陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県)に所属していた元自衛官、五ノ井里奈さん(23)が複数の男性隊員から性暴力を受けていた問題で、福島地検は17日、関与したとされる当時の隊員3人を強制わいせつ罪で在宅起訴した。福島地検郡山支部は2022年5月に3人を不起訴としていたが、郡山検察審査会が22年9月に「不起訴不当」と議決したのを受け、地検が再捜査していた。
【写真特集】 「私の傷は一生の傷」 記者会見で涙 この3人はいずれも元3曹の男性で、防衛省は加害行為への関与を認めて22年12月15日に懲戒免職とした。地検は3人の氏名や年齢は明らかにしなかった。理由について、地検は「在宅事件は被告の氏名を公表しておらず、その扱いにならった」としている。
地検などによると、3人は21年8月3日夜、北海道内の演習場にある建物内で、格闘技の技でベッドにあおむけに押し倒した五ノ井さんに覆いかぶさって足を開かせ、衣服を着た状態で自分の下半身を五ノ井さんの下半身に接触させるなどしたとされる。 五ノ井さんからの申告に基づき、警務隊が22年1月に3人を書類送検したが、地検郡山支部は容疑不十分で不起訴としていた。一方、五ノ井さんは22年6月に退職し、動画投稿サイト「ユーチューブ」で被害を告発した。 起訴を受け、五ノ井さんはツイッターに「ようやく報われるような思いです。本当に毎日苦しかったです」などとするコメントを投稿した。 五ノ井さんらによると、3人は五ノ井さんに示談を申し入れていた。しかし、その過程で「個人責任を問われるか疑問がある」という趣旨の発言を隊員側の弁護士からされたとして、五ノ井さんは22年12月の記者会見で「(当初は)被害届を取り下げるか、速やかに示談に応じるつもりだったが、この一言で(被害を)軽く受け止めているとあきれ、驚いた」と述べていた。 代理人を務める弁護士によると、3人との示談は成立していないという。 今回の起訴について、陸自幹部は「3人が起訴されるほど重大な性犯罪が発生したのに、被害者が退職して世の中に訴えるまで放置されていたことになる。改めて、組織の劣化の現実を思い知らされた」と嘆く。 その上で、この幹部は「上下関係の厳しい自衛隊では、上司に怒られないように不正を隠そうとする意識が働きやすい。ただ責任を追及するだけでなく、教訓につなげる風潮を根付かせたい」とも話した。 梶原直樹・東北方面総監は「厳粛に受け止めたい。同種事案の再発防止のため、引き続き指導を徹底する」とコメントした。【松本ゆう雅、内橋寿明、安達恒太郎】
この3人はいずれも元3曹の男性で、防衛省は加害行為への関与を認めて22年12月15日に懲戒免職とした。地検は3人の氏名や年齢は明らかにしなかった。理由について、地検は「在宅事件は被告の氏名を公表しておらず、その扱いにならった」としている。
地検などによると、3人は21年8月3日夜、北海道内の演習場にある建物内で、格闘技の技でベッドにあおむけに押し倒した五ノ井さんに覆いかぶさって足を開かせ、衣服を着た状態で自分の下半身を五ノ井さんの下半身に接触させるなどしたとされる。
五ノ井さんからの申告に基づき、警務隊が22年1月に3人を書類送検したが、地検郡山支部は容疑不十分で不起訴としていた。一方、五ノ井さんは22年6月に退職し、動画投稿サイト「ユーチューブ」で被害を告発した。
起訴を受け、五ノ井さんはツイッターに「ようやく報われるような思いです。本当に毎日苦しかったです」などとするコメントを投稿した。
五ノ井さんらによると、3人は五ノ井さんに示談を申し入れていた。しかし、その過程で「個人責任を問われるか疑問がある」という趣旨の発言を隊員側の弁護士からされたとして、五ノ井さんは22年12月の記者会見で「(当初は)被害届を取り下げるか、速やかに示談に応じるつもりだったが、この一言で(被害を)軽く受け止めているとあきれ、驚いた」と述べていた。
代理人を務める弁護士によると、3人との示談は成立していないという。
今回の起訴について、陸自幹部は「3人が起訴されるほど重大な性犯罪が発生したのに、被害者が退職して世の中に訴えるまで放置されていたことになる。改めて、組織の劣化の現実を思い知らされた」と嘆く。
その上で、この幹部は「上下関係の厳しい自衛隊では、上司に怒られないように不正を隠そうとする意識が働きやすい。ただ責任を追及するだけでなく、教訓につなげる風潮を根付かせたい」とも話した。
梶原直樹・東北方面総監は「厳粛に受け止めたい。同種事案の再発防止のため、引き続き指導を徹底する」とコメントした。【松本ゆう雅、内橋寿明、安達恒太郎】