戦闘が激化しているアフリカ北東部スーダンで、医療支援を行っている北九州市のNPO法人「ロシナンテス」理事長の川原尚行さん(57)が21日、首都ハルツームで読売新聞のオンライン取材に応じた。
滞在先の部屋の窓から近くのビルが空爆される様子を目の当たりにしたといい、「これまでにない激しい戦闘だ。無事に退避できるかどうかは時間との勝負になる」と緊迫した様子を語った。
北九州市出身で医師の川原さんは、在スーダン日本大使館などで医務官を務め、退官後の2006年にロシナンテスを設立。医療支援のほかに学校建設、井戸の整備などに取り組んでいる。
スーダンではこれまでも軍のクーデターや民衆デモなどが起きているが、今回は国軍と準軍事組織「即応支援部隊」(RSF)の衝突。滞在先からは、街中にいるRSFの兵士の姿も見えたという。川原さんは「双方が重火器を使用しており、ともに相手が壊滅するまで戦うつもりでいるのではないか」と指摘した。
川原さんを含む日本人職員3人と、現地スタッフに21日午後4時(日本時間)時点でケガなどはないが、停電や断水が起きており、外出できない状況が続いているという。
日本政府は在留邦人の退避に動いており、21日午後に自衛隊機を周辺国ジブチに出発させた。川原さんら日本人職員は、日本大使館から連絡があり次第、すぐに国外退避できるように準備を進めている。
川原さんは「今回の戦闘の原因は国軍とRSFの主導権争いで、一般の国民は何ら悪くない。情勢が落ち着けば支援を再開したい」と語った。