【上田 真一、松本 明子】シロアリ、スズメバチ、放火のターゲットまで…「空き家の実家」を放置したときのヤバいリスク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

昨今、クローズアップされている「空き家問題」。著書『実家じまい終わらせました!』があるタレントの松本明子さんも、空き家となった実家を相続したために「人生最大の悩み」を抱えてしまった一人だ。放っておくと維持費がかかるだけでなく、さまざまなリスクもある空き家。どう対処すればよいのか、NPO法人空家・空地管理センター代表理事で、全国の空き家問題に取り組んでいる上田真一さんと語る。
上田 松本さんの高松のご実家は、売却されるまでに何年くらいかかったんですか。
松本 25年です。両親と同居してまもなく父が私に実家を継がせたいと言い出しまして。兄もそれでいいよと言ってくれたので、事実上私の家で、維持費を払ってきました。
松本明子さん(左)、上田真一さん(右)*対談はオンラインで行われた。祥伝社提供
上田 実家を娘のものにしてあとを託したわけですね。もともと実家をどうするかは、親が元気なうちに相続対策の一環として親子で考えておくのが一番いいのです。そもそもお父さんは、なぜ松本さんに実家を譲ろうと考えたんでしょう。松本 芸能界は浮き沈みが激しいので、ダメになったら高松に帰ればいい、家さえあれば何とかなる、そう思ったみたいです。上田 なるほど、松本さんの将来を考えてのことだったんですね。松本 ただ、実家は高松で遠いですし、管理が大変でした。それでも父が丹精込めて作った小さなお城みたいなものでしたから、なかなか処分するわけにもいかなくて。上田 実家じまいを先送りしてしまう理由はいろいろありますが、松本さんがそうであったように、一般に両親の思いが詰まった実家を処分することへの躊躇はその最たるものです。あとは家財整理の面倒さや、相続した人たちの意見の不一致、都市部だと値上がりを期待してなかなか売れないという方もいらっしゃいます。地価が右肩上がりしたのは昔のことですが、いまだにそれが忘れられない方がいるのです。でも実家の処分は、先送りすればするほど維持費がかかります。25年も所有されていたのであれば、松本さんもかなりの金額になったのではないですか。空き家は思った以上にすぐ荒れる松本 そうですね。光熱費に火災保険料に固定資産税でしょう、それから頻繁には帰れないので草刈りや庭木の手入れなどは高松のシルバー人材センターに頼んでやってもらったし、帰省の交通費もバカにならなくて。金額の大きいものではリフォームに約600万円かけているので、トータルでは1800万円ほどかかっています。上田 ずいぶんとかけられましたね。松本 もっと早く手放していればと、自分でも呆れています。上田 空き家を売るときの大原則は、なるべく所有期間を短くして、適切に管理すること。維持費が抑えられるし、管理状態がよければ、売りやすくなるからです。それでも長期にわたって空き家の管理をやり続けたのは立派なことです。空き家は適切な管理をしないとすぐ荒れてしまいますし、法的リスクも高くなるからです。Photo by iStock 松本 それは実際に体験したのでよくわかります。空き家はしばらく放っておくとすぐに草がぼうぼうになったりして、ひと様に迷惑かけるようになるんですよね。上田 そうなんです。たとえば雑草は放っておくとたちまち腰の高さくらいまで伸びますし、夏場なら草の種類によっては人の背丈ほどまで成長します。ひどい場合は、それこそツタが家全体にからまり、どこに家があるのかわからないジャングル状態になります。雑草の生い茂った家は一目で空き家とわかるので、ゴミのポイ捨てに始まり家電や粗大ゴミの不法投棄を招きやすく、どんどん荒れてしまいます。松本 さすがにそこまで放ったらかしにはしませんでしたけど、雑草などは本当にあっという間に伸びるのでびっくりしました。上田 それをご存じない方が多いんです。雑草の繁茂はやぶ蚊などの虫の発生源になりますし、その虫を狙うほかの昆虫や動物などを呼び寄せることにもつながります。松本 そうそう、虫がうじゃうじゃわくんです。放火のターゲットになる恐れも上田 空き家の管理を怠るとネズミも発生します。ネズミは繁殖力が強く、どんどん増えます。それを狙ってイタチやハクビシンなどの害獣も集まってくる。松本 えーっ、そうなんですか。上田 来ます、来ます。しかも寄って来るのは動物だけではありません。怪しい人間もやって来ます。空き家とわかれば、不審者が侵入して棲みついたり、子どもたちのたまり場になったり、犯罪者のアジトとして利用されたりする恐れもあります。あとは放火。空き家は人の目が届きにくく、ポストにたまったチラシや不法投棄されたゴミなど火種になるものがあるので、放火のターゲットになりやすいのです。Photo by iStock 松本 空き家というのは犯罪や放火の心配もしないといけないんですね。上田 気をつけることはまだまだあります。たとえばシロアリ。柱や梁など建物を支える構造部分の木材を食べるので、シロアリ被害が進んだ住宅は柱や梁が弱くなり、大地震などの際に倒壊などの被害が出る可能性を上げてしまいます。シロアリ被害は気づきにくく、発見したときには手遅れというケースが少なくないのです。松本 対策って何かあるんですか。 上田 シロアリは湿気を好むので、こまめに風を通して湿気を逃がすのがいいのですが、週1回程度ではあまり効果がありません。空き家の場合、毎日換気というわけにはいきませんから、現実的には防蟻処理(薬剤などを撒く)をするのが一番の対策になります。ほかには換気設備の設置(換気扇や住宅設備としての除湿器など)となります。あとはシロアリの被害がないか、床下などをよく見て確認することです。松本 決め手は換気と薬剤ということですね。高額な損害賠償を負う可能性も……上田 そうです。あと空き家は人や物が動かないので、軒下、戸袋、庭木などにハチが巣を作ることがあります。戸袋に巣を作るのは雨戸の開閉がないからです。スズメバチが巣を作った場合は、危ないので駆除業者を頼んだほうがいいと思います。松本 庭木は放っておくと枝が伸びるんですよね。上田 庭木は放っておくと隣家に枝が伸びて枯葉や果実、種などを落としますし、強風で木が折れて隣家の屋根や外壁、車などを破損することもあります。樹高が3mを超えると実家や隣家の雨どいを落ち葉がふさぎ、雨漏りの原因になる恐れもあります。戸建ての主要構造部は木材ですから、湿気に弱く、雨漏りが発生すると老朽化が一気に進みます。台風、大雨、大雪などで建材が剥がれて飛散したり、最悪の場合は倒壊する恐れもある。 近隣住民の家や車などの財産に損害を与えたり、人に危害を加える心配もあります。実際に被害が発生したら、空き家の所有者は工作物責任(民法717条)といって損害賠償の責任を負うことになります。松本 その場合の賠償額はどれくらいになるものなんですか。上田 公益財団法人日本住宅総合センターの試算(空き家[放置家屋]事例「空き家発生による外部不経済の実態と損害額の試算に係る調査」)によれば、人が亡くなったりすれば、数千万円から数億円に及ぶ可能性があります。小さいお子さんが犠牲になった場合などは将来得られたはずの収入(逸失利益)が考慮されるので賠償額はかなり高額になると覚悟したほうがいいです。松本 空き家を放っておくと重い責任を背負い込むことになるんですね。上田 そういうことなんです。
上田 実家を娘のものにしてあとを託したわけですね。もともと実家をどうするかは、親が元気なうちに相続対策の一環として親子で考えておくのが一番いいのです。そもそもお父さんは、なぜ松本さんに実家を譲ろうと考えたんでしょう。
松本 芸能界は浮き沈みが激しいので、ダメになったら高松に帰ればいい、家さえあれば何とかなる、そう思ったみたいです。
上田 なるほど、松本さんの将来を考えてのことだったんですね。
松本 ただ、実家は高松で遠いですし、管理が大変でした。それでも父が丹精込めて作った小さなお城みたいなものでしたから、なかなか処分するわけにもいかなくて。
上田 実家じまいを先送りしてしまう理由はいろいろありますが、松本さんがそうであったように、一般に両親の思いが詰まった実家を処分することへの躊躇はその最たるものです。
あとは家財整理の面倒さや、相続した人たちの意見の不一致、都市部だと値上がりを期待してなかなか売れないという方もいらっしゃいます。地価が右肩上がりしたのは昔のことですが、いまだにそれが忘れられない方がいるのです。
でも実家の処分は、先送りすればするほど維持費がかかります。25年も所有されていたのであれば、松本さんもかなりの金額になったのではないですか。
松本 そうですね。光熱費に火災保険料に固定資産税でしょう、それから頻繁には帰れないので草刈りや庭木の手入れなどは高松のシルバー人材センターに頼んでやってもらったし、帰省の交通費もバカにならなくて。金額の大きいものではリフォームに約600万円かけているので、トータルでは1800万円ほどかかっています。
上田 ずいぶんとかけられましたね。
松本 もっと早く手放していればと、自分でも呆れています。
上田 空き家を売るときの大原則は、なるべく所有期間を短くして、適切に管理すること。維持費が抑えられるし、管理状態がよければ、売りやすくなるからです。
それでも長期にわたって空き家の管理をやり続けたのは立派なことです。空き家は適切な管理をしないとすぐ荒れてしまいますし、法的リスクも高くなるからです。
Photo by iStock
松本 それは実際に体験したのでよくわかります。空き家はしばらく放っておくとすぐに草がぼうぼうになったりして、ひと様に迷惑かけるようになるんですよね。上田 そうなんです。たとえば雑草は放っておくとたちまち腰の高さくらいまで伸びますし、夏場なら草の種類によっては人の背丈ほどまで成長します。ひどい場合は、それこそツタが家全体にからまり、どこに家があるのかわからないジャングル状態になります。雑草の生い茂った家は一目で空き家とわかるので、ゴミのポイ捨てに始まり家電や粗大ゴミの不法投棄を招きやすく、どんどん荒れてしまいます。松本 さすがにそこまで放ったらかしにはしませんでしたけど、雑草などは本当にあっという間に伸びるのでびっくりしました。上田 それをご存じない方が多いんです。雑草の繁茂はやぶ蚊などの虫の発生源になりますし、その虫を狙うほかの昆虫や動物などを呼び寄せることにもつながります。松本 そうそう、虫がうじゃうじゃわくんです。放火のターゲットになる恐れも上田 空き家の管理を怠るとネズミも発生します。ネズミは繁殖力が強く、どんどん増えます。それを狙ってイタチやハクビシンなどの害獣も集まってくる。松本 えーっ、そうなんですか。上田 来ます、来ます。しかも寄って来るのは動物だけではありません。怪しい人間もやって来ます。空き家とわかれば、不審者が侵入して棲みついたり、子どもたちのたまり場になったり、犯罪者のアジトとして利用されたりする恐れもあります。あとは放火。空き家は人の目が届きにくく、ポストにたまったチラシや不法投棄されたゴミなど火種になるものがあるので、放火のターゲットになりやすいのです。Photo by iStock 松本 空き家というのは犯罪や放火の心配もしないといけないんですね。上田 気をつけることはまだまだあります。たとえばシロアリ。柱や梁など建物を支える構造部分の木材を食べるので、シロアリ被害が進んだ住宅は柱や梁が弱くなり、大地震などの際に倒壊などの被害が出る可能性を上げてしまいます。シロアリ被害は気づきにくく、発見したときには手遅れというケースが少なくないのです。松本 対策って何かあるんですか。 上田 シロアリは湿気を好むので、こまめに風を通して湿気を逃がすのがいいのですが、週1回程度ではあまり効果がありません。空き家の場合、毎日換気というわけにはいきませんから、現実的には防蟻処理(薬剤などを撒く)をするのが一番の対策になります。ほかには換気設備の設置(換気扇や住宅設備としての除湿器など)となります。あとはシロアリの被害がないか、床下などをよく見て確認することです。松本 決め手は換気と薬剤ということですね。高額な損害賠償を負う可能性も……上田 そうです。あと空き家は人や物が動かないので、軒下、戸袋、庭木などにハチが巣を作ることがあります。戸袋に巣を作るのは雨戸の開閉がないからです。スズメバチが巣を作った場合は、危ないので駆除業者を頼んだほうがいいと思います。松本 庭木は放っておくと枝が伸びるんですよね。上田 庭木は放っておくと隣家に枝が伸びて枯葉や果実、種などを落としますし、強風で木が折れて隣家の屋根や外壁、車などを破損することもあります。樹高が3mを超えると実家や隣家の雨どいを落ち葉がふさぎ、雨漏りの原因になる恐れもあります。戸建ての主要構造部は木材ですから、湿気に弱く、雨漏りが発生すると老朽化が一気に進みます。台風、大雨、大雪などで建材が剥がれて飛散したり、最悪の場合は倒壊する恐れもある。 近隣住民の家や車などの財産に損害を与えたり、人に危害を加える心配もあります。実際に被害が発生したら、空き家の所有者は工作物責任(民法717条)といって損害賠償の責任を負うことになります。松本 その場合の賠償額はどれくらいになるものなんですか。上田 公益財団法人日本住宅総合センターの試算(空き家[放置家屋]事例「空き家発生による外部不経済の実態と損害額の試算に係る調査」)によれば、人が亡くなったりすれば、数千万円から数億円に及ぶ可能性があります。小さいお子さんが犠牲になった場合などは将来得られたはずの収入(逸失利益)が考慮されるので賠償額はかなり高額になると覚悟したほうがいいです。松本 空き家を放っておくと重い責任を背負い込むことになるんですね。上田 そういうことなんです。
松本 それは実際に体験したのでよくわかります。空き家はしばらく放っておくとすぐに草がぼうぼうになったりして、ひと様に迷惑かけるようになるんですよね。
上田 そうなんです。たとえば雑草は放っておくとたちまち腰の高さくらいまで伸びますし、夏場なら草の種類によっては人の背丈ほどまで成長します。ひどい場合は、それこそツタが家全体にからまり、どこに家があるのかわからないジャングル状態になります。
雑草の生い茂った家は一目で空き家とわかるので、ゴミのポイ捨てに始まり家電や粗大ゴミの不法投棄を招きやすく、どんどん荒れてしまいます。
松本 さすがにそこまで放ったらかしにはしませんでしたけど、雑草などは本当にあっという間に伸びるのでびっくりしました。
上田 それをご存じない方が多いんです。雑草の繁茂はやぶ蚊などの虫の発生源になりますし、その虫を狙うほかの昆虫や動物などを呼び寄せることにもつながります。
松本 そうそう、虫がうじゃうじゃわくんです。
上田 空き家の管理を怠るとネズミも発生します。ネズミは繁殖力が強く、どんどん増えます。それを狙ってイタチやハクビシンなどの害獣も集まってくる。
松本 えーっ、そうなんですか。
上田 来ます、来ます。しかも寄って来るのは動物だけではありません。怪しい人間もやって来ます。空き家とわかれば、不審者が侵入して棲みついたり、子どもたちのたまり場になったり、犯罪者のアジトとして利用されたりする恐れもあります。
あとは放火。空き家は人の目が届きにくく、ポストにたまったチラシや不法投棄されたゴミなど火種になるものがあるので、放火のターゲットになりやすいのです。
Photo by iStock
松本 空き家というのは犯罪や放火の心配もしないといけないんですね。上田 気をつけることはまだまだあります。たとえばシロアリ。柱や梁など建物を支える構造部分の木材を食べるので、シロアリ被害が進んだ住宅は柱や梁が弱くなり、大地震などの際に倒壊などの被害が出る可能性を上げてしまいます。シロアリ被害は気づきにくく、発見したときには手遅れというケースが少なくないのです。松本 対策って何かあるんですか。 上田 シロアリは湿気を好むので、こまめに風を通して湿気を逃がすのがいいのですが、週1回程度ではあまり効果がありません。空き家の場合、毎日換気というわけにはいきませんから、現実的には防蟻処理(薬剤などを撒く)をするのが一番の対策になります。ほかには換気設備の設置(換気扇や住宅設備としての除湿器など)となります。あとはシロアリの被害がないか、床下などをよく見て確認することです。松本 決め手は換気と薬剤ということですね。高額な損害賠償を負う可能性も……上田 そうです。あと空き家は人や物が動かないので、軒下、戸袋、庭木などにハチが巣を作ることがあります。戸袋に巣を作るのは雨戸の開閉がないからです。スズメバチが巣を作った場合は、危ないので駆除業者を頼んだほうがいいと思います。松本 庭木は放っておくと枝が伸びるんですよね。上田 庭木は放っておくと隣家に枝が伸びて枯葉や果実、種などを落としますし、強風で木が折れて隣家の屋根や外壁、車などを破損することもあります。樹高が3mを超えると実家や隣家の雨どいを落ち葉がふさぎ、雨漏りの原因になる恐れもあります。戸建ての主要構造部は木材ですから、湿気に弱く、雨漏りが発生すると老朽化が一気に進みます。台風、大雨、大雪などで建材が剥がれて飛散したり、最悪の場合は倒壊する恐れもある。 近隣住民の家や車などの財産に損害を与えたり、人に危害を加える心配もあります。実際に被害が発生したら、空き家の所有者は工作物責任(民法717条)といって損害賠償の責任を負うことになります。松本 その場合の賠償額はどれくらいになるものなんですか。上田 公益財団法人日本住宅総合センターの試算(空き家[放置家屋]事例「空き家発生による外部不経済の実態と損害額の試算に係る調査」)によれば、人が亡くなったりすれば、数千万円から数億円に及ぶ可能性があります。小さいお子さんが犠牲になった場合などは将来得られたはずの収入(逸失利益)が考慮されるので賠償額はかなり高額になると覚悟したほうがいいです。松本 空き家を放っておくと重い責任を背負い込むことになるんですね。上田 そういうことなんです。
松本 空き家というのは犯罪や放火の心配もしないといけないんですね。
上田 気をつけることはまだまだあります。たとえばシロアリ。柱や梁など建物を支える構造部分の木材を食べるので、シロアリ被害が進んだ住宅は柱や梁が弱くなり、大地震などの際に倒壊などの被害が出る可能性を上げてしまいます。シロアリ被害は気づきにくく、発見したときには手遅れというケースが少なくないのです。
松本 対策って何かあるんですか。
上田 シロアリは湿気を好むので、こまめに風を通して湿気を逃がすのがいいのですが、週1回程度ではあまり効果がありません。空き家の場合、毎日換気というわけにはいきませんから、現実的には防蟻処理(薬剤などを撒く)をするのが一番の対策になります。ほかには換気設備の設置(換気扇や住宅設備としての除湿器など)となります。あとはシロアリの被害がないか、床下などをよく見て確認することです。松本 決め手は換気と薬剤ということですね。高額な損害賠償を負う可能性も……上田 そうです。あと空き家は人や物が動かないので、軒下、戸袋、庭木などにハチが巣を作ることがあります。戸袋に巣を作るのは雨戸の開閉がないからです。スズメバチが巣を作った場合は、危ないので駆除業者を頼んだほうがいいと思います。松本 庭木は放っておくと枝が伸びるんですよね。上田 庭木は放っておくと隣家に枝が伸びて枯葉や果実、種などを落としますし、強風で木が折れて隣家の屋根や外壁、車などを破損することもあります。樹高が3mを超えると実家や隣家の雨どいを落ち葉がふさぎ、雨漏りの原因になる恐れもあります。戸建ての主要構造部は木材ですから、湿気に弱く、雨漏りが発生すると老朽化が一気に進みます。台風、大雨、大雪などで建材が剥がれて飛散したり、最悪の場合は倒壊する恐れもある。 近隣住民の家や車などの財産に損害を与えたり、人に危害を加える心配もあります。実際に被害が発生したら、空き家の所有者は工作物責任(民法717条)といって損害賠償の責任を負うことになります。松本 その場合の賠償額はどれくらいになるものなんですか。上田 公益財団法人日本住宅総合センターの試算(空き家[放置家屋]事例「空き家発生による外部不経済の実態と損害額の試算に係る調査」)によれば、人が亡くなったりすれば、数千万円から数億円に及ぶ可能性があります。小さいお子さんが犠牲になった場合などは将来得られたはずの収入(逸失利益)が考慮されるので賠償額はかなり高額になると覚悟したほうがいいです。松本 空き家を放っておくと重い責任を背負い込むことになるんですね。上田 そういうことなんです。
上田 シロアリは湿気を好むので、こまめに風を通して湿気を逃がすのがいいのですが、週1回程度ではあまり効果がありません。
空き家の場合、毎日換気というわけにはいきませんから、現実的には防蟻処理(薬剤などを撒く)をするのが一番の対策になります。ほかには換気設備の設置(換気扇や住宅設備としての除湿器など)となります。あとはシロアリの被害がないか、床下などをよく見て確認することです。
松本 決め手は換気と薬剤ということですね。
上田 そうです。あと空き家は人や物が動かないので、軒下、戸袋、庭木などにハチが巣を作ることがあります。戸袋に巣を作るのは雨戸の開閉がないからです。スズメバチが巣を作った場合は、危ないので駆除業者を頼んだほうがいいと思います。
松本 庭木は放っておくと枝が伸びるんですよね。
上田 庭木は放っておくと隣家に枝が伸びて枯葉や果実、種などを落としますし、強風で木が折れて隣家の屋根や外壁、車などを破損することもあります。樹高が3mを超えると実家や隣家の雨どいを落ち葉がふさぎ、雨漏りの原因になる恐れもあります。
戸建ての主要構造部は木材ですから、湿気に弱く、雨漏りが発生すると老朽化が一気に進みます。台風、大雨、大雪などで建材が剥がれて飛散したり、最悪の場合は倒壊する恐れもある。
近隣住民の家や車などの財産に損害を与えたり、人に危害を加える心配もあります。実際に被害が発生したら、空き家の所有者は工作物責任(民法717条)といって損害賠償の責任を負うことになります。松本 その場合の賠償額はどれくらいになるものなんですか。上田 公益財団法人日本住宅総合センターの試算(空き家[放置家屋]事例「空き家発生による外部不経済の実態と損害額の試算に係る調査」)によれば、人が亡くなったりすれば、数千万円から数億円に及ぶ可能性があります。小さいお子さんが犠牲になった場合などは将来得られたはずの収入(逸失利益)が考慮されるので賠償額はかなり高額になると覚悟したほうがいいです。松本 空き家を放っておくと重い責任を背負い込むことになるんですね。上田 そういうことなんです。
近隣住民の家や車などの財産に損害を与えたり、人に危害を加える心配もあります。実際に被害が発生したら、空き家の所有者は工作物責任(民法717条)といって損害賠償の責任を負うことになります。
松本 その場合の賠償額はどれくらいになるものなんですか。
上田 公益財団法人日本住宅総合センターの試算(空き家[放置家屋]事例「空き家発生による外部不経済の実態と損害額の試算に係る調査」)によれば、人が亡くなったりすれば、数千万円から数億円に及ぶ可能性があります。
小さいお子さんが犠牲になった場合などは将来得られたはずの収入(逸失利益)が考慮されるので賠償額はかなり高額になると覚悟したほうがいいです。
松本 空き家を放っておくと重い責任を背負い込むことになるんですね。
上田 そういうことなんです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。