タレントだけでは食えない? 「裏バイト」の実態とは…夜職の確率が高いのは本当なのか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

人気商売は当たれば収入が青天井だが、下積み時代は過酷だ。お笑い芸人なんかはまさにこの典型例で、定期ライブに出るよりアルバイトに行った方が稼げる。1カ月がオファーで埋まるくらい成長しないと、タレントは副業せざるを得ない。
また、セクシー女優や地下アイドルでそこそこ売れていても、金銭感覚が狂うと数十万、数百万の月収でも足りない。その結果、過密スケジュールの中で何らかのバイトを始め、隙間時間でも稼ぐようになるのだ。
爆発的に売れていないと、ほぼ確実に副業をする。週刊誌の表紙を飾るグラドルや、まぁまぁな会場のキャパを埋められるアーティストでさえ、専業だと収入が不安定だったりする。
最近のSNSでは「○○が港区のラウンジで働いてた」などすぐに情報が暴露されることも。だからこそ、表に出る人間=夜職バイトという認識がなされ、確かにそれは間違っていないだろう。
芸能は突然オファーが飛び込んでくるもので、「2日後のオーディション行ける?」などの打診がザラ。1か月分のシフトをきっちり提出する職場で働けばチャンスを逃すかもしれないため、融通の利く水商売を選びがちなのだ。
水商売といえど職種は多岐にわたり、風俗やJKリフレ、交際クラブへの登録とラウンジやキャバクラだけに留まらない。一攫千金を求めて海外出稼ぎに行く猛者もいる。
ルックスやスタイルへの自信によって、「勝算がある」というのも彼女たちが水商売を選ぶ理由の一つ。お金を稼げてシフトにも柔軟で、場合によっては肩書がプラスの方向へ作用するとなると、「使えるものは使っておく」ほかないだろう。
彼女たちがどのくらいの月収を得るのか? 正直なところ、夜職専業と違って出勤数が安定せず、在籍する店のレベルも見事にバラバラだと平均値を出すのは難しい。しかし、すらりとした手足に小さな顔、綺麗めの美人系なら、飲み屋で時給2、3万円は出て、おまけに金銭的な援助をするスポンサーも見つかりやすい。
ただし、夜職の裏バイトをすると一般的な感覚へ戻すのが難しく、下手すると犯罪に巻き込まれる。目先のお金だけを追い、芸能人生を自らの手で終わらせてしまう人はあふれんばかりに存在する。
タレントが必ずしも副業に夜職を選ぶわけではなく、下町でひっそり営業するスナックやショットバー、知人の経営する飲食店や単発バイトなどで稼ぐ人も多い。これらも比較的にシフトの融通が利きやすく、場所によっては時給や待遇(髪型・服装自由など)が良いため、「タマゴ」が集まりやすいのだ。
夜職に比べたら収入は劣るけれど、バーやスナックは堂々と「タレントをしています」と言っても周囲に引かれることはない。むしろ、舞台やライブメインの活動だと店の客が動員へとつながるため、公表がプラスに繋がるケースもあるという。
ただ、全ての事務所がプライベートでの芸名公表を許可しているとも限らない。収入の手助けが難しい演者に「バイトをするな」とは言わなくとも、身バレをしないよう注意を促すところも多い。ストーカーをされる危険性や、バイトがマイナスイメージに直結するなど、いろいろな理由があるからだ。
会員制ラウンジやキャバクラなどに比べて、一般の飲食店は身バレの確率が高いのが難点。前者は支払い金額が高く、限られた人間しか店を訪れないけれど、後者は本気の「不特定多数」なので情報漏洩のリスクが跳ね上がる。「タレントの○○、あそこで働いてるらしい」なんて囁かれたら、本人としてはたまったもんじゃない。
だからといって、本業一本では生活が厳しく、水商売を避けたい+時給が安い仕事を突っぱねると選択肢が限られるもの。タレント人生も決してラクではなく、一瞬の非現実を求めて目の前の現実を頑張る……といったところだろうか。
昨今は誰もが夢をつかみやすい環境になったものの、安定してオファーが続く演者はほんの一握り。1回テレビ出演をしただけで箔がつく時代ではないからこそ、業界ではバイトをする人口が多くの割合を占める。
未来のために下積みをするのは良いことだけれど、早い段階で道を外せばもう地獄。タレントという肩書きの甘い蜜だけを吸い、引き返せない場所にまで進みやすいため、専業で安定するまでは本人の堅い意志が問われる時期といえるだろう。
天国と地獄を分けるのは売れた以降はもちろんのこと、「その前」も重要である。どうか危ない世界に足元をすくわれないよう、夢見る人々には細心の注意を払っていただきたく思う。
【プロフィール】たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。