「記憶喪失のホームレス」を装うケースも…役所をだましてまで「生活保護」を受給しようとするヤバい人たち

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「メンタル休職者は民間の3倍」公務員になれば「人生バラ色」と考える人の勘違い から続く
「残念ながら、生活保護の相談の中には、『何とか役所をだまして、生活保護を受給しよう』というケースが少なくないからです」
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30年以上公務員として働いた著作家の秋田将人氏が語った「生活保護を悪用する人たち」とはいったい? 新刊『公務員になりたい! ベテラン公務員が教えるお役所就職ガイド』より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)
生活保護を悪用する人たちとはいったい…? 写真はイメージです アフロ
◆◆◆
ここでは公務員の日々の仕事をイメージしてもらうため、自治体をとりまく様々な人間関係を職員目線で紹介していきたいと思います。
公務員、特に基礎自治体の職員は、対象とする顧客が非常に幅広いため、相手に応じて話し方や内容を上手く使い分けるコミュニケーション能力が強く求められるのです。
市職員が小学校や中学校で授業を行う、出前授業というものがあります。例えば、将来、児童生徒が有権者となった場合に投票を棄権しないように、また広く選挙について知ってもらうため、選挙管理委員会の職員が説明をするのです。
こうした時に求められるのは、児童生徒に興味を持ってもらえるように話すことです。「投票箱や記載台は、実はこのように組み立てるのです」とか、「投票日当日、最初に投票に来た住民には、投票箱が空であることを確認してもらうのです」など、児童生徒を引き込むことが大事です。
当然のことですが、興味を持ってもらえなければ、児童生徒は「つまらない」という顔をしますので、それはそれで職員としても、非常につらい時間になってしまいます。また、「とにかく説明だけすれば良いや」と開き直って、事務的な説明に終始してしまうと、後日、その小中学校からクレームが来てしまうので、やはり職員としても気が抜けないのです。
同様に、気を抜けない場面として生活保護の相談があります。ここでは、かなりシビアな対応が求められます。残念ながら、生活保護の相談の中には、「何とか役所をだまして、生活保護を受給しよう」というケースが少なくないからです。
実際に、自分も騙されたことがあります。ある高齢男性が生活保護の相談に来たのですが、記憶喪失とホームレスを装っていたのです。このため、本籍地や現住地を確認できないまま保護を開始してしまったのですが、実は別な地域で生活保護を受給していたことが、後日判明したのです。
このようなことがあるため、生活保護の相談では、様々なことを聞き出さなければなりません。もちろん、取り調べではないので詰問するようなことはないのですが、それでも、曖昧な内容については詳細を確認しなければならないのです。こうした時に求められるのは、緻密さです。相談者の就労、資産、扶養、家族状況など、様々な点について事実を正確に把握する緻密さが求められるわけです。
たとえ1つでも確認漏れがあると、後日、生活保護費を返還してもらわなければいけないなど、相談者に迷惑をかけてしまうこともありますので、慎重に1つ1つについて確認しなければいけないのです。
ちなみに、この生活保護の相談者には、元暴力団員という人もいました。この時は、一見してそうだとわかる様子でしたし、事前に警察から連絡があったこともあり、とても緊張したことを、今でも覚えています。
また、ハンディキャップのある方とのコミュニケーションも、公務員にとっては必須です。特に、障害者福祉課などの部署では、多くの障害者に会うことになります。障害には身体、知的、精神など様々なタイプがありますので、職員としてはそのことを認識しておく必要があります。
差別的な発言がNGなのは当然のことですが、相手との距離を詰めようと軽口を言ったつもりが、実は相手の心にダメージを与えてしまうようなこともあります。このため、発言にもより慎重さが求められるのです。
これまでにそうした方々と接した経験がない、新人職員の中には、時に奇声を発するような精神障害者の対応に苦慮する姿も見られます。しかし、新人職員とは言え、これも住民サービスの1つであり、公務員にとっても1つの仕事ですから、慣れていくほかないのです。
基礎自治体である市区町村は、それこそ出生から死亡までの人の一生に関わる業務を行っています。また、対応する相手も、高齢者、障害者、児童生徒、青少年、経営者など、本当に様々なのです。さらに、住民だけでなく事業者・関係団体などもあります。
このように考えると、公務員として求められる能力の1つは、相手に応じた話し方ができることと言っても良いかもしれません。担当する業務には目的があって、そのために住民に対して話をすることになるのですが、対応する住民は本当に幅広いわけです。このため、公務員としては、相手に応じて上手く話し方を使い分けることが、どうしても必要になってくるのです。
ただ、使い分けができたとしても、相手がどのように受け止めるかは、別の問題です。同じ話をしているのに、Aさんには怒られるものの、Bさんには褒められるようなことが、普通にあり得るからです。結局、こちらの話をどのように受け取るかは相手次第です。その意味では、「自分はできる限りのことはするけれど、それが成功するかどうかはわからない」といった、ある種の開き直りも必要なのかもしれません。
ちなみに、公務員としての経験が長くなればなるほど、どのような人が来てもだんだん驚かなくなってきます。まだ経験が少ない時は、「え~、この人にどのように話せば良いんだろう」と思うようなことは、よくありました。しかし、さすがにいろいろな人と接するうちに、慣れていってしまうものなのです。これも、公務員になることのメリットなのでしょうか。(秋田 将人/Webオリジナル(外部転載))
ちなみに、公務員としての経験が長くなればなるほど、どのような人が来てもだんだん驚かなくなってきます。まだ経験が少ない時は、「え~、この人にどのように話せば良いんだろう」と思うようなことは、よくありました。しかし、さすがにいろいろな人と接するうちに、慣れていってしまうものなのです。これも、公務員になることのメリットなのでしょうか。
(秋田 将人/Webオリジナル(外部転載))

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