警視庁少年育成課は1月31日、東京都青少年健全育成条例違反容疑で男2人を逮捕したと発表した。未成年の女性にわいせつ行為をした疑いで逮捕されたのは、メンズ地下アイドル(通称・メン地下)として活動をしていた、田辺稜弥(25)と本田孝一朗(22)の両容疑者だ。
本田容疑者はメン地下をしながら歌舞伎町のメンズコンセプトカフェ(通称・メンコン)で働いており、自分の店のVIPルームで高校3年生の少女にわいせつ行為をしたという。
当該のメンコンでは、多額の売り上げを出すとアイドルとしてデビューできるというシステムが存在し、客は推しのキャストをアイドルにすべく大金をつぎ込んでいた。報道によると、1000円のチェキを1枚購入すると1ポイントがもらえ、1000ポイント貯めると映画やドライブなどの「店外デート」に行けるといったサービスもあったようだ。
メンコンでは、未成年の少女に好意を抱かせて高額なカネを貢がせる問題が頻発。今回の事件のように、性的行為を要求するケースも出てきている。
歌舞伎町のメンコンで働くマコト(仮名・24)が言う。
「女の子に色恋営業してお金を使わせる店は多いし、特別扱いされたくて青天井でお金を使っちゃう子もいる。それが行き過ぎれば、今回みたいな事件になる。一本10万円くらいする高級ボトルを置いている店は多いですよ」
メンコンとホストクラブを比較する報道も多いが、両者の最大の違いは「メンコンには従業員にも客にも未成年がいる」という点だろう。メンコンの客には高校生や中学生も少なくなく、悪質な店やキャストはそれを知りながら高額な酒などを注文させるのである。
さらに、前出のマコトが「メッチャ悪質ですよ」と語るのが、「売掛」制度だ。売掛とはいわゆるツケ払いのこと。決められた期日までに支払えばいいので、ツケにしてから働いて稼ぐ客が絶えないという。
「担保もない未成年が簡単に借金をしちゃうので怖いですよ。当たり前だけど、未成年が稼ぐ方法なんて限られている。それがわかっているのに高額なカネを売掛させて、身体売らせてるって話も聞きます。客が売掛を払えなかったときはキャストが店に支払わないといけないので、追い込みもエグいっすよ」(マコト)
バイト感覚でゆるく働くことができ、客との付き合い方も個人任せの店舗が多いのもメンコンの特徴だ。週2回、土日だけメンコンで働いているアサヤ(仮名・25)は、平日は普通の会社員として働いている。
「出勤するときはウィッグをかぶってメイクをしています。ほぼコスプレ感覚ですね。そんな僕をかっこいいって応援してくれる子がいるのは嬉しいです。僕はゆるく働いているので時給制ですが、完全歩合制でガツガツ働いている人もいますよ。メンコンでは、客が使ったお金の約半分がキャストに入ってくる。だから過激な営業が減らないんでしょうね」
もちろん、18歳未満のキャストを雇わない店舗や、しっかりとしたコンセプトを設けている健全なメンコンも存在する。しかし、なかには過激な営業を繰り返している店舗があるのも事実である。
「好きなものにお金を使う」という推し活が一般的になってきた昨今、それが行き過ぎたがゆえに事件化するケースも増えてきている。過激な推し活に対する規制は進むのだろうか。
『FRIDAY』2023年2月24日号より