に登録すれば、最新の年金記録や年金の見込額をパソコンやスマホで確認できます。また、マイナポータル経由でもアクセスは可能です。
ねんきん定期便が届いたらここをチェックしましょう。
年金を受給する資格があるかどうかを判断する基準となる期間。保険料納付済み期間と免除期間、合算対象期間の合計が120か月(10年)以上あることが年金受給の要件です。
「何歳から」「どの種類の年金をいくら」受け取ることができるかが確認できます。
「ねんきんネット」にアクセスするための17桁の番号。

専業主婦の妻が離婚した場合、年金が自分の老齢基礎年金だけになり、老後の生活が苦しくなることも。そうならないために知っておきたいのが「年金分割」。
「年金分割」とは、婚姻期間中の夫婦の厚生年金を合算し、多い方から少ない方に分割する制度。「合意分割」と「3号分割」の2通りの方法があります(図参照)。分割の対象は厚生年金だけで、国民年金は分割できません。分割請求の期限は離婚の翌日から2年以内。年金受給中でも分割請求できます。

「加給年金」とは、厚生年金の加入歴が20年以上ある夫が妻や子どもを扶養している場合、夫の年金に上乗せされるもの。夫が65歳になると受給が開始し、妻が65歳になって自分の老齢基礎年金がスタートするまで上乗せされます。つまり夫婦の年齢差が開いているほど長期間受給することに。妻が65歳になると加給年金は終了し、その後は、妻が1966年4月1日以前生まれの場合に限り、加給年金のうちの一定額が妻の年金に「振替加算」されます。

・夫の厚生年金の被保険者期間が20年以上・妻の年収が850万円未満・妻の年齢が64歳以下・妻が被保険者期間20年以上の老齢厚生年金などを受けられる場合は、加給年金は支給停止

妻 38万8900円子ども※(1人目、2人目) 22万3800円3人目以降 7万4600円
18歳になった年度末日までの子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子。

加給年金は老齢厚生年金とセットなので、老齢厚生年金を繰り下げると加給年金の受給開始も遅れます。夫婦の年齢差があまりない場合は、加給年金の受給期間がもともと短いので、加給年金を受け取らずに、夫の年金を繰り下げて増額するのも手。年齢差が5歳以内で、夫が85歳まで生きると想定するなら、加給年金を受け取らず夫の年金を70歳まで繰り下げた方が、受給総額は多くなります※。
夫の老齢基礎年金78万円、老齢厚生年金122万円、加給年金39万円で試算した場合。
老後の年金を受け取る際は、国民年金は「老齢基礎年金」、厚生年金は「老齢厚生年金」といいます。

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