放送法文書を「捏造」断定した高市氏、辞任を否定…総務相「一部は正確性確認できない」

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総務省が7日公表した放送法を巡る行政文書では、安倍政権下で示された政治的公平性を巡る解釈に関して、当時の礒崎陽輔首相補佐官が総務省側に働きかけた発言など、政府内の議論が明らかになった。
政府は解釈は変更しておらず、野党が主張する「政治的な圧力」はなかったと説明している。
◇ 「従来の解釈を変更することなく、補充的な説明を行ったと承知している」
岸田首相は7日の衆院本会議で、安倍政権下で示された放送法の解釈について、変更にはあたらないと強調した。
放送法4条は、放送局が番組を編集する際、〈1〉政治的に公平であること〈2〉報道は事実を曲げないこと――などを求めている。政府は従来、政治的公平性を判断する際には「番組全体で判断する」と解釈してきた。
公表された文書には、従来の解釈に、2015年に「一つの番組でも判断できる」との解釈を加えた経緯が記されている。礒崎氏が「この件は俺と総理が2人で決める話」「ただじゃあ済まない。首が飛ぶぞ」などと総務省側に発言したとの記載もあった。
野党は、礒崎氏による総務省側への圧力が放送行政をゆがめたのではないかと批判を強めている。一方、与党内には「首相補佐官は各役所を指揮命令したり、法を解釈したりする権限は何も持っていない。一人の議員として意見を述べていると捉えるのが普通だ」(自民党の世耕弘成参院幹事長)との反論もある。
総務省は公表した計78枚の行政文書の「一部に正確性が確認できないものがある」(松本総務相)としているが、どの部分が該当するかは明らかにしていない。
文書には、当時の安倍首相が総務相だった高市経済安全保障相と電話で協議したとするメモがあり、安倍氏が「今までの放送法の解釈がおかしい」と主張したとの記述もあった。高市氏は7日の記者会見で「私に関しての4枚の文書は不正確だと確信を持っている」と強調した。
高市氏は文書を「捏造(ねつぞう)」と断じ、文書が事実なら衆院議員を辞職する考えを示していた。記者会見では「辞職を迫るなら、完全に正確なものだと相手も立証しなければならない」と指摘し、閣僚辞任や議員辞職を否定した。
メモについて、総務省側は7日の立憲民主党のヒアリングで、「誰が作成したか分からない」と述べ、さらに調査を続けるとした。

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