蔵王の樹氷に興奮気味、外国人らが2時間待ちの長蛇の列…東南アジアの旅行客ら増加

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全国的に新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きをみせる中、山形県内有数の観光地・蔵王温泉スキー場(山形市)では、冬の風物詩の樹氷を一目見ようと、多くの訪日観光客(インバウンド)が訪れ、コロナ前の活気が戻ってきている。
(中戸穣)
23日午前8時頃、樹氷見物が楽しめる「蔵王ロープウェイ」の蔵王山麓駅(標高855メートル)前の駐車場に、約70台の乗用車や大型の観光バスなどが次々と入り、ロープウェーの運行開始30分前にもかかわらず、満車となった。
同9時半頃には、樹氷を目当てに訪れた外国人観光客らが、約2時間待ちの長蛇の列を作った。観光ツアーでインドネシアから訪れたという、バスキ・ジュウォノさん(60)は「昨日、山形に来た。アイスモンスターを見るのが楽しみ」とワクワクした表情で話していた。
樹氷が広がる地蔵山頂駅(同1661メートル)付近は、あいにくの天気で霧に包まれていたが、観光客らは樹氷の前で三脚を使って撮影したり、雪を手ですくって投げ合ったりしていた。
台湾から訪れた、荘崇柏さん(38)は「大きさや形がとても印象的で、感動した。これまで欧州の雪山も見てきたが、こんなに大きな樹氷は初めて」とカメラを手に興奮気味に話していた。
◇ ロープウェーの運行会社によると、今季は週末や祝日のロープウェーの1日あたりの利用者数は2000人を超えることもあったといい、コロナ禍前の8割程度まで回復しているという。蔵王山麓駅近くで土産物店を営む男性(60)は「外国人観光客が多いので、言語で苦労することもあるが、温泉街にいつものにぎわいが戻りつつある」と喜ぶ。
蔵王温泉観光協会によると、昨年12月~今年1月の温泉街全体での宿泊客数は、前年度に比べて3~5割増加したという。特にタイやインドネシアなどの東南アジアや、台湾からの旅行客が増えてきているという。
同協会の伊藤八右衛門会長(74)は「政府の水際対策の緩和によって、東南アジアからのインバウンドはコロナ前に戻りつつある」とした上で、「まだ戻ってきていない欧米に向けたPRにも力をいれていきたい」と述べた。

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