回転寿司店の迷惑客に憤る店員たち「防犯カメラで衝撃の事実が発覚」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

大手回転寿司チェーンで利用客による迷惑行為が相次ぎ発覚。SNS上では、醤油のボトルなどを舐め回したり、レーンを流れる寿司に唾液をつけたりする動画が拡散された。「スシロー」を展開する株式会社あきんどスシローは迷惑行為に対して、「刑事、民事の両面から厳正に対処する」と発表。毅然とした態度を評価する声も多い。
しかしながら、迷惑動画は次から次へ飛び出してくる。つい先日は、レーン上の寿司にアルコールスプレーを噴射する様子が出回った。映り込んでいるメニューから昨年秋頃に撮影したものと見られているが、要するに「迷惑行為は今に始まったことではない」ということだ。
今回は、回転寿司店でアルバイト経験のある2人の証言を紹介する。また、今回は飲食店で多発する迷惑行為の法的見解について弁護士に聞いた。 ◆回転寿司店「迷惑動画」は数年前から存在 田中章介さん(仮名・30代)は、2016年に大手回転寿司店でアルバイトしていたときの、客の迷惑行為について話してくれた。 「当時、私は回転レーンへの商品補充や確認作業を行っていました」 田中さんが寿司を回転レーンに並べようとしたとき、スマートフォンが流れてくるのを発見した。店長に報告しようとスマートフォンを取ると、画面には“録画中”と表示されていたという。 「そのときは忙しい時間帯でもあり、よく考えずに報告し、持ち主であるお客様にスマートフォンを返しました。その方は『誤って流してしまった』と言っていたので、気にしてはなかったのですが……」 後々考えると、なぜスマートフォンが回転レーンに流れてきたのか疑問だったと話す田中さん。 「作為的に録画されていたのではないのか。お客様のスマートフォンを取った際も私の姿や音声が撮影されていたのではないのか……と考えてしまいました。仕事が終わり、帰宅してからも、モヤモヤした気持ちは晴れませんでしたね」 同じような経験をした人がいるかもしれないと、田中さんはネットで検索することにした。すると……。
◆ネット上に出回る不愉快な動画
「回転寿司店内で撮影された迷惑行為の数々、“回転寿司で◯◯してみた“などの画像や動画を見つけてしまったんです。検索すればするほど、回転寿司店で撮影したと思われる迷惑行為がネットに出回っていました」 それを見た田中さんは「正直、気持ちが悪い」と感じたという。その後もネットパトロールを続けたが、幸いなことに田中さんの働いている店舗の動画は見つからなかったようだ。
とはいえ、店側にとって不愉快なかたちで動画が拡散されていることに田中さんは強い憤りを感じている。
◆「男性6名で50皿」明らかに少ない皿の枚数に違和感 金田信二さん(仮名・20代)は、会計を担当をした際に迷惑行為に遭遇した。
20歳前後と思われる男性グループ6人が来店。非常に忙しい時間帯で店内は満席だったという。 「早く店をまわさなければいけないと思い、慌てながら会計処理を行いました。すると、6名で皿の数が50枚程度。勝手な印象ですが、男性6名としては少ないなと感じつつも、テーブルにはその他の皿はなく、そのまま会計処理を行ったんです」

◆防犯カメラで確認すると衝撃の事実が発覚
「すぐに店長に報告しました。閉店後に防犯カメラで確認してもらうと、衝撃の事実が発覚しました。私が会計処理を行ったあと、鞄のなかから皿を取り出してテーブルにのせていたそうです」 だが、店長からは金田さんのチェック不足だと叱られたそうだ。 「たしかに忙しくてバタバタしており、テーブルの上しか確認しなかった私にも落ち度はあるのでしょうが、これは客側の意図的な“無銭飲食”で犯罪ですよね」
◆迷惑行為は「刑事的・民事的にも大きな責任を負うもの」 昨今は、飲食店やコンビニなどで客が過度なサービスを要求して店員を困らせたり、悪質なイタズラを行ったりするなど、迷惑行為の様子がSNSに投稿されて炎上してしまうケースが目立っている。青山北町法律事務所の松本理平氏が警鐘を鳴らす。 「そもそも上記行為は、強要罪、威力業務妨害罪、偽計業務妨害罪、窃盗罪、詐欺罪など多岐にわたる違法行為を構成するため、刑事的・民事的にも大きな責任を負うものです」 ◆今まで「厳しい法的措置」が避けられてきた理由 しかしながら、これまで迷惑客が見過ごされ、店側が厳格な法的対応を行ってこなかったのはなぜなのか。 「さまざまな経営判断によるものと思われます。具体的には、仝朕佑悗遼‥な責任追及について、むしろ企業側に“やり過ぎ”だという社会的な批判があがるリスクへの配慮、被害額が軽微なため、法的対応に掛かる弁護士費用などを考慮すると費用対効果が低い、8従譴離▲襯丱ぅ箸固定給のため、余計な争いをして負担を増やさないため、などの理由から厳しい法的措置は避けられてきました。 ただし、最近ではSNS上で“バカッター”や“客テロ”という形で拡散されやすいことや、それを見た模倣犯が多数発生したことにより、迷惑客の存在が社会問題となっています。 ここまでくると、会社として“放置”することは、逆に株主や社会から批判の対象になってしまうリスクがあります。そのため、今後は費用を掛けて弁護士対応をしたり、アルバイト店員へのマニュアルを整備したり、なんらかの対策を講じていく可能性が高いです」
◆「軽い気持ちでやった」という言い訳は通じなくなる スシローの件をはじめ、迷惑客の行為について法的な責任が広く報じられるようになった。 「迷惑客は厳しい社会的非難を浴びたり、法的責任が追及されるなど、今後は『軽い気持ちでやった』という言い訳は通じなくなると思われます。『面白いことをする』『目立つことをする』ときは、くれぐれも注意してください。そもそも、自分が罰せられるかもしれないから気を付けるのではなく、“人に迷惑をかけないこと”が自由の大前提だということが広く認識されるべきだと思います」
【青山北町法律事務所・松本理平】慶應義塾大学経済学部経済学科、九州大学法科大学院卒業。複数の都内法律事務所での勤務及び大手金融機関での出向を経て「青山北町法律事務所」設立。芸能関係の案件・男女トラブル・企業法務などを中心に取り扱う。EPP株式会社代表取締役(現任)合同会社 青山北町リサーチ 代表社員(現任)、一般社団法人 探偵協会 理事(現任)、その他コメンテーター等にてメディア露出多数。 <取材・文/chimi86(エピソード部分)、藤井厚年、日刊SPA!取材班>
―[日常に潜む「うっかり法律違反」]―

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。