――4月、給与明細をみて、思わず泣き崩れる
なんともツラい状況を自虐的につぶやく投稿。30代のサラリーマン男性は毎年そんなことを繰り返し、毎年の恒例だと続きます。どういうことなのでしょうか。
そもそも「給与の振込口座はチェックするけど、明細まではチェックしない」という人も多いでしょう。ただ4月の明細は3月のものとはちょっと違います。
――4月から健康保険料が変わります
そんなことが書かれたチラシやポスターを目にしたことはないでしょうか。健康保険・介護保険の改定は4月というケースが多く、たとえば全国健康保険協会東京支部の場合、「けんぽのいっぽ」と称して、「令和5年2月分(3月納付分)まで給与賞与の9.81%」だったのが、「令和5年3月分(4月納付分)まで給与賞与の10.00%」に引き上げとアピール。さらに介護保険料も「1.64%」→「1.82%」に変更になることを伝えています。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマン(正社員)の平均給与(所定内給与)は、30代前半で月29万6,000円。手取りにすると
【年齢別「サラリーマンの月収」の推移】20~24歳:218,000円25~29歳:256,700円30~34歳:295,600円35~39歳:333,400円40~44歳:364,600円45~49歳:390,500円50~54歳:422,600円55~59歳:428,600円60~64歳:351,600円厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より仮に標準報酬月額が30万円だとすると、健康保険料は月2万9,430円だったのが、月3万円と、500円ほどアップする計算です。実際にはこの保険料を会社と被保険者で折半することになります。ちなみに介護保険料は40歳以上65歳未満の介護保険第2号被保険者のみが支払う保険料。そのため、前出の30代男性は、「介護保険料が引き上げに……」という理由で泣き崩れることはありません。国民負担、10年で10ポイント近く増…そりゃ「手取り」が増えないはずださらに残念なのが、2023年4月からは雇用保険料も引き上げに。これは厚生労働省が雇用保険の保険料率を引き下げている措置を2022年度末で終わらせることを決めているため。保険料率は現在の1.35%から1.55%となり、企業側は0.95%を労働者側は0.6%を負担することになります。負担増は月に数百円程度ですが、物価高騰の天井がみえないなか、たった数百円でも手取りが減るのは痛いともの。このように、昇給、昇格しても、給与がなかなか増えない……と首を傾げる人が多いのも、給与からの天引き額が増えているからにほかなりません。私たちは直接的にしろ、間接的にしろ、社会を支えるために保険料や税金を納めています。租税負担と社会保障負担を合わせた義務的な公的負担の国民所得に対する比率を「国民負担率」といいますが、その推移をみていくと明らかに右肩上がり(図表)。この10年で負担率は10ポイント近く上昇しています。それだけ給与からの天引き額は増え続けている、ということがいえるでしょう。【図表】国民負担率の推移 出所:財務省ホームページよりその主要因は少子高齢化だということは誰もが知るところ。待ったなしといった状況下、さらなる負担増は確実だといえます。さらに国内の問題だけでなく、中国や北朝鮮の脅威から国を守るべく、防衛費の増額も既定路線。もちろん、こちらも国民負担にプラスされ、最終的にはサラリーマンの給与からの天引き額が増えることも折り込み済みです。給与明細をみては泣き崩れ、目が赤く腫れ上がる人がますます増えていきそうです。
【年齢別「サラリーマンの月収」の推移】
20~24歳:218,000円
25~29歳:256,700円
30~34歳:295,600円
35~39歳:333,400円
40~44歳:364,600円
45~49歳:390,500円
50~54歳:422,600円
55~59歳:428,600円
60~64歳:351,600円
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より
仮に標準報酬月額が30万円だとすると、健康保険料は月2万9,430円だったのが、月3万円と、500円ほどアップする計算です。実際にはこの保険料を会社と被保険者で折半することになります。
ちなみに介護保険料は40歳以上65歳未満の介護保険第2号被保険者のみが支払う保険料。そのため、前出の30代男性は、「介護保険料が引き上げに……」という理由で泣き崩れることはありません。
さらに残念なのが、2023年4月からは雇用保険料も引き上げに。これは厚生労働省が雇用保険の保険料率を引き下げている措置を2022年度末で終わらせることを決めているため。保険料率は現在の1.35%から1.55%となり、企業側は0.95%を労働者側は0.6%を負担することになります。
負担増は月に数百円程度ですが、物価高騰の天井がみえないなか、たった数百円でも手取りが減るのは痛いともの。このように、昇給、昇格しても、給与がなかなか増えない……と首を傾げる人が多いのも、給与からの天引き額が増えているからにほかなりません。
私たちは直接的にしろ、間接的にしろ、社会を支えるために保険料や税金を納めています。租税負担と社会保障負担を合わせた義務的な公的負担の国民所得に対する比率を「国民負担率」といいますが、その推移をみていくと明らかに右肩上がり(図表)。この10年で負担率は10ポイント近く上昇しています。それだけ給与からの天引き額は増え続けている、ということがいえるでしょう。
【図表】国民負担率の推移 出所:財務省ホームページより
その主要因は少子高齢化だということは誰もが知るところ。待ったなしといった状況下、さらなる負担増は確実だといえます。
さらに国内の問題だけでなく、中国や北朝鮮の脅威から国を守るべく、防衛費の増額も既定路線。もちろん、こちらも国民負担にプラスされ、最終的にはサラリーマンの給与からの天引き額が増えることも折り込み済みです。
給与明細をみては泣き崩れ、目が赤く腫れ上がる人がますます増えていきそうです。