「パーカーを脱がせたら裸だった」空港保安検査員が遭遇した迷惑客たち

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

航空機の安全な運航には欠かせない空港の保安検査。禁止されている刃物や可燃物などの持ち込みがないかをチェックするわけだが、お客の中には係員に文句を言ったりして悪態をつく者も少なくない。◆手荷物の再検査に激怒し、保安検査員を恫喝
保安検査場の職員たちは、こうした乗客にも仕事柄慣れているが、「立場上、毅然とした態度は取りますがやっぱりキツかったですね」と本音を明かしたのは数年前まで空港の保安検査員として働いていた山田恭二さん(仮名・40歳)。
X線検査機に通しても荷物の中身が見えにくいこともあり、その場合は乗客立ち合いのもと、直接中身を見せてもらうことになっている。しかし、これに納得がいかない者もおり、なかには職員に対して暴言を吐くこともあるという。
「ほとんどの方は協力的ですし、少しイラッとしているように見えてもその程度なら我々も気になりません。でも、『早くしろ! こっちは急いでるんだ!』など高圧的な口調で迫ってくる人もいます」
◆「自分で開けろ」と上から目線で…
印象に残っているのは、仕事を辞める1年ほど前に遭遇した50歳くらいのビジネスマン風の男性。最初は同じレーンにいた若い女性職員が対応していたがスーツケースを開けてもらうように頼んだところ、「自分で開けろ」と上から目線の口調で言ってきたとか。
そして、不審物がないことを確認してスーツケースを閉めようとした際、小分けされた衣類などの荷物の位置がズレたことに「ちゃんと元に戻せ!」と検査場内に響く大きな声で言ってきたそうだ。
◆やむを得ず警察を呼ぶことに
しかも、納得がいかなかったのか男性は何度もやり直しを命じて女性職員は涙目。フォローに入った山田さんにも「原状回復が常識だろ!」「こっちは検査に協力してるのにその態度はなんだ!」と声を荒げ、収拾がつかなくなったので空港内にいる警察官に連絡。その後の対応を任せたという。
「私は気づかないフリをしていましたが男性がお巡りさんに連れて行かれた後、彼女は壁のほうを一瞬向いて涙を拭っていました。ここまで騒ぎになることはそう多くないですが、文句や軽い嫌味は毎日のように言われます。仕事と割り切って受け流すようにしていましたが、ストレスは溜まる一方。実際、ウチの会社では4~5人に1人は1年以内に辞めており、離職率はかなり高かったと思います」
◆教師にライターの所持がバレた修学旅行生
ただし、保安検査場の迷惑客は職員に絡んでくるような者だけではない。例えば、修学旅行の高校生の中にはタバコやライター、電子タバコをポケットの中に入れたまま検査ゲートをくぐる者も。そうしたケースが大変多かったそうだ。
「ポケットの中の物を全部出してもらったうえで再検査前しなきゃいけないから時間がかかるんです。不審物のチェックなのでトレーに出して検査を通せば高校生だからと没収することもないですし、『またか(笑)』と内心思う程度で注意する権限もないので。
ただ、検査場でライターを持っていたのを先生にバレてしまった場面を目撃したことはあります。同じレーンで検査に当たっていた同僚と休憩中、『さっきの子、謹慎処分かな』と話のネタにはなってましたけどね」
◆パーカーを脱がせたら裸だった
また、迷惑客というわけではないが検査場の乗客に困惑することも多々あるそうだ。

◆羞恥プレイを楽しむカップル…
そして、一番衝撃を受けたのは20代らしき若い女性とアラフォー男性の年の差カップル。X線検査にかけたところ、女性のバッグの中で動いている細長い物体があり、同意を得てバッグの中身を調べることに。すると、中に入っていたのはスイッチがオンになったままのバイブレーターだったそうだ。
「まさかアダルトグッズとは思いませんでした。女性は顔を赤らめて恥ずかしそうにしていたのに対し、男性はニヤついていたのでコイツら確信犯だなって。誇りを持って仕事に取り組んでたのに羞恥プレイに利用するとか本当に勘弁してもらいたいですよ。あのとき何事もなかったかのようにバッグを閉めましたが、こんなことならバイブを荷物から出してやればよかったなって(笑)」
そもそも保安検査員は接客業ではなく、愛想を振舞う必要もない。悪態をついたり文句を言うのは論外だが、彼らの業務の妨げになるような行為は控えるようにしよう。
<TEXT/トシタカマサ>

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。