【独自】阪神戦を甲子園で観戦しただけで78歳「宅見組」幹部が逮捕されたワケ《家族にもヤクザと知らせていない紳士の素顔》

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阪神タイガースの本拠地・甲子園球場(兵庫県西宮市)でプロ野球の試合を観戦したとして、いずれも暴力団員の酒井冨士男容疑者(78歳)と出口英樹容疑者(52歳)が兵庫県警に建造物侵入の容疑で逮捕され、検察に送致された。
4月8日、2人は阪神VSヤクルト戦の試合を観戦するため、午後1時半ころに甲子園球場に入場した。その際、球場に「暴力団お断り」という表示があるにもかかわらず入場して、午後5時14分ころに球場を出ようとした。
「甲子園球場で暴力団が野球を見に来ているという情報提供があり、試合終了後に2人に声をかけて事情を聞いた。暴力団の宅見組組員であることはすぐに認めたが、『なぜ野球を見に来てはいけないのか』と抵抗した。暴力団お断りの看板があることを説明すると、試合を見ていたことをすぐに認めたので翌日に逮捕となった」(捜査関係者)
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プロ野球は2003年12月に「暴力団等排除宣言」を行い、「プロ野球暴力団等排除対策協議会」を結成。暴力団等排除条項を盛り込んだ試合観戦契約約款も制定されている。ただし、「お断り」の看板があったとしても、プロ野球を見ただけで逮捕とはやりすぎではないかと語るのは、元山口組顧問弁護士で、ユーチューバーの山之内幸夫氏だ。「建造物侵入で逮捕までしている。今回の2人の容疑者はチケットを不正に入手したわけでもなさそうだし、注意や警告で済む類いの話ではないのか」だが、逮捕には裏事情があったとみられる。「今や組員は20人もいないんじゃないか」酒井容疑者らが所属するのは、かつて「大阪ミナミの象徴」とまで言われた暴力団・宅見組。五代目山口組時代には、宅見勝組長がナンバー2の若頭を務めていたが、暗殺された。六代目山口組時代になっても、二代目宅見組の入江禎組長は総本部長など要職を務めた。だが宅見組は2015年には六代目山口組を割り、分裂した神戸山口組に加わった。入江組長はここでも副組長という最高幹部の地位にあった。入江禎組長六代目山口組と神戸山口組に分裂したなか、宅見組は、内紛から神戸山口組をも離脱し、現在は独立した暴力団組織となっている。ちなみに今回逮捕された酒井容疑者は宅見組ナンバー3の舎弟頭とされる。「名門と言われた宅見組だが、抗争では六代目山口組に一方的にやられるばかりだった。今や組員は20人もいないんじゃないか」宅見組にいた元組員はそう打ち明ける。昨年12月頃から、大阪・ミナミの繁華街にある宅見組事務所が「売りに出ている」と噂になっていた。宅見組事務所 宅見組事務所の不動産登記を調べると、4月14日に所有権が宅見組関係者から移転していることがわかった。土地は約230平米で、4階建ての組事務所が建っている。「もともとの組事務所は、道を挟んで反対側に組事務所があったんです。宅見勝組長時代に売り物件が出たので、それを買って事務所を建てたのが、35年ほど前のことでしょうか。ミナミの歓楽街で、山口組を代表する暴力団としては非常にいい立地でした。『千日前のもんや』といえば、イコール宅見組とわかる。『千日前』といえば、山口組の代紋と同様の威力があった」(前出・元組員)だが、今は組員も減り勢いがなくなった宅見組は、六代目山口組の攻勢にも「返し」ができずに、神戸山口組からも離脱し、取り巻く状況は厳しくなるばかりだった。推定3億円で売られた組事務所捜査関係者がこう語る。「これ以上やっていけないと、入江組長は昨年末くらいから売り先を探していたようだ。歓楽街でなかなか売り物件が出ない場所だから、普通の相場なら6億円とも7億円ともいわれる。しかし暴力団事務所ということでなかなか売れず、結局3億円ほどの売買契約となったと聞いている。よく宅見組の事務所を買うヤツもいたもんだが、組事務所の売買に関与していたのが、酒井容疑者の関係者だった」酒井容疑者が野球観戦で逮捕されたのは、この組事務所売買の件と何らかの関係があるようだ。故・宅見勝氏(山之内幸夫氏提供) 事務所の買主となった会社を調べると、その所在地は大阪市内の分譲マンション。さらに会社の代表者をたどっていくと複数の宗教法人を所有していることも明らかになった。捜査関係者はそこにも注目をしている模様だ。前出の元弁護士・山之内幸夫氏は、亡くなった宅見勝組長と親しく、組事務所と近隣でトラブルがあれば仲裁にも入っていた。それが発端で大阪府警に逮捕された過去もあり、宅見組とは非常に親しい関係だ。「酒井容疑者はよく知っています。家族にもヤクザだと知らせていない紳士ですが、不動産に詳しいことから警察に狙われたのか。暴力団絡みの物件は相場の半分とよく言われますね。3億円程度の売買は妥当な金額かもしれません。確か宅見勝組長が抗争で亡くなってから、入江組長に代替わりする際、幹部組員がお金を出し合ってご遺族から組事務所を買い取ったはずです。宅見組の中で売買代金を巡ってトラブルにならなければいいのですが……」微罪での逮捕の裏にはドラマがあるようだ。
プロ野球は2003年12月に「暴力団等排除宣言」を行い、「プロ野球暴力団等排除対策協議会」を結成。暴力団等排除条項を盛り込んだ試合観戦契約約款も制定されている。
ただし、「お断り」の看板があったとしても、プロ野球を見ただけで逮捕とはやりすぎではないかと語るのは、元山口組顧問弁護士で、ユーチューバーの山之内幸夫氏だ。
「建造物侵入で逮捕までしている。今回の2人の容疑者はチケットを不正に入手したわけでもなさそうだし、注意や警告で済む類いの話ではないのか」
だが、逮捕には裏事情があったとみられる。
酒井容疑者らが所属するのは、かつて「大阪ミナミの象徴」とまで言われた暴力団・宅見組。五代目山口組時代には、宅見勝組長がナンバー2の若頭を務めていたが、暗殺された。六代目山口組時代になっても、二代目宅見組の入江禎組長は総本部長など要職を務めた。
だが宅見組は2015年には六代目山口組を割り、分裂した神戸山口組に加わった。入江組長はここでも副組長という最高幹部の地位にあった。
入江禎組長
六代目山口組と神戸山口組に分裂したなか、宅見組は、内紛から神戸山口組をも離脱し、現在は独立した暴力団組織となっている。ちなみに今回逮捕された酒井容疑者は宅見組ナンバー3の舎弟頭とされる。
「名門と言われた宅見組だが、抗争では六代目山口組に一方的にやられるばかりだった。今や組員は20人もいないんじゃないか」
宅見組にいた元組員はそう打ち明ける。
昨年12月頃から、大阪・ミナミの繁華街にある宅見組事務所が「売りに出ている」と噂になっていた。
宅見組事務所
宅見組事務所の不動産登記を調べると、4月14日に所有権が宅見組関係者から移転していることがわかった。土地は約230平米で、4階建ての組事務所が建っている。「もともとの組事務所は、道を挟んで反対側に組事務所があったんです。宅見勝組長時代に売り物件が出たので、それを買って事務所を建てたのが、35年ほど前のことでしょうか。ミナミの歓楽街で、山口組を代表する暴力団としては非常にいい立地でした。『千日前のもんや』といえば、イコール宅見組とわかる。『千日前』といえば、山口組の代紋と同様の威力があった」(前出・元組員)だが、今は組員も減り勢いがなくなった宅見組は、六代目山口組の攻勢にも「返し」ができずに、神戸山口組からも離脱し、取り巻く状況は厳しくなるばかりだった。推定3億円で売られた組事務所捜査関係者がこう語る。「これ以上やっていけないと、入江組長は昨年末くらいから売り先を探していたようだ。歓楽街でなかなか売り物件が出ない場所だから、普通の相場なら6億円とも7億円ともいわれる。しかし暴力団事務所ということでなかなか売れず、結局3億円ほどの売買契約となったと聞いている。よく宅見組の事務所を買うヤツもいたもんだが、組事務所の売買に関与していたのが、酒井容疑者の関係者だった」酒井容疑者が野球観戦で逮捕されたのは、この組事務所売買の件と何らかの関係があるようだ。故・宅見勝氏(山之内幸夫氏提供) 事務所の買主となった会社を調べると、その所在地は大阪市内の分譲マンション。さらに会社の代表者をたどっていくと複数の宗教法人を所有していることも明らかになった。捜査関係者はそこにも注目をしている模様だ。前出の元弁護士・山之内幸夫氏は、亡くなった宅見勝組長と親しく、組事務所と近隣でトラブルがあれば仲裁にも入っていた。それが発端で大阪府警に逮捕された過去もあり、宅見組とは非常に親しい関係だ。「酒井容疑者はよく知っています。家族にもヤクザだと知らせていない紳士ですが、不動産に詳しいことから警察に狙われたのか。暴力団絡みの物件は相場の半分とよく言われますね。3億円程度の売買は妥当な金額かもしれません。確か宅見勝組長が抗争で亡くなってから、入江組長に代替わりする際、幹部組員がお金を出し合ってご遺族から組事務所を買い取ったはずです。宅見組の中で売買代金を巡ってトラブルにならなければいいのですが……」微罪での逮捕の裏にはドラマがあるようだ。
宅見組事務所の不動産登記を調べると、4月14日に所有権が宅見組関係者から移転していることがわかった。土地は約230平米で、4階建ての組事務所が建っている。
「もともとの組事務所は、道を挟んで反対側に組事務所があったんです。宅見勝組長時代に売り物件が出たので、それを買って事務所を建てたのが、35年ほど前のことでしょうか。ミナミの歓楽街で、山口組を代表する暴力団としては非常にいい立地でした。『千日前のもんや』といえば、イコール宅見組とわかる。『千日前』といえば、山口組の代紋と同様の威力があった」(前出・元組員)
だが、今は組員も減り勢いがなくなった宅見組は、六代目山口組の攻勢にも「返し」ができずに、神戸山口組からも離脱し、取り巻く状況は厳しくなるばかりだった。
捜査関係者がこう語る。
「これ以上やっていけないと、入江組長は昨年末くらいから売り先を探していたようだ。歓楽街でなかなか売り物件が出ない場所だから、普通の相場なら6億円とも7億円ともいわれる。
しかし暴力団事務所ということでなかなか売れず、結局3億円ほどの売買契約となったと聞いている。よく宅見組の事務所を買うヤツもいたもんだが、組事務所の売買に関与していたのが、酒井容疑者の関係者だった」
酒井容疑者が野球観戦で逮捕されたのは、この組事務所売買の件と何らかの関係があるようだ。
故・宅見勝氏(山之内幸夫氏提供)
事務所の買主となった会社を調べると、その所在地は大阪市内の分譲マンション。さらに会社の代表者をたどっていくと複数の宗教法人を所有していることも明らかになった。捜査関係者はそこにも注目をしている模様だ。前出の元弁護士・山之内幸夫氏は、亡くなった宅見勝組長と親しく、組事務所と近隣でトラブルがあれば仲裁にも入っていた。それが発端で大阪府警に逮捕された過去もあり、宅見組とは非常に親しい関係だ。「酒井容疑者はよく知っています。家族にもヤクザだと知らせていない紳士ですが、不動産に詳しいことから警察に狙われたのか。暴力団絡みの物件は相場の半分とよく言われますね。3億円程度の売買は妥当な金額かもしれません。確か宅見勝組長が抗争で亡くなってから、入江組長に代替わりする際、幹部組員がお金を出し合ってご遺族から組事務所を買い取ったはずです。宅見組の中で売買代金を巡ってトラブルにならなければいいのですが……」微罪での逮捕の裏にはドラマがあるようだ。
事務所の買主となった会社を調べると、その所在地は大阪市内の分譲マンション。さらに会社の代表者をたどっていくと複数の宗教法人を所有していることも明らかになった。捜査関係者はそこにも注目をしている模様だ。
前出の元弁護士・山之内幸夫氏は、亡くなった宅見勝組長と親しく、組事務所と近隣でトラブルがあれば仲裁にも入っていた。それが発端で大阪府警に逮捕された過去もあり、宅見組とは非常に親しい関係だ。
「酒井容疑者はよく知っています。家族にもヤクザだと知らせていない紳士ですが、不動産に詳しいことから警察に狙われたのか。
暴力団絡みの物件は相場の半分とよく言われますね。3億円程度の売買は妥当な金額かもしれません。
確か宅見勝組長が抗争で亡くなってから、入江組長に代替わりする際、幹部組員がお金を出し合ってご遺族から組事務所を買い取ったはずです。宅見組の中で売買代金を巡ってトラブルにならなければいいのですが……」
微罪での逮捕の裏にはドラマがあるようだ。

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