ガーシー除名騒動で泣いた人、笑った人 岸田政権の支持率は謎の急上昇

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政治家女子48党のガーシー(東谷義和)が15日、参院本会議で236票中賛成が235票、反対が1票という圧倒的な差で除名となった。国会議員の除名は72年ぶり。「必要な議員だった」(同党の大津綾香党首)など惜しむ声もあるが、永田町でガーシーが話題になることは少なくなりそうだ。一連のガーシー騒動で、笑った人はだれなのか?
「ガーシー君を除名する」
採決を受け尾辻秀久参院議長がこう宣告したことで、ガーシーは議員の身分を失った。政治家女子48党の浜田聡政調会長は本会議場からの去り際に一度も立ったことのないガーシーの氏名標を立てる行動に出た。しかし、その氏名標はすぐに取り去られた。
ガーシー除名について浜田氏が「連日の報道はガーシー氏への憎しみを増大させるものだった。一方的な報道で世論が形成された」とメディアに不満を述べれば、大津氏は記者会見で「国会の無駄なことをなくしていくのに発信力のあるガーシーは必要な議員だった」と憤った。
思わぬ影響を受けていた人もいる。日本維新の会の音喜多駿政調会長はこの日、本来なら次女の幼稚園卒園式に出ているはずだった。しかし、同日午前の参院本会議にその姿があった。
「先週の時点で陳謝されるということだったので、来ていただいて陳謝していただければ(卒園式出席は)大丈夫だろうと。だから帰って来ていただきたかった。いろんな意味で残念です」とうなだれた。
一方でガーシー騒動に高笑いしている人がいるという。永田町関係者は「岸田文雄首相ですよ。ガーシー氏に連日、注目が集まることで政権のいい風よけになっていた側面はありますからね」と指摘した。
前出の音喜多氏も「『ガーシー』って名前を見ない日がないくらいメディアをジャックしていたのを見ると、本来議論するべきことから外れてしまうことに注目が集まっていたところはある。われわれは本質的な議論をしないといけないのに残念な面もある」と話した。
13日からのマスク自由化や新型コロナウイルスの5類移行問題、岸田氏が訴えた牋杣仝記瓩両子化対策などもっと話題となっていてもよさそうなテーマはあったはずだ。一方、NHKの最新の世論調査では岸田内閣の支持率が41%と前回よりも5ポイントも上昇したという。支持の理由で最も多かったのが「他の内閣よりよさそうだから」だった。岸田政権にプラスポイントがあったというより、マイナスポイントが目立たなかったと考えるのが自然だろう。
ガーシー騒動が終わっても岸田内閣は安泰ムードだ。立憲民主党関係者は「今、国会でやっている総務省の文書問題で高市早苗氏の去就が取り沙汰されています。また、アベノマスクの単価が書かれた行政文書が開示されることになり、国会でも取り上げられるでしょう。同様にこの流れで旧統一教会の名称変更についての文書も開示されるかもしれません。まあ全部、安倍政権時代のことなんですけど」と明かした。
政治に注がれる厳しい視線の多くがガーシーに向かっていたことは、岸田政権にとってプラスだったということだ。

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